自己破産 [公開日]2019年7月16日[更新日]2020年12月3日

自己破産の「免責」とは?許可がおりなかったらどうなる?

自己破産の最終的な目標は、裁判所から「免責」を受けることです。
「免責」を簡単に説明すると「借金をゼロにする」ことです。

自己破産は「破産手続」と「免責手続」で構成されていますが、「破産手続」で自分が持つ一定以上の財産を処分してお金に換えて債務者に弁済し、それでも弁済しきれなかった借金について「免責手続」によって帳消しにするどうかを裁判所が判断するのです。

では、無事に免責を受けるためには何をすればいいのでしょうか?

本記事では、自己破産を検討している人に向けて、「免責」について解説していきます。
自己破産をする前にぜひお読みいただければと思います。

1.免責による効果

一般に「免責を受ける」「免責許可がおりる」とは、裁判所に借金をゼロにしてもらうという意味です(反対に「免責を受けられなかった」「免責許可がおりなかった」とは、借金をゼロにしてもらえなかったという意味です)。

自己破産を行う人の多くは、借金をゼロにしてもらうことを目的としているはずです。
免責を受けられなければ自己破産をする意味がないとも言えるので、自己破産を行うときは免責を受けられるように最善を尽くすことが大切となります。

しかし、免責の効果はそれだけではありません。
もう少し具体的に免責の効果を見ていきましょう。

(1) 非免責債権以外の借金がゼロになる

借金がゼロになると書きましたが、正確には「非免責債権」以外の借金がゼロになります。

非免責債権とは、文字通り「免責されない債権」のことで、税金や社会保険料、養育費等がこれに当たります。
また、故意や重大な過失等で他人の生命又は身体を傷つけたことによる損害賠償債務等も非免責債権です。

非免責債権は免責を受けても支払い義務が残ってしまうため、借金の内容が非免責債権ばかりの際には自己破産をする意義が薄くなってしまう可能性があります。

自分の借金に非免責債権が含まれているかどうか気になる人は、弁護士に相談して確認しておきましょう。

[参考記事]

自己破産と損害賠償・慰謝料の支払い|非免責債権が払えない場合

(2) 給与の差し押さえが解除される

給与の差し押さえを受けている場合、破産手続開始の決定を受けたときに差し押さえ等の強制執行手続が止まります。

しかし、すぐに給与の全額が支払われるというわけではありません。

自己破産には「管財事件」と「同時廃止」という2種類の手続があります。
管財事件は破産申立人に一定以上の財産や免責不許可事由がある場合等に適用され、同時廃止は破産申立人にさしたる財産がない場合に適用されることが多いです。

[参考記事]

自己破産で管財事件になったら|流れ・期間・注意点を解説

管財事件の場合は破産手続開始決定が出れば給与の差し押さえが失効し、差し押さえから解放されます。

一方、同時廃止の場合は破産手続開始決定により給与の差し押さえ手続が中止されますが、免責の確定まで失効はしません。
給与を満額受け取れるようになり、差し押さえられていた分のお金が戻ってくるのは免責を受けた後なのです。

給与の差し押さえについては以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

(3) 復権する

自己破産手続中は様々な制約を受けます。
これらの制約が解かれることを「復権」と言い、免責が認められたら復権することができます。

自己破産手続中の制約と復権について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

自己破産における破産者の復権とは?

(4) 官報に載る

官報とは、国が発行している機関紙です。
自己破産をすると破産手続開始決定から約2週間後にその旨が官報に掲載され、氏名住所等も同時に公開されます。

免責されるとやはり約2週間後にその旨が官報に掲載されます。

詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

自己破産・個人再生で掲載される官報とは何か?

2.免責不許可事由について

自己破産の免責においては「免責不許可事由」というものが問題となります。

免責不許可事由とは、その名の通り「免責を不許可にするべき事項」です。「ギャンブルや浪費による借金」「詐術を用いて借りたお金」「自己破産に関連する書類の破棄・改ざん」などは免責不許可事由に当たり、原則として免責が認められないことになっています。

しかし、破産法252条第2項の「裁量免責」により、実は免責不許可事由があってもほとんどのケースで自己破産が認められています。

裁量免責の制度があることで、免責不許可事由がある場合でも裁判所の判断で免責を許可することができるのです。

債務者(破産者)が深く反省し、裁判所の調査にも誠実に対応し、手続きに協力的な姿勢を見せれば、免責は許可される可能性が高いでしょう。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

なお、免責不許可事由を隠していたことが判明した場合、免責決定後であっても免責許可が取り消されてしまう可能性があります。
免責不許可事由に当たることがある場合、最初から正直に打ち明けるようにしましょう。

【免責許可決定と確定の違い】
免責を受けると裁判所から免責許可決定通知が送られてきますが、実はこの時点では免責が確定しているわけではありません。免責は官報に掲載された日の翌日から2週間後に「確定」し、そこではじめて効果が発揮されて借金がなくなります。
官報に免責の事実が載るのは免責決定から約2週間後なので、免責許可決定後から免責確定までの期間は約4週間、ほぼ1ヶ月かかってしまうのです。
「免責を許可します」という通知は裁判所から来るのですが、「免責許可が確定しました」という通知は来ません。免責の確定を知らせる書面が欲しい場合は、裁判所に「免責許可決定確定証明書」を申請する必要があります。

3.免責不許可になった場合の対処法

このように、免責が「不許可」になる確率は極めて低いです。

もっとも、仮に自己破産をしても残念ながら免責されない場合はどうしたらいいでしょうか。

当然ながら借金もゼロにならないわけですが、この状態から打てる対策にはどのようなものがあるのでしょうか?

(1) 時効を待つ

借金には消滅時効というものがあります。一定期間経過すれば借金は消滅するのです。
これを狙ってそのまま放置するという方法がありますが、あまり現実的ではありません。

時間がかかりますし、債権者も時効の成立を阻止しようと策を講じてくるからです。
別の方法を考えた方がいいでしょう。

[参考記事]

借金の時効が成立するには?時効の援用ができないケース

(2) 即時抗告する

即時抗告とは、平たく言えば裁判所に「もう一度審理してください」とお願いすることです。

即時抗告は、免責不許可の判断をした原裁判所(地方裁判所)に対して「即時抗告申立書」「抗告状」といった書面を提出することにより行います。これらの書面の宛名は高等裁判所で、提出先が原裁判所になります。

即時抗告は裁判所から免責不許可通知が届いてから1週間以内に行う必要があります。
急がなければならないので、速やかに弁護士と連携して手続を行ってください。

(3) 他の債務整理をする

任意整理個人再生といった、自己破産以外の債務整理をして検討みるのもいいでしょう。
どちらも借金を帳消しにする効果はありませんが、減額など一定の効果を望めます。

しかし、任意整理や個人再生に移行したとしても、自己破産に費やした手間や時間、費用は返ってきません。

弁護士に相談して、最初からあなたにとって最適の債務整理方法をアドバイスしてもらうべきです。

4.自己破産で免責を得るには弁護士へ

自己破産をしても、免責許可がおりなければ借金問題は解決しません。
自己破産をするときは予め弁護士に相談し、自分は免責を受けられそうか、受けられそうにないならどのような解決策があるのかを確認してください。

借金問題に詳しい弁護士なら、相談者の状況にあった最適な解決方法を教えてくれるはずです。

借金のことを人に相談するのは恥ずかしいかもしれませんが、弁護士はその道のプロであり、親身になって相談者の話を聞いてくれます。

借金問題でお悩みの方は、安心して泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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