自己破産 [公開日]2018年2月28日[更新日]2021年10月6日

お金を貸した相手が自己破産したら泣き寝入りしかない?

債務者(お金を借りた側)が自己破産に成功すれば、債務者の借金支払い義務はなくなります。
よって、債務者が自己破産をした場合、債権者(お金を貸した側)は借金を返してもらえず、泣き寝入りになる可能性が高いと考えるべきです。

しかし、場合によっては債務が免除されないケースや一部返ってくる可能性もあります。
債権者は自己破産開始決定の通知内容をしっかりと確認し、適切な対応をすべきでしょう。

今回は、「お金を貸した相手に自己破産されたらお金は戻ってこないのか?」「自己破産した人からお金を返してもらう方法はないのか?」という疑問に焦点を当て、債務者に自己破産された場合に債権者が取るべき対応について解説します。

1.自己破産されると債権者はどうなる?

自己破産は、多重債務者の経済的更生を図るための手続きです。
裁判所が免責(借金を0にすること)の許可を出した場合には、個人間の借金も含め、当該債務者が抱える債務は原則としてすべて免除されます(税金などの一部の債務を除く)。

つまり、自己破産した人に貸したお金は、返済する義務がなくなってしまうため戻ってこないということになります。

しかし、未払いの借金全額について必ずしも諦めなければならないというわけではありません。

自己破産をすると、債務者が所有している財産があれば一部処分・換価され、債権者に分配する手続きが取られます。
生活に必要な最低限度の資産は残すことができますが、マイホームや高価な車、99万円を超える現金などは債務の弁済に充てられるのです。

債務を免除するだけでは債権者にとってあまり不公平となってしまうため、債務者・債権者間の公平を図るために、このような資産の分配手続きが行われています。

換価された資産は、債務額に合わせて債権者へと平等に分配されます。
とは言え、債務の全額を返済してもらえることはないため、多少のお金が返ってくるのみと考えるべきです。

【手続き前に不当に財産を受け取ってはいけない】
債務者が自己破産の直前や支払い不能になった後に、特定の債権者だけに返済を行なったり、財産を与えたりしてしまうと、これは詐害行為や偏頗弁済(免責不許可事由)となります。
上記のような行為が行われると、債務者の財産が減ってしまい、他の債権者が満足な弁済を受けられません。よって、偏頗弁済を受けた債権者は、債務者から無料で資産を受け取っていた場合には資産価値の金額を、通常の売却金額から明らかに安く売却された場合にはその差額分を回収されます。返済を受けていた場合なら、受け取った返済金を回収されるでしょう。
「自分だけ先に返済をしてもらおう」と思っても無意味なものになってしまうので、手続き前に債務者から返済を受けたり、財産を受け取ったりすることはないように注意が必要です。

2.自己破産開始決定通知が届いた際の対応方法

さて、上記の配当をしっかりと受けるためにも、自己破産の開始決定通知が届いたら債権者として取るべき対応があります。

特定の債務者からの自己破産に関する通知が届いた場合には、以下の対応を取る必要があるでしょう。

  • 届いた通知内容を確認する
  • 同時廃止か管財事件かを確認する
  • 期限までに破産債権届出書を提出する
  • 必要な場合は意見書を提出する

まず、どんな通知が届いたのかを確認しましょう。

弁護士からの受任通知であれば、債務整理の種類や取り立て禁止に関することが書かれています。
貸金業法などの法律により、受任通知送付後は債務者本人に対して直接請求してはいけません。また、債務の支払いもストップされます。

債権者としては、以降は代理人である弁護士とやりとりをすることになります。

裁判所からの破産手続き開始決定通知の場合には、同時廃止か管財事件なのかを確認することが大切です。
管財事件では配当の手続きがあるため、今後配当を受け取れる可能性があります。

[参考記事]

自己破産で管財事件になったら|流れ・期間・予納金等を解説

管財事件の場合には、破産債権届出書が一緒に同封されているため、必要事項や同封すべき書類を集めて提出しましょう。
この手続きをしなかった場合には配当を受けられない可能性があるので注意すべきです。

参考:債権届をされる方へ|裁判所

また、免責に関する意見書を提出することもできます。内容としては「免責不許可事由があるため、自己破産を認めるべきでない」というものです。
もっとも、これが免責不許可に影響する可能性はかなり低いと考えられるため、意見を出すかどうかは自由です。

実際に免責不許可決定がされるのは、財産隠しや虚偽の申告を繰り返している、破産手続き開始後も反省せずギャンブルなどの浪費を続けているなど、特に悪質なケースのみでしょう。
反対に、上記のような行動が債務者に見られる場合には、積極的に意見書を提出する意味があります。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

【債権者集会への出席の可否も決定する】
管財事件では、手続きの中で「債権者集会」が開かれます。債権者集会では、破産管財人の調査の内容の報告を聞くことができます。
出席は義務ではありませんので欠席しても構いません(実際、出席する債権者は少ないです)。勿論、欠席が配当に影響することもありません。

3.自己破産した人からお金を返してもらう方法

最後に、配当以外の方法で、自己破産した人から債権者がお金を返してもらえる可能性について見ていきましょう。

(1) 保証人がいる場合

保証人(連帯保証人)がいる場合には、保証人に対し、主債務者が破産手続きを開始した時点で一括全額返済を求めることが可能です。

もっとも、保証人にも支払い能力がない場合には、保証人も債務整理などの手続きを行う場合があります。

(2) 非免責債権である場合

非免責債権とは、自己破産しても免責の対象とならない債権のことです。

代表的なものとしては、破産者が悪意で加えた権不法行為に基づく損害賠償請求権、養育費、婚姻費用などに関する請求権です。

これらの債権を有している場合は、自己破産をされてもこれまで通りお金を受け取ることができます。

[参考記事]

自己破産と損害賠償・慰謝料の支払い|非免責債権が払えない場合

【自己破産後に任意の弁済は可能】
自己破産では、あくまで返済義務がなくなるだけです。つまり、自己破産後でも、債務者が好意として返済する分には問題ありません。これを法律上は「自然債務」といいます。
友人や親族などの親しい間柄の場合、自己破産後に債務者から個人的に返済をしてもらえるというケースはあり得ます。
ただし、ここに返済強要などがあれば恐喝罪等で逮捕される可能性があります。自己破産後に取り立てをすることは絶対にしないようにしてください。

4.債務者が自己破産をしたら弁護士に相談を

債務者が自己破産をすると、借金は原則として満額は回収できません。
しかし、配当を受けられる可能性はある他、非免責債権である場合や保証人がいる場合には、回収が見込める可能性があります。

これらに該当する可能性がある場合には、自己破産者からの債権回収を受任している弁護士にご相談ください(なお、泉総合法律事務所では、自己破産者からの債権回収についてのご相談はお受けしておりません)。

また、当事務所では「自己破産をしたい」という相談を数多く承っております。
破産後の財産の分配などについても詳しくご説明しますので、借金問題でお困りの方は、是非一度泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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