自己破産 [公開日]2018年6月21日[更新日]2021年9月16日

自己破産に年齢制限はあるのか?|未成年、高齢者の場合

自己破産は、認められれば今ある借金がゼロになる、債務者にとっては大変メリットが大きい債務整理方法です。

しかし、例えば年金以外に収入のない高齢者や、法律行為が認められていない未成年者などが借金に困った場合、自己破産できるのでしょうか。

この記事では、自己破産に年齢制限はあるのかどうか、未成年や高齢者の自己破産で気をつけるべき点、知っておくべき点について解説します。

1.自己破産の条件・制限

自己破産は、以下の要件を満たした場合に申立が可能です。

(1) 借金が支払えない状態にある(支払不能)

自己破産申立が受理されるには、「支払不能」の状態であることが前提です。

破産法2条11項は、支払不能状態を「債務者が支払能力を欠くために、弁済期の到来した債務を一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態」と定義しています。
具体的に、支払不能と判断されるには以下の条件をクリアしなければなりません。

債務者の財産や労働から得られる収入のいずれをもってしても弁済できる見込みがない

手持ちの財産がなくても、労働で資金調達可能な場合は支払不能とは認められません。

反対に、無職であったり、財産があってもそれが換価できなかったりする場合は、支払不能と認められます。

返済できない状態が続いている

一時的な金欠で支払いができない場合は支払不能とは認められません。また、将来的に多額の売上金が入ってくる等で支払える見込みがある場合も同様です。

金額の多寡に関わらず、将来的にでも返済できる見込みがある場合は、申立できないのです。

(2) 免責不許可事由に該当しない

免責不許可事由」とは、免責(借金がゼロになること)が認められない原因となる事情があることです。

免責不許可事由に該当してしまう行為は、破産法第252条1項に定められています。その内容としては、主に以下が挙げられます。

  • 財産を隠匿すること・不当に壊して価値を下げること(財産隠し)
  • カードで物を買ってその物を安く換金してしまったりすること(換金行為)
  • 特定の債権者にだけ返済してしまうこと(偏頗弁済)
  • ギャンブルなどに多額のお金を使ってしまうこと(浪費行為)
  • 破産しようとしているのに、それを隠してお金を借りること(詐欺)
  • 裁判所に嘘をついたり、帳簿などに嘘の記述をしたりすること
  • 過去7年以内に自己破産の免責許可決定がされていること

つまり、「嘘をついたり、不誠実であったり、自己破産したからといって更生しそうになかったりする人には、自己破産を認めない」ということです。

とはいえ、免責不許可事由があっても、「裁量免責」で免責が認められることもあります。
裁判所に出頭し、誠実な態度で面談に臨む・反省を示すなどすれば、免責許可される可能性は十分にあります。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

個人が破産をする場合には、以上の要件を満たせば破産開始決定がなされます。

すなわち、自己破産申立要件の中には特に年齢制限はありません。未成年者・高齢者など年齢に関わらず、上記条件を満たせば自己破産の申立をすることは可能です。

しかし、未成年者や認知症の方は制限行為能力者であり、民法上は単独で完全な法律行為を行うことができません。

では、現実的に考えて、未成年や認知症の方でも自己破産は問題なくできるのでしょうか?また、できたとして、普通の成人とは違う条件や注意点があるのでしょうか?

2.未成年者の自己破産

(1) 未成年者は借金に親の同意が必要

自己破産に至るには、その前に借金をしていることが前提となりますが、基本的に未成年者が単独で借金をすることはできません。

未成年者は、法定代理人の同意がなければ法律行為をすることができない(民法5条1項)と定められています。

未成年者が借金をするには、必ず親(法定代理人)の同意が必要なのです。

法定代理人の同意なく借金をした場合は、後から契約を取り消すことが可能です。
その場合、そもそも契約はなかったことになるので、現存する利益を限度に返済すれば、それ以上の返済を求められることはありません(すなわち、自己破産をする必要もありません)。

【返還が必要な現存利益の考え方】
返還が必要な現存利益の考え方として、借入金を飲食などの浪費に使ってしまった場合は、何も残っていないので返済する必要はありません。
しかし、生活費などに使った場合は返済義務が生じます。なぜなら、生活費は借金の有無に関わらず必要なお金であり、借りたお金を生活費に使った場合は、財産の減少を免れた分の利益が残っている=現存利益があると考えられるためです。

[参考記事]

未成年が個人で行った借金は無効になる?親が払う?

