自己破産 [公開日]2018年5月15日[更新日]2019年11月1日

自己破産後、いつまでマイホームに住めるのか?

自己破産は、借金を原則ゼロにできる強力な債務整理方法ですが、その代わりにマイホームは手放さざるを得なくなります。

その際、いつ自宅から出ていかなくてはいけないのでしょうか?
また、住宅ローンが残っている場合、そのローンの残務はどうなるのでしょうか?

この記事では、自己破産をしたらその後のマイホームがどうなるのかを解説します。

1.自己破産すると持ち家はどうなるのか

自己破産すると、今住んでいるマイホームを手放すことになります。自己破産では、資産価値の高い財産は換価され、債権者に分配されてしまうのです。

自己破産をした後いつまで持ち家に住み続けられるかですが、(状況によっていくつかのパターンがありますが)おおよそ半年~1年程度で出ていくことになると考えられます。

住宅ローンを完済しているかどうかで、破産後の対応が以下のように異なります。

住宅ローンが残っている場合 ⇒ ケース1.競売、ケース2.任意売却
住宅ローンを完済している場合 ⇒ ケース3.破産手続きの中で売却処分

次からの章で、全てのケースを1つずつ解説していきます。

2.住宅ローンが残っている場合

先に、住宅ローンの仕組みを簡単に解説しておきましょう。

住宅ローンの返済期間は一般的に20~30年になります。今では30年を超える住宅ローンも珍しくありません。
しかし、住宅ローンを貸し付けた金融機関にしてみれば、30年先も変わらず住宅ローンを返済してもらえる保証はありません。

そのため、金融機関は住宅ローンを融資するときに、不動産に「抵当権」を設定しています。

抵当権とは、住宅ローンでお金を借りた人が返済できなくなってしまった場合に、土地や建物を担保とする権利の事です。不動産を競売にかけることで、貸し付けたローンを回収できるのです。

さて、ここから本題に戻ります。

自己破産を申し立てると(弁護士に自己破産手続の依頼をした場合にはその時点で)、すべての返済がストップするため、金融機関は住宅ローンを回収できなくなります。
そこで、「抵当権」に基づいて不動産を競売にかけ、回収をします。

なお、自己破産を申し立てる前でも、住宅ローンが支払えずに返済が滞っている場合には、当然競売にかけられてしまう可能性があります。

(1) ケース1.競売

自己破産を申し立てた結果(場合によっては申し立て前に)、金融機関が不動産を競売にかけるため、マイホームを手放すことになる。これが1つ目のパターンです。

債権者が競売を申し立て、裁判所が「競売開始決定」を出すところから競売手続きが始まります。競売開始決定の1~3ヶ月後に裁判所から執行官と評価人がやってきます。

「現況調査報告書」と「評価書」が作成するのが目的ですが、専門的な文書ですから、そう簡単には完成しません。裁判所が売却基準価額と入札スケジュールを決定するのは、競売開始決定の3~6ヶ月後です。

その後、一番高い買い値を付けた人が落札し、買い受け代金が納付されると、ようやく落札者のもとにマイホームの所有権が移ります。つまり、マイホームが人手にわたり、明け渡しの必要が出てきます。

競売開始決定からこの段階でたどり着くまでに、どんなに早くても6ヶ月程度はかかるでしょう。

このように、競売手続きはずいぶんと時間がかかりますが、裏を返せば、マイホームの明け渡しにはそれだけ時間の猶予があるということです。

【競売の売却金額は低くなるという現実】
住宅ローンの返済がストップした場合、「不動産を競売にかけて売却代金から回収する」というのが、金融機関の原則的な対応です。
しかし、実際には、不動産を競売で処分すると売却金額が低くなりがちです。
また、不動産競売は裁判所の手続きですので、裁判所に申し立てる手間がかかり、さらに弁護士に依頼して申立てるため、その弁護士費用もかかります。
そのため、実務上は、競売ではなく「自主的な不動産売却」を勧めるケースが多くみられます。これを「任意売却」といいます。

(2) ケース2.任意売却

任意売却とは、要するに「不動産を中古市場で売却する」だけのことで、一般的な不動産の売却と大きな違いはありません。

ただし、売却代金は優先的に住宅ローンに充てられるので、実務上は、売却金額について債権者である金融機関の承諾が必要になります。自分のマイホームですが、自分の好きな金額で売却することはできないのです。

