自己破産 [公開日]2018年6月21日[更新日]2019年11月7日

自己破産に年齢制限はあるのか?|未成年、高齢者の場合

自己破産は、認められれば今ある借金がゼロになる、債務者にとっては大変有り難い救済措置です。

しかし、例えば年金以外に収入のない高齢者や、法律行為が認められていない未成年者などが借金に困った場合、自己破産できるのでしょうか。

この記事では、自己破産に年齢制限はあるのかどうか、未成年や高齢者の自己破産で気をつけるべき点、知っておくべき点について解説します。

1.自己破産の条件

(1) 自己破産申立の要件

自己破産は、以下の要件を満たした場合に申立が可能です。

①借金が支払えない状態にあること

自己破産申立は、支払不能の状態であることが前提です。
支払不能と判断されるには、以下の条件をクリアしなければなりません。

債務者の財産、信用、労働から得られる収入のいずれをもってしても、弁済できる見込みがないと判断されること

財産がなくても、信用や労働で資金調達可能な場合は支払不能とは認められません。

反対に、財産があっても換価できない場合は、弁済できないので支払不能と認められます。

返済できない状態が続いていること

一時的な金欠で支払いができない場合は当てはまりません。また、将来的に支払える見込みがある場合も認められません。

金額の多寡に関わらず、将来的にでも返済できる見込みがある場合は、申立できないのです。

②免責不許可事由に該当しないか

免責不許可事由」とは、免責(借金がゼロになること)が認められない原因となる事情があることです。

免責不許可事由に該当してしまう行為は、破産法第252条1項に定められています。その内容としては、主に以下が挙げられます。

  • 財産を隠匿すること・不当に壊して価値を下げること(財産隠し)
  • カードで物を買ってその物を安く換金してしまったりすること(換金行為)
  • 特定の債権者にだけ返済してしまうこと(偏頗弁済)
  • ギャンブルなどに多額のお金を使ってしまうこと(浪費行為)
  • 破産しようとしているのに、それを隠してお金を借りること(詐欺)
  • 裁判所に嘘をついたり、帳簿などに嘘の記述をしたりすること
  • 過去7年以内に自己破産の免責許可決定がされていないこと

つまり、「嘘をついたり、不誠実であったり、自己破産したからといって更生しそうになかったりする人には、自己破産を認めない」ということです。

とはいえ、免責不許可事由があっても、「裁量免責」で免責が認められることもあります。
裁判所に出頭し、誠実な態度で事情聴取を受ける、反省を示すなどすれば、偏頗弁済をしてしまっていたり、ギャンブル等の浪費が理由の借金だったりしても、免責許可される可能性は十分にあります。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

個人が破産をする場合には、以上の要件を満たせば破産開始決定がなされます。
自己破産申立要件の中には特に年齢に制限はありません。未成年者・高齢者など年齢にかかわらず、上記条件を満たせば自己破産の申立をすることは可能です。

しかし、未成年者や認知症の方は制限行為能力者であり、民法上は単独で完全な法律行為を行うことができません。

では、未成年や認知症の方でも、自己破産は問題なくできるのでしょうか?また、できたとして、普通の成人とは違う条件があるのでしょうか?

2.未成年者の自己破産

(1) 未成年は親の同意がないと法律行為ができない

自己破産に至るには、その前に借金をしていることが前提となりますが、基本的に未成年者が親に内緒で借金をすることはできません。

未成年者は、法定代理人の同意がなければ法律行為をすることができない(民法5条1項)と定められています。

未成年者が借金をするには、必ず親(法定代理人)の同意が必要です。法律上、未成年者は単独でお金の借入はできません。
法定代理人の同意なく借金をした場合は、後から契約を取り消すことが可能です。

その場合、そもそも契約はなかったことにできるので、手元に残っているお金、または、借りたお金で得た購入品など、現存する利益を限度に返済すれば、それ以上の返済を求められることはありません。

【返還が必要な現存利益の考え方】
返還が必要な現存利益の考え方として、借入金を飲食などの浪費に使ってしまった場合は、何も残っていないので返済する必要はありません。
しかし、生活費などに使った場合は返済義務が生じます。なぜなら、生活費は借金の有無に関わらず必要なお金であり、借りたお金を生活費に使った場合は、財産の減少を免れた分の利益が残っている=現存利益があると考えられるためです。

