自己破産 [公開日][更新日]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

借金滞納で給与を差し押さえられた!自己破産で解除できるのか?

【この記事を読んでわかる事】

  • 借金の滞納を続け、給与が差し押さえられるまでの流れ
  • 給与差し押さえの解除方法とは?
  • 給与差し押さえを回避するにはどうすればよいのか?

 

「私はA社をはじめ5社から借入があります。これまでは生活費を切り詰めるなどして何とか支払いを続けてきました。
しかし、最近になって月々の支払いが滞ってしまうところが出てくるようになって、少し前に裁判所から郵便が届きました。

裁判所から届いた郵便をどう対処していいのか分からないまま放置してしまいました。

それから数ヵ月経ったら、今度は給料が差し押さえられてしまったのです。もうどうしたらいいのか…」

給料の差し押さえの相談を受けることはよくあります。

借金を返さないまま放置していると、多くの債権者が「貸金請求事件」「支払督促」の申立をしてきます。

これらは、「貸したお金を返してください」という主張に基づく裁判になりますので、お金を借りている側は必ず負けてしまいます。

裁判所からの郵便を放置したり、裁判が終結したりすると、債権者は「債務名義」と言って「財産を差し押さえできる権利」を手にします。この結果、給料が差し押さえられてしまうことになります。

借金の状況がここまで進んでしまうと、多くの方がもはや借金を支払うことができない状態ですので、自己破産の手続をとることになります。

このコラムでは、給与差し押さえの逃れ、解除、回避方法に関して、弁護士が分かりやすく解説します。

1.債権者が差し押さえられるもの

  • まず差し押さえられるのは「給料」
  • 家財道具や家電製品は差し押さえられない

一番の誤解が、多くの方が「家財道具」や「家電製品」が差し押さえられるのでは?と考えていることです。

実は、民事執行法という法律では、家財道具や家電製品などの生活に欠かせない品は、差し押さえしてはいけないと定められているため、債権者は「家財道具」や「家電製品」を差し押さえすることはできません

差し押さえする側としては、せっかく差し押さえするために手間暇をかけて面倒な手続を行うわけですから、確実に回収したいと考えるのが当然です。

それゆえに、多くの債権者は、確実に回収できる財産として「給料」を差し押さえてくるのです。

2.給与差し押さえの流れ

  • 債務不履行→訴訟→判決→強制執行手続→給与の差し押さえ

給与に限らず、債権者が差し押さえをするためにはどの様な手順を踏まなければならないのか、まずはその流れを確認します。

(1) 債務不履行が発生

債務者が約束通りに返済を継続しているかぎりは、債権者も契約に拘束されます。

そのため、仮に一括支払いを求める裁判を起こしても一括支払いは認められません。

債務者が約束通りの返済ができなくなり滞納が続くと、契約内容に基づき債務者は期限の利益を失うことになり、残額の一括請求を債権者から求められることになります。

(2) 訴訟の提起

期限の利益を失って一括での支払いを求められても、債務者が一括で返済できるケースは極めて稀です(分割払いでさえ厳しいわけですから、一括と言われてもまず無理でしょう)。

この一括支払いの請求にも応じられないでいると、債権者はいよいよ訴訟を提起してきます。

(3) 判決の取得

起こされる訴訟は「貸金返還」「立替金返還」など、債権の性質により若干の違いはありますが、「払ってもらう約束になっていたにもかかわらず、払ってくれないので訴えを提起した」という内容であることはほぼ共通しています。

中には全く身に覚えのない請求や不当な請求といったものもありますが、一般的には債務者にとっても心当たりのある訴訟が大半です。

そのため、債権者の請求を認める判決や債権者の主張に沿う裁判上の和解が結ばれるケースが圧倒的多数となります。

(4) 強制執行手続

債権者は、判決を取得するとようやく強制執行手続に着手できます。

もっとも、判決を取得したから、自動的に裁判所が強制執行手続に動いてくれるわけではありません。判決取得後、債権者は改めて強制執行の申立を裁判所に起こさなければいけません。

