免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

自己破産

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

債務整理にはいくつかの種類がありますが、なかでも自己破産手続を行うにあたり、免責不許可事由に該当するか否かが問題になります。
該当すると、自己破産手続をとっても借金が免除にならないとされていますが、具体的にどのような場合が免責不許可事由に該当するのでしょうか。

以下、免責不許可事由について説明します。

1.自己破産とは

1-1.自己破産について

自己破産とは、支払不能状態にある債務者(=借金がある人)の財産を、債権者(=お金を貸した側)に公平に分配する手続です。

自己破産をしたい人は、借金の免除を求めて自己破産の申立を行いますが、自己破産申立と、借金の免除を求める免責の申立は、別の手続になります(とはいえ、破産申立の書式の中に免責の申立を行う項目もありますので心配いりません)。

1-2.免責とは

免責とは

「破産法における破産者の免責は、誠実なる破産者に対する特典として、破産手続において、破産財団から弁済できなかった債務につき特定のものを除いて、破産者の責任を免除するもの」(最高裁判所昭和36年12月13日・民集 15巻11号2803頁参照)

とされております。要するに、破産手続の中で債務者の財産を債権者に分配することで借金に充当してもらい、それでも借金が残ってしまったら、その借金の支払義務が免除されるというものです。

なお、ご注意いただきたいのは、借金自体が免責により消滅するわけではありません。債務者は免責を受けることにより、借金の弁済に関する責任を免除されるに過ぎないのです。法律ではこのような借金を自然債務といいます。

したがって、破産者が免責を受けたのち、任意で弁済をすること自体は構わないという結論になります。

2.免責不許可事由とは

免責不許可事由は、破産法第252条1項第1~11号に列挙されている事由です。

以下で免責不許可事由とは何かを具体的に説明します。

債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと(破産法第252条第1項第1号)。

いわゆる財産を隠してしまうことです。

破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと(同2号)。

いわゆる換金行為と呼ばれるもので、たとえば、自己破産の申立の前に、クレジットカードで買い物をしてそれを業者に売却することです。昨今では「クレジットカードの現金化」といわれています。

なお、上記のクレジットカードの現金化については、違法であるとの疑いが強い行為ですので、破産申立の場合に限らず、行わない方がよいでしょう。

特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと(同3号)。

いわゆる偏波弁済(へんぱべんさい)と言われているものです。例えば、弁護士に自己破産手続を依頼し、消費者金融などの業者に対する返済を止めているにも関わらず、親しい友人の借金だけ支払ってしまうような行為です。

浪費又は 賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと(同4号)。

ここでは、単に浪費したことや、いわゆるギャンブルである賭博行為を行っただけでこの事由に該当するというわけではありません。多額な借金がある中で浪費をしたり、浪費をしてまで借金をした人は、この項目に該当すると言ってよいでしょう。

破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと(同5号)。

この項目で多い例が、既にどこからも借金することができない状態の人が、新たな借金を申し込む際に、自分の借金の金額や収入を偽ることです。

業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと(同6号)。

通帳や給与明細など、裁判所へ提出しなければならない書類を、悪意を持って破棄したり、改ざんする行為です。

虚偽の債権者名簿(債権者一覧表を含む)を提出したこと(同7号)。

破産申立の際に、添付書類として債権者一覧表を提出しますが、その債権者一覧表に虚偽記載をした場合がこれにあたります。

破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと(同8号)。

裁判所に自己破産の申請後、裁判所から申立書の内容について追加の報告を求められることがあります。これを拒否したり、虚偽の報告をしてしまうとこの項目に該当してしまいます。

不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと(同9号)。

たとえば、自己破産手続が管財事件であれば管財人弁護士が選任され、不動産を所有している場合、管財人弁護士が不動産の売却手続を行います。ですが、管財人弁護士が何も知ることなく不動産を売却してしまった場合は、この項目に該当してしまいます。

破産に係る免責許可確定日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと(同10号)。

前回自己破産の手続をとってから7年間が経過していないと、再び自己破産手続をとっても免責を受けることができませんのでご注意ください。

破産管財人への説明義務、破産管財人等への重要財産開示義務及び裁判所が行う免責に関する調査への協力義務の各義務に違反したこと(同11号)。

自己破産手続が管財事件であれば管財人弁護士が選任されます。管財人弁護士から、たとえば毎月家計簿の提出を求められ、これを拒否してしまうとこの項目に該当してしまいます。

免責不許可事由の説明は以上のとおりです。
ちなみに、特に裁判所が目を光らせているのが、3号(偏頗弁済)と4号(浪費)になります。

3.免責不許可事由に当てはまると

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!2

では、上記2の免責不許可事由に該当した場合、破産者は、まったく免責を受けることができないのでしょうか。

この場合、破産法第252条第2項に規定されている「裁量免責」によって免責される場合が殆んどです。ここでは、「裁量免責」がどのような場合になされるのかについて説明します。

3-1.裁量免責

・意義

「裁量免責」とは、破産者が免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判所が破産手続開始決定に至った経緯などの事情を考慮し、免責を許可することをいいます。

裁判所が考慮する事情は、主に

(ア)  免責不許可事由に該当する行為の性質、程度

(イ)  破産者の反省の態度、手続に対する協力

(ウ)  経済的更生の可能性

の3つだと言われています。

免責不許可事由に該当する性質や程度については、これは過ぎたことですので、今更どうすることもできません。ですが、その行為を行ったことを認め、反省し、手続をお願いした弁護士、裁判所、管財人弁護士に対し、誠意を持って手続に協力すれば、裁量免責を得られることが殆んどです。
また、現在は金銭管理をしっかりできていることを裁判所などに示し、人生の再スタートをきるには借金の免除決定が必要不可欠であることを分かってもらう必要があります。

3-2.裁量免責のまとめ

以上のとおり、裁量免責は、破産者が借金をしてから自己破産の申立を行うまでに留まらず将来の経済的更生の可能性といった、現在・過去・未来の全ての要素を裁判所が考慮してなされるものです。

4.自己破産を検討するなら

もし、自己破産の手続を検討している方で、借金の事情の中に免責不許可事由に該当するようなことがあっても、「裁量免責」によって自己破産で借金が免除になることが殆んどであると言えます。自己破産を検討している方は、一人で悩まずに弁護士に相談してみてください。

泉総合法律事務所では、免責不許可事由に該当するケースでも裁量免責によって、無事に免責決定となった解決実績が豊富にあります。

債務整理のご相談は何度でも無料となっております。自己破産を検討している方は、まずはお気軽に泉総合法律事務所へご相談ください。

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