自己破産 [公開日]2018年2月28日[更新日]2019年12月3日

お金を貸した相手が自己破産したら泣き寝入りしかない?

お金を貸した相手が自己破産したら泣き寝入りしかない?

【この記事を読んでわかる事】

  • 債務者に自己破産されたら原則お金は返ってこない
  • 貸しても大丈夫か、お金がきちんと返ってくるかどうかは債権者(お金を貸した側)が見極めなければならない
  • とはいえ、貸した相手が自己破産しても、一部のお金が返ってくる場合がある

 

「今どうしてもお金が必要なんだ。少しでいいから貸してほしい!」
友人にそう頼み込まれ、貸してしまった。そんな経験が一度や二度ある方は多いのではないでしょうか。

ところで、そのお金はきちんと返してもらえましたか?
数千円ならともかく、何十万・何百万も貸していた相手が万が一自己破産してしまったら、基本的にそのお金は返ってきません。
相手が破産手続をして最終的に「免責」が出ると、個人間の借金でも法律的な返済義務がなくなるためです。

ただし「絶対に一銭も返ってこない」というわけではありません。
相手の財産状況によっては裁判所から配当があることもありますし、場合によっては債権が免責されないこともあります。

今回は「お金を貸した相手が自己破産したら泣き寝入りしかないの?」「自己破産した人からお金を返してもらう方法はあるのか?」という視点から、個人間の借金問題について、弁護士が解説します。

1.自己破産した相手に請求できる場合

(1) 配当金がある場合

「自己破産=借金をゼロにする手続」だと思っている人がほとんどですが、正確に言うと「破産者の持っている財産をお金に換え、債権額の割合によって債権者にそのお金を分配し(配当)、それでも返しきれない分について返済義務を免除する(免責)手続」のことです。

相手が破産手続を行った場合、貸したお金が全額戻ってくるということは基本的にない、と考えるべきです。
しかし、破産者の財産状況によってはいくらかの配当金をもらえる可能性もあります。

つまり、破産者がある程度の財産を所持していた場合、その財産を換金した配当金が一部受け取れる可能性があるのです。
(しかしこれには、自己破産の申立時に提出する「債権者一覧表」に、あなたの債権が記載されている必要があります。

なので、相手(債務者)やその代理人弁護士、裁判所から破産に関する通知が届いた場合、「どうせ返ってこない」などと無視せず、書類の提出などはきちんと行いましょう。

【破産法により、無理な返済要求は違法】
「どうにかお金を返してもらいたい、まずは債務者の家に行ってみよう」などと思ってしまうこともあるかもしれませんが、破産した債務者に無理に返済を求めたり、返済を求めるために無理に面会しようとしたりすると罪に問われることがあります。これは、破産法第275条にその旨明記されています。

(2) 非免責債権である場合

上記の通り、基本的に「お金を貸していた相手が自己破産をした場合、それ以上の請求は不可能」ではありますが、例外的に自己破産した相手にも請求可能な場合があります。

「相手にお金を貸している」という状態ではなく、「慰謝料や損害賠償金など、相手から払ってもらえるはずのお金がある」という状態では、そのお金を自己破産後も請求できる可能性があります。

破産法には、下記のような請求権は「非免責債権(自己破産しても免責がされない=支払い義務が残る債権)」となる、という規定があります。

  • 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 婚姻費用や養育費などの扶養義務に基づく請求権 など

自分が持っている請求権が上記の「非免責債権」に当てはまるかどうかは、それぞれの案件の内容によって大きく異なりますので、専門家に確認してみる方が安心です。

[参考記事]

自己破産したら損害賠償も免責される?非免責債権と損害賠償請求権

2.お金を貸す段階で返済能力を見極めることが大事

上でご説明したとおり、債務者が自己破産をした場合、基本的に貸したお金は返ってきません。ですから、債権者としては、お金を貸す時点で債務者の返済能力を見極めることが重要になります。

そのため、消費者金融や銀行、信販会社などは顧客にお金を貸しつける際、信用情報などを参考に「この人にお金を貸した場合、きちんと返済してもらえるかどうか」を審査するのです。

このような審査が大事なのは、個人間での借金でも同じです。親戚だから、友達だから、と助けてあげたくなる気持ちは分かりますが、貸す相手がしっかりと返済をしてくれるのかどうかを見極めることが大切です。

[参考記事]

個人間のお金の貸し借りに注意!トラブル回避のための借用書の書き方

3.まとめ

原則として、「自己破産をして免責後の債務者に対して返済の請求はできない」と考えておくべきですが、非免責債権という例外はあります。
とはいえ、その例外に自分のケースが当てはまるかどうかは専門的な判断が必要となります。

自分の債権が非免責債権かどうか分からない場合には、一度法律の専門家に相談に行ってみましょう。

また、知人からの借金を抱えたまま自己破産をすると、上記のようにその知人に迷惑がかかってしまいます。
任意整理でしたら特定の借金を整理の対象から外すことができますが、そうでなければ、破産申立ての前にしっかりと周囲に説明をしておく必要があるでしょう。

今現在借金でお悩みの方は、どうかお早めに泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。あなたの状況に合わせた債務整理方法をアドバイスいたします。

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