ここでは、住宅金融支援機構の住宅ローン物件の事例を使って、任意売却の手順を解説します。

まず、機構に「任意売却に関する申出書」を提出します。申出書には「住宅ローンの支払いが困難なので自宅を売却し、売却代金は返済に充てます。」といった内容が書かれています。

次に、相場外れの安値で売却されないように、不動産業者の査定金額等の資料を機構が確認します。
「どうせ手放すなら、友人や身内に格安で売ってしまおう」と考えても、そういう事はできない仕組みになっているのです。

売り出し価格が決定したら、売却活動が始まり、購入希望者が現れた場合には、機構の承諾を得て、不動産の売買契約を締結します。

この段階でマイホームが他人の手にわたるため、明け渡しが必要になります。平均3~6ヶ月ほどが一般的な期間なので、こちらも半年程度は住んでいられる可能性が高いでしょう。

[参考記事]

住宅ローンが残った自宅を任意売却。流れとその後の自己破産について

3.住宅ローンを完済している場合

住宅ローンを完済すると、抵当権は抹消されるため、金融機関に競売にかけられるおそれはありません。
しかし、結論的には、住宅ローンを完済していても、不動産を手放すことになります。

破産手続きは、本来、破産者の財産を処分して(金銭に換えて)、債権者に平等に分配することを目的としています。

とはいえ、破産者の財産をすべて処分してしまうと、その後の生活が成り立たないため、一定レベルの財産(現在の東京地裁の運用では、現預金等を含めて合計99万円まで)については、保有が認められています。

しかし、残念ながら、マイホームは高額財産ですので、原則として保有は認められません。
つまり、マイホームは売却処分の対象となるため、手放さざるを得ないのです。

(1) ケース3.破産手続きの中で売却処分

破産手続きは、破産者の財産を処分して(金銭に換えて)、債権者に平等に分配することを目的としています。
そのためには、財産を処分して、平等に分配する人物が必要になります。

その役割を担うのが、裁判所に選任された「破産管財人」です。破産管財人は通常、弁護士の中から選ばれます。

[参考記事]

破産管財人とは?誰が選ばれ、どんな仕事をするのか?

不動産の売却処分は破産管財人が行い、不動産の売却代金も債権者への配当に充てられることになります。

しかし、破産管財人が売却処分する、といっても、何か特別な売却方法が用意されているわけではなく、破産管財人が地元の不動産業者に依頼して買主を探すのが一般的です。

したがって、売却処分する不動産が人気物件ならすぐに買い手が見つかり、不人気物件だとなかなか買い手が見つからない、という結果になるでしょう。
つまり、売却までのスピード次第で、マイホームを明け渡すタイミングも変わってくる、というわけです。

4.賃貸物件に住んでいる場合

賃貸物件も広い意味ではマイホームかもしれませんが、そもそも借り物ですので、破産しても処分を求められることはありません。
家賃を払い続ける限り、そのまま住み続けることが可能です。

ただし、注意点としては、家賃を滞納している場合には退去させられる可能性が高いです。

自己破産には、過去の債権がすべて含まれます。つまり、滞納していた家賃も自己破産で清算することになります。そうなると「借金を踏み倒している人は住まわせられない」として退去を要請する事が考えられます。

だからといって、自己破産するのに滞納家賃だけを支払うのは偏頗弁済(自己破産直前に裁判所を介さずに一部の債権者に優先的に借金を返済すること)に該当するおそれがあり、おすすめできません。最悪の場合、免責不許可事由となって、借金の免責が下りないかもしれません。

しかし、これには例外があって、家は生活するために必要なものなので、場合によっては例外的に返済が認められる可能性があります。

ただし、ご自身で安易に判断せず、必ず弁護士や破産管財人に相談してから、行動を起こすようにしてください。

[参考記事]

賃貸保証会社の注意点!自己破産するとアパートは借りられないのか?

5.まとめ

以上のように、自己破産した場合には、原則としてマイホームを手放すことになりますが、明け渡しまでの猶予はケースバイケースです。

住宅ローンが残っている場合は競売・任意売却、住宅ローンを完済している場合は、破産手続きの中で売却処分という形になります。マイホームに長く住めれば、その分だけ家賃の負担が減るので、慌てて引っ越してしまうのはもったいないことです。

また、様々な制約はありますが、自己破産しながらでも持ち家に住み続けられる「リースバック」という方法もあります。

[参考記事]

リースバックで住宅に住み続けられる!?任意売却との違いとメリット

自己破産を依頼するときに、住まいについても弁護士に相談するとよいでしょう。是非、債務整理の解決実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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