また、強制執行をする目的物も債権者の側で特定することが必要になります。

給与の場合、債務者がどこの会社に勤務しているかを特定しないと、裁判所は差し押さえをしてくれません。

【参考】強制執行に必要な債務名義とは?取得されてしまった場合の対処法

(5) 給与の差し押さえ

判決も取得し、債務者の勤務先を特定したうえで強制執行の申立をし、裁判所が差し押さえを認めると、裁判所から債務者の勤務先へ給与が差し押さえられた旨の通知が届きます。

ここまで来てしまうと、当然勤務先へ借金がバレてしまいますし、原則として完済するか退職するまで給与の差し押さえが継続することとなってしまいます。

差し押さえの範囲については原則、公租公課を控除した給与の4分の1となっています(ただし、33万円を超えた部分については全額差し押さえ可能)。

債務不履行→訴訟→判決→強制執行手続→給与の差し押さえ のおおまかな流れは、以上の通りとなります。

以上のように、債権者にとって給与の差し押さえに至るまでの手順は長く、相当の手間はかかりますが、実際に差し押さえが実行されれば、安定して毎月ほぼ定額の回収が図れるわけですので、有効な手段であると言えます。

3.給与差し押さえの解除方法

借金滞納で給与を差し押さえられた!自己破産で解除できるのか?

給与の差し押さえに至る方の多くは、やはり多重債務者です。

多数の貸金業者などへの返済に追われる中で、返済が滞ってしまい債権者から訴訟を起こされるというケースが多いわけですから、さらに収入源である給与まで差し押さえられてしまうと、債務者の生活に甚大な影響を及ぼすことになります。

したがって、このような状況下で「完済して差し押さえを終わらせる」という手段は、経済的に極めて困難であると言えるでしょう。

(1) 自己破産

そこで、このような状況に陥ってしまったときの現実的な解決策として、自己破産や個人再生といった法的な手続の検討をおすすめします。

これに関係する条文が破産法42条1項、2項です。

破産法
第四十二条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

2  前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

条文の意味を簡単に説明すると、42条1項は「破産手続の開始決定後は強制執行などができない」ということ、2項は「すでに行われている強制執行などについても対破産財団との関係で効力を失う」ということを意味しています。

この条文により、給与の差し押さえからも解放されることになるわけです。

自己破産手続の中で差し押さえを止めるためには、自己破産の申立を行い、裁判所から「破産手続開始決定」を出してもらう必要があります。

(2) 「破産手続開始決定」

「破産手続開始決定」は、自己破産の申立を行ってからすぐ出るとはかぎりません。

東京地方裁判所の場合、同時廃止であれば弁護士が裁判所と面接をした当日、管財事件であれば弁護士が裁判所と面接をした翌週の水曜日と決まっています。

ですが、東京以外の裁判所は、東京に比べると手続の進行が遅く、自己破産の申立をしてから破産手続開始決定が出るまで1ヶ月近くかかるところもありますので、特に東京以外の裁判所が管轄である場合、急いで自己破産の申立を行う必要があります。