(2) 未成年者の借金が有効になる場合

しかし、未成年者の借金が有効になることもあります。
大人として認められる場合や、嘘をついて契約した場合など、以下の4つが挙げられます。

①法定代理人の同意がある場合

未成年者の借金は、法定代理人の同意があれば当然に有効です。
この場合は、契約に従って返済を行う義務があります。

また、契約後に法定代理人が借金を追認した場合も有効です。

もし、親が同意した借金を未成年者が支払えなくなった場合、支払い義務を負うのはその未成年者本人です。
親は保証人になっていない限り、支払い義務を負うことはありません。

もし、どうしても支払いができなくなったときは、自己破産をするのも本人であり、親ではありません。

②結婚している、あるいは結婚歴がある場合

民法753条により、結婚をすると未成年者でも成年としてみなされます(成年擬制)。そのため、既婚の場合は、親の同意なく借金が可能で、その契約も有効です。

結婚をすると住居を借り、仕事に就き、自立した経済活動を行わなければなりません。
もし未成年であることを理由に、その都度法定代理人の同意が必要となると、婚姻の独自性が保てなくなります。

そのため、未成年でも結婚後は成年とみなすことで、各種契約を親の同意なく行えるようにしているのです。

ちなみに、未成年のうちに離婚をした場合も、成年扱いは変わりません。一度得た権利をなくすことは不利益が大きく、また、婚姻で社会的自覚が成熟したものとみなせるので、未成年に戻すべきではないと考えられているからです。

③年齢を詐称して借金した場合

未成年者が年齢をごまかし、成年に見せかけるために詐術を使って借金をした場合は取消ができません。その場合の借金は有効となります。

詐術を使うとは、例えば身分証明書を偽造して生年月日を偽ったり、相手が成年であると誤信するような言動をとって契約したりした場合が該当します。

④法定代理人の同意書を偽造した場合

借入の際に法定代理人の同意書などを偽造した場合も契約の取り消しは出来ません。その場合、親の同意がなくても借金は有効となります。

これらの場合でも、法定代理人は保証人でない限り返済義務はありません。あくまでも返済義務を負うのは未成年者本人です。

3.高齢者の自己破産

行為能力が制限されているのは未成年者だけではありません。その他、認知症の高齢者なども含まれます。

現在、老人の方の自己破産が増えてきています。高齢者が自己破産するときは、以下のポイントを押さえておきましょう。

(1) 高齢者の自己破産は可能

高齢者が自己破産することは可能です。自己破産に年齢制限等はありません。
借金を残して亡くなってしまった場合、それは残された人ら(相続人)に相続されてしまいます。

そうならないためには、多額の借金がある場合、相続発生前に自己破産しておくのが良いでしょう。

(2) 認知症の高齢者の場合

認知症の高齢者が借金の支払いができなくなった場合は、家庭裁判所で成年後見人を選任し、成年後見人から自己破産申立が必要です。

成年後見は弁護士に依頼することが可能なので、自己破産の手続きと一緒に弁護士に依頼すると簡単です。

認知症の高齢者が借金を抱えている場合、ご本人の財産が少なく、連帯保証人もいなければ、自己破産をして借金をゼロにするのは合理的な選択です。

自己破産すると以後5~7年は新たな借入ができませんが、債務整理の有無に関わらず、今後はご本人が借金をするのは病状からして現実的ではありません。
そのため、ブラックリスト入りの心配も不要です。また、年金などが差し押さえられることもありません。

[参考記事]

債務整理をすると年金は受け取れない?差押禁止財産と年金担保貸付

こうしたケースでは特に失うものもないので、自己破産のメリットの方が大きいでしょう。

特に自分の親の場合は、この先の介護費用も心配です。その上借金の肩代わりまですると親子共倒れの可能性もあります。
最悪の事態になる前に、弁護士に相談をして借金をクリアすることをおすすめします。

4.まとめ

自己破産は年齢に関係なくすることができます。

しかし、未成年者が自己破産する場合は、その将来についてできるだけ配慮しなければなりません。5~10年間信用機関のブラックリストにのるという事は、成年になってからも住宅ローン、車の購入が難しくなる、ということになります。

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