(2) 未成年者の借金を取り消すことができない場合

しかし、以下のような場合には未成年者の借金を取り消すことができません。

①法定代理人の同意がある場合

未成年者の借金は、法定代理人の同意があれば取り消すことができません。
この場合は、契約に従って返済を行う義務があります。

また、契約後に法定代理人が借金を追認した場合も同様です。

なお、親が同意した借金を未成年者が支払えなくなった場合、支払い義務を負うのはその未成年者本人です。
親は保証人になっていない限り、支払い義務を負うことはありません(親が任意で肩代わりすることはできます)。

もし、どうしても支払いができなくなったときは、自己破産をするのも本人であり、親ではありません。

②結婚している、あるいは結婚歴がある場合

民法753条により、結婚をすると未成年者でも成年としてみなされます(成年擬制)。そのため、既婚の場合は、親の同意なく借金が可能で、その契約を取り消すことはできません。

結婚をすると住居を借り、仕事に就き、自立した経済活動を行わなければなりません。
もし未成年であることを理由にその都度法定代理人の同意が必要となると、婚姻の独自性が保てなくなります。

そのため、未成年でも結婚後は成年とみなすことで、各種契約を親の同意なく行えるようにしているのです。

ちなみに、未成年のうちに離婚をした場合も、成年扱いは変わりません。一度得た権利をなくすことは不利益が大きく、また、婚姻で社会的自覚が成熟したものとみなせるので、未成年に戻すべきではないと考えられているからです。

③法定代理人の許可を得てした営業行為に関する借金の場合

未成年者が法定代理人(親など)の許可を受けて商売をしている場合、その取引に関しては上記②と同じく成年扱いされます。

よって、親の同意なく借金が可能で、本人が返済をしなくてはなりません。

④年齢を詐称して借金した場合

未成年者が年齢をごまかし、成年に見せかけるために詐術を使って借金をした場合は取消ができません。その場合の借金は有効となります。

詐術を使うとは、例えば身分証明書を偽造して生年月日を偽ったり、相手が成年であると誤信するような言動をとって契約したりした場合が該当します。

⑤法定代理人の同意書を偽造した場合

借入の際に法定代理人の同意書などを偽造した場合も契約の取り消しは出来ません。
この場合、親の同意がなくても借金は有効となり、返済義務を負うのは未成年者本人です。

3.高齢者の自己破産

行為能力が制限されているのは未成年者だけではありません。その他、認知症の高齢者なども含まれます。

高齢者が自己破産するときは、以下のポイントをおさえておきましょう。

(1) 高齢者の自己破産は可能

自己破産に年齢制限等はありませんので、当然高齢者が自己破産することも可能です。

なお、借金を残して亡くなってしまった場合、それは残された人ら(相続人)に相続されてしまいます。
そうならないためには、多額の借金がある場合、相続発生前に自己破産しておくのが良いでしょう。

なお、自己破産をすることで年金などが差し押さえられることはありませんのでご安心ください。

[参考記事]

債務整理をすると年金は受け取れない?差押禁止財産と年金担保貸付

(2) 認知症の高齢者の場合

認知症の高齢者が借金の支払いができなくなった場合は、家庭裁判所で成年後見人を選任し、成年後見人から自己破産申立をすることが必要です。

自分の親が認知症の場合、この先の介護費用も心配でしょう。その上借金の肩代わりまですると、親子共倒れの可能性もあります。
最悪の事態になる前に、弁護士に相談をして自己破産をすることをおすすめします。

4.まとめ

自己破産は年齢に関係なくすることができます。

しかし、法律行為ができない未成年者や認知症の高齢者が自己破産する場合は、代理人や後見人が必要となるなど、通常とは違う注意点があることにご注意ください。

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