給料が差し押さえられた!給与差し押さえの流れと破産による解除

自己破産

給料が差し押さえられた!給与差し押さえの流れと破産による解除

「私はA社をはじめ5社から借入があります。これまでは生活費を切り詰めるなどして何とか支払いを続けてきました。しかし、最近になって月々の支払いが滞ってしまうところが出てくるようになって、少し前に裁判所から郵便が届きました。
裁判所から届いた郵便をどう対処していいのか分からないまま放置してしまいました。それから数ヵ月経ったら、今度は給料が差し押さえられてしまったのです。もうどうしていいのか…。」

弁護士が、そういった相談を受けることがあります。

実際、こうなった場合にはどう対処すれば良いのでしょうか。ここでは、自己破産における給与差し押さえについて、解説していきます。

1.差し押さえの流れ

給与に限らず、債権者が差し押さえをするためにはどの様な手順を踏まなければならないのか、まずはその流れを確認します。

(1) 債務不履行が発生

債務者が約束通りに返済を継続しているかぎりは、債権者も契約に拘束されます。そのため、仮に一括支払いを求める裁判を起こしても一括支払いは認められません。

債務者が約束通りの返済ができなくなり滞納が続くと、契約内容に基づき債務者は期限の利益を失うことになり、残額の一括請求を債権者から求められることになります。

(2) 訴訟の提起

期限の利益を失って一括での支払いを求められても、債務者が一括で返済できるケースは極めて稀です(分割払いでさえ厳しいわけですから、一括と言われてもまず無理でしょう)。

この一括支払いの請求にも応じられないでいると、債権者はいよいよ訴訟を提起してきます。

(3) 判決の取得

起こされる訴訟は「貸金返還」「立替金返還」など、債権の性質により若干の違いはありますが、「払ってもらう約束になっていたにもかかわらず、払ってくれないので訴えを提起した」という内容であることはほぼ共通しています。

中には全く身に覚えのない請求や不当な請求といったものもありますが、一般的には債務者にとっても心当たりのある訴訟が大半です。

そのため、債権者の請求を認める判決や債権者の主張に沿う裁判上の和解が結ばれるケースが圧倒的多数となります。

(4) 強制執行

債権者は、判決を取得するとようやく強制執行手続に着手できます。もっとも、判決を取得したから、自動的に裁判所が強制執行手続に動いてくれるわけではありません。

判決取得後、債権者は改めて強制執行の申立を裁判所に起こさなければいけません。また、強制執行をする目的物も債権者の側で特定することが必要になります。

給与の場合、債務者がどこの会社に勤務しているかを特定しないと、裁判所は差し押さえをしてくれません。

(5) 給与の差し押さえ

判決も取得し、債務者の勤務先を特定したうえで強制執行の申立をし、裁判所が差し押さえを認めると、裁判所から債務者の勤務先へ給与が差し押さえられた旨の通知が届きます。ここまで来てしまうと、当然勤務先へ借金がバレてしまいますし、原則として完済するか退職するまで給与の差し押さえが継続することとなってしまいます。

差し押さえの範囲については原則、公租公課を控除した給与の4分の1となっています(ただし、33万円を超えた部分については全額差し押さえ可能)。

債務不履行→訴訟→判決→強制執行のおおまかな流れは、以上の通りとなります。

以上のように、債権者にとって給与の差し押さえに至るまでの手順は長く、相当の手間はかかりますが、実際に差し押さえが実行されれば、安定して毎月ほぼ定額の回収が図れるわけですので、有効な手段であると言えます。

2.給与差し押さえの解決策

給与の差し押さえに至る方の多くは、やはり多重債務者です。多数の貸金業者などへの返済に追われる中で、返済が滞ってしまい債権者から訴訟を起こされるというケースが多いわけですから、さらに収入源である給与まで差し押さえられてしまうと、債務者の生活に甚大な影響を及ぼすことになります。

したがって、このような状況下で「完済して差し押さえを終わらせる」という手段は、経済的に極めて困難であると言えるでしょう。

そこで、このような状況に陥ってしまったときの現実的な解決策として、自己破産や個人再生といった法的な手続の検討をおすすめします。これに関係する条文が破産法42条1項、2項です。

破産法

第四十二条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

2  前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

条文の意味を簡単に説明すると、42条1項は「破産手続の開始決定後は強制執行などができない」ということ、2項は「すでに行われている強制執行などについても対破産財団との関係で効力を失う」ということを意味しています。

この条文により、給与の差し押さえからも解放されることになるわけです。

3.給与差し押さえ解除の注意点

上記のとおり、破産手続開始は債務者にとって給与差し押さえから解放されるという非常に大きなメリットがあります。しかし、気をつけなければならない点もあります。

(1) 同時廃止手続

管財事件の場合は、破産手続の開始によって給与の満額がすぐに支給されるようになります。しかし、同時廃止の場合は直ちに給与満額が支給されるわけではありません。

同時廃止では破産手続開始により、いったん強制執行が中止されるだけになります。免責許可決定が出るまでは支払いが留保されることになります。つまり、免責許可決定が出ることで給与満額が支給され、それまで留保された分も支給されることになります。

したがって、免責許可決定が出るまで2~3ヶ月かかりますので、その間はまだ減額分の給与しか受け取れないことになります。

(2) 滞納処分

破産手続が開始されても影響を受けることなく続いてしまうのが税金滞納などで行われている滞納処分です。

第四十三条 
2  破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。

この場合は、破産手続では解決ができませんので、滞納処分の続行が生活に支障を生じさせる場合には担当部署との個別の交渉が必要となります。

(3) 勤務先への通知

破産開始決定により給与の差し押さえからは解放されますが、その旨については当然に裁判所から勤務先へ通知が行くことになります。したがって、その通知の記載内容を確認した勤務先の担当者には、破産した事実が知られてしまうことになります(但し、通常は破産を根拠に解雇することはできません)。

4.多重債務なら泉総合へ相談を

返済が厳しい中、さらに給与の差し押さえまで受けてしまうと自力で現状を打開することは非常に困難です。それでも何とかしようと闇金にまで手を出してしまうと、家族や友人などにも多大な迷惑を与えてしまうおそれがあります。

そういった状況に至る前に専門家である弁護士に打開策を相談することが、問題解決への1番の近道となります。

泉総合法律事務所では、債権者から給与差し押さえを受けている方の破産申立を数多く手掛けてきました。最善のタイミングで差し押さえを解除するためには、深い知識とともに豊富な経験が必要です。

給与差し押さえを受けており、かつ多重債務でお困りの方は、今すぐ泉総合法律事務所へご相談いただくことを強くおすすめします。借金問題のご相談は何度でも無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。

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