4.給与差し押さえ解除の注意点

上記のとおり、破産手続開始は債務者にとって給与差し押さえから解放されるという非常に大きなメリットがあります。

しかし、気をつけなければならない点もあります。

(1) 同時廃止の場合

管財事件の場合は、破産手続の開始によって給与の満額がすぐに支給されるようになります。

しかし、同時廃止の場合は直ちに給与満額が支給されるわけではありません。

同時廃止では破産手続開始により、いったん強制執行が中止されるだけになります。免責許可決定が出るまでは支払いが留保されることになります。

つまり、免責許可決定が出ることで給与満額が支給され、それまで留保された分も支給されることになります。

したがって、免責許可決定が出るまで2~3ヶ月かかりますので、その間はまだ減額分の給与しか受け取れないことになります。

(2) 税金滞納で滞納処分

破産手続が開始されても影響を受けることなく続いてしまうのが、税金滞納などで行われている滞納処分です。

第四十三条
2  破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。

この場合は、破産手続では解決ができませんので、滞納処分の続行が生活に支障を生じさせる場合には担当部署との個別の交渉が必要となります。

(3) 勤務先への通知

破産開始決定により給与の差し押さえからは解放されますが、その旨については当然に裁判所から勤務先へ通知が行くことになります。

したがって、その通知の記載内容を確認した勤務先の担当者には、破産した事実が知られてしまうことになります(ただし、通常は破産を根拠に解雇することはできません)。

(4) 差し押さえされた分の扱い(免責不許可事由)

弁護士に依頼してから(正確に言うと、弁護士が債権者に受任通知を出してから)自己破産の申立を行うまで、差し押さえを受けた金額が資産として扱われます。

自己破産のルールの中に、「全ての債権者を平等に扱う」というものがあり、これを破ってしまうと、一部の債権者だけ返済を行った(「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と言います)とされ、免責不許可事由に該当してしまいます。

もちろん、給料の差し押さえについては破産者が自主的に返済したわけではないことを裁判所も理解しているのですが、ルールはルールであり、ご依頼後に偏頗弁済した分(差し押さえされた分)が20万円を超えると、「管財人弁護士が回収できる資産がある」とみなされます。

したがって、差し押さえられた全額が20万円を超える前に自己破産の申立をしないと、たとえギャンブルなどの無駄遣いをしておらず、めぼしい資産が無かったとしても、同時廃止で自己破産手続を進めることができなくなってしまいます。

【参考】偏頗弁済に注意!債権者平等の原則と支払い義務が残る非減免債権

・20万円以上差し押さえられたら

ご依頼後に差し押さえされた金額が20万円を超えた場合は管財事件となり、ご依頼後の差し押さえ部分は、管財人弁護士が債権者から回収し(「否認権の行使」と言います)、名目上他の債権者への分配金に回されるため、自己破産をした人に戻されることはありません。

管財事件で申立をするためには、管財人弁護士へ最低20万円を支払う必要があるため、給料の差し押さえをされながら、弁護士費用とは別に20万円の積み立てを強いられることになります。

このような事態を防ぐためにも、同時廃止で申立ができそうな方は、より迅速に自己破産の申立を行う必要があります。

5.給与差し押さえの回避方法

債権者が「債務名義」を手に入れても、給与の差し押さえを受けないケースがあります。それは、債権者に申告していた勤務先をすでに退職し、かつ現在の勤務先を債権者に伝えていないケースです。

債権者が給与を差し押さえるためには、その給与を支給している勤務先を明らかにしなければなりませんので、勤務先を知られていなければ給与の差し押さえの心配はないと言って良いでしょう。

6.多重債務なら泉総合へ相談を

返済が厳しい中、さらに給与の差し押さえまで受けてしまうと自力で現状を打開することは非常に困難です。
それでも何とかしようと闇金にまで手を出してしまうと、家族や友人などにも多大な迷惑を与えてしまうおそれがあります。

そういった状況に至る前に専門家である弁護士に打開策を相談することが、問題解決への1番の近道となります。

自己破産手続をとれば、給料の差し押さえを止め、取り消すことができます。そのためには、早めに裁判所から「破産手続開始決定」をもらう必要があります。

泉総合法律事務所では、債権者から給与差し押さえを受けている方の破産申立を数多く手掛けてきました。最善のタイミングで差し押さえを解除するためには、深い知識とともに豊富な経験が必要です。

【事例 67】給与差し押さえを止めるために大至急で破産申立

給与差し押さえを受けており、かつ多重債務でお困りの方は、今すぐ泉総合法律事務所へご相談いただくことを強くおすすめします。借金問題のご相談は何度でも無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。

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