自己破産後のマイホームにはいつまで住み続けられるのか?

自己破産

【この記事を読んでわかる事】

  • 自己破産では必ずマイホームを手放さなければならないのか
  • 自己破産した場合、マイホームにはいつまで住み続けられるのか
  • マイホームを売却する場合の注意点(できるだけ高く売りたい)

 

自己破産した場合、残念ながらマイホームは手放さざるを得なくなります。

では、そもそも自己破産するとなぜマイホームを手放すことになるのでしょうか。また、自己破産した場合にいつまで住み続けられるのでしょう。

今回は、自己破産とマイホームについて解説します。

1.破産手続きとマイホーム

自己破産するとマイホームを手放すことになります。ただし、状況によって、いくつかのパターンがあります。

(1) 住宅ローンが残っている場合

先に住宅ローンの仕組みを簡単に解説しておきましょう。

住宅ローンの返済期間は20~30年におよびます。今では30年を超える住宅ローンも珍しくありません。

しかし、住宅ローンを貸し付けた金融機関にしてみれば、30年先も変わらず住宅ローンを返済してもらえる保証はありません。

そのため、金融機関は住宅ローンを融資するときに、不動産に「抵当権」を設定しています。

抵当権とは、不動産を競売にかけて貸し付けたローンを回収できる強力な権利です。

さて、ここから本題に戻ります。

自己破産を申し立てると、すべての返済がストップするため、金融機関は住宅ローンを回収できなくなります。そこで、「抵当権」に基づいて不動産を競売にかけ、回収を図ります。

自己破産を申し立てた結果、金融機関が不動産を競売にかけるため、マイホームを手放すことになる。これが一つ目のパターンです

①競売の現実

住宅ローンの返済がストップした場合、「不動産を競売にかけて売却代金から回収する」というのが、金融機関の原則的な対応です。

しかし、実際には、不動産を競売で処分すると売却金額が低くなりがちです。

また、不動産競売は裁判所の手続きですので、裁判所に申し立てる手間がかかるうえに、通常は弁護士に依頼して申立てるため、その弁護士費用もかかります。

そのため、実務上は、競売ではなく「自主的な不動産売却」を勧めるケースが多くみられます。これを「任意売却」といいます。

(2) 住宅ローンを完済している場合

住宅ローンを完済すると、抵当権は解除されるため、金融機関に競売にかけられるおそれはありません。

しかし、結論的には、住宅ローンを完済していても、不動産を手放すことになります。
破産手続きは、本来、破産者の財産を処分して(金銭に換えて)、債権者に平等に分配することを目的としています。

とはいえ、破産者の財産をすべて処分してしまうと、その後の生活が成り立たないため、一定レベルの財産(現在の東京地裁の運用では、現預金等を含めて合計99万円まで)については、保有が認められています。

残念ながら、マイホームは高額財産ですので、原則として保有は認められません。つまり、マイホームは売却処分の対象となるため、手放さざるを得ないのです。

(3) 賃貸物件の場合

賃貸物件も広い意味では「マイホーム」かもしれませんが、そもそも借り物ですから、破産しても処分を求められることはありません。

家賃を払い続ける限り、そのまま住み続けることが可能です。

2.マイホームにいつまで住み続けられるか

破産した場合には、上記のとおり、競売によって売却処分するケース、任意売却で処分するケース、それから、破産手続きの中で売却処分するケースの3通りが考えられます。

(1) 競売の流れ

債権者が競売を申し立て、裁判所が「競売開始決定」を出すところから競売手続きが始まります。ここが競売の入り口です。

競売開始決定の1~3ヶ月後に裁判所から執行官と評価人がやってきます。

現況調査報告書」と「評価書」が作成するのが目的ですが、専門的な文書ですから、そう簡単には完成しません。

裁判所が売却基準価額と入札スケジュールが決定するのは、競売開始決定の3~6ヶ月後です。

その後、一番高い買い値を付けた人が落札し、買い受け代金が納付されると、ようやく落札者のもとにマイホームの所有権が移ります。つまり、マイホームが人手にわたり、ようやく明け渡しの必要が出てきます。

競売開始決定からこの段階でたどり着くまでに、どんなに早くても6ヶ月程度はかかるでしょう。

このように競売手続きはずいぶんと時間がかかりますが、裏返せば、マイホームの明け渡しにはそれだけ時間の猶予があるということです。

(2) 任意売却の場合

専門的な手続きのように聞こえますが、要するに「不動産を中古市場で売却する」だけのことで、一般的な不動産の売却と大きな違いはありません。

ただし、売却代金は優先的に住宅ローンに充てられるので、実務上は、売却金額について金融機関の承諾が必要になります。自分のマイホームですが、自分の好きな金額で売却することはできないのです。

ここでは、住宅金融支援機構の住宅ローン物件の事例を使って、任意売却の手順を解説しましょう。

①機構に「任意売却に関する申出書」を提出する。

申出書には「住宅ローンの支払いが困難なので自宅を売却し、売却代金は返済に充てます。」といった内容が書かれています。また、売却を依頼する不動産業者名も記載します。

②不動産業者が査定し、関連資料を機構に提出する。

相場外れの安値で売却されないように、不動産業者の査定金額等の資料を機構が確認します。

「どうせ手放すなら、友人や身内に格安で売ってしまおう」と考えても、そういう不正はできない仕組みになっています。

③機構が売り出し価格を決定し、売却活動がスタート。

売り出し価格が決定したら、売却活動のスタートです。不動産業者は、機構に対して毎月1回のペースで販売活動を報告しなければなりません。

④売買契約の締結、代金決済

購入希望者が現れた場合には、機構の承諾を得て、不動産の売買契約を締結します。この段階でマイホームが人手にわたるため、明け渡しが必要になります。

(3) 破産手続きの中で売却処分する場合

先ほど説明したとおり、破産手続きは、破産者の財産を処分して(金銭に換えて)、債権者に平等に分配することを目的としています。

そのためには、財産を処分して、平等に分配する人物が必要になります。

その役割を担うのが、裁判所に選任された「破産管財人」です。破産管財人は通常、弁護士の中から選ばれます(破産管財人とは?誰が選ばれ、どんな仕事をするのか?)。

不動産の売却処分は破産管財人が行い、不動産の売却代金も債権者への配当に充てられることになります。

しかし、破産管財人が売却処分する、といっても、何か特別な売却方法が用意されているわけではなく、破産管財人が地元の不動産業者に依頼して買主を探すのが一般的です。

したがって、売却処分する不動産が人気物件ならすぐに買い手が見つかり、不人気物件だとなかなか買い手が見つからない、という結果になるでしょう。

つまり、売却までのスピード次第で、マイホームを明け渡すタイミングも変わってくる、というわけです。

3.まとめ

以上のように、自己破産した場合には、原則としてマイホームを手放すことになりますが、明け渡しまでの猶予はケースバイケースです。

マイホームに長く住めれば、その分だけ家賃の負担が減るので、慌てて引っ越してしまうのはもったいないことです。

自己破産を依頼するときに、住まいについても弁護士に相談するとよいでしょう。是非、債務整理の解決実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

債務整理コラム一覧に戻る