自己破産 [公開日][更新日]

自己破産で銀行口座は凍結されるのか?破産後の口座開設の注意点

【この記事を読んでわかる事】

  • 債務整理によって口座が凍結場合とは?永遠に凍結されたまま?
  • 自己破産の場合、銀行口座に関して特に注意すべきこととは?
  • 破産後に新たな口座開設はできるのか?その注意点

 

自己破産すると、いくつかのデメリットが生じることがあります。

よく知られているデメリットには、新規の借金やクレジットカードの発行ができなくなることです。これらの信用取引ができなくなることから、自己破産すると銀行取引にも影響がでるのではないかと不安に感じている人も多いようです。

実際にもデメリットが不安なので、多額の借金で困っているけど自己破産に踏み切れないという人は少なくありません。

今回は、自己破産と銀行口座との関係について解説します。

自己破産すると銀行口座に影響がでる場合もありますが、正しく対応すれば、最小限のデメリットに抑えることも可能です。

1.口座が凍結される場合

債務整理による銀行口座の凍結について重要なポイントは、下の図にまとめた通りです。

債務整理によって、口座が凍結されるのは、「債務のある銀行の口座」に限定されます。また、口座凍結は永遠に続くというわけでもありません。

なお、銀行口座の凍結・相殺は、銀行による再建回収(債権保全)を目的に、契約に基づいて行われるものです。凍結・相殺される場合の条件は、ローン約款であらかじめ定められています。

不安な方は事前に確認しておくと良いでしょう。

(1) 口座凍結

銀行口座の凍結は、弁護士から銀行に受任通知が送付されたときになされます。

受任通知送付の場面以外にも、返済の延滞が長期間(2~3ヶ月)になったときにも凍結・相殺される場合があります。

銀行口座の凍結は、ローンを借り入れた支店だけでなく、同じ銀行の他支店の口座もすべて名寄せされて凍結されます。

銀行口座が凍結されると「出金停止」となります。そのため、借金のある銀行の口座から公共料金などが引き落されているときには、事前に引落口座の変更が必要です。

また、銀行によっては、「出金」だけでなく、「入金」もできなくなる場合があります。給料の振込先銀行を債務整理するときには、振込先の変更手続きを事前に行っておいた方が良いでしょう。

入金停止となれば、給料振り込みができなくなり、勤務先に自己破産することを知られてしまう可能性があります。

ところで、近年では多くの消費者金融が銀行の傘下に編入されています。たとえば、アコムは東京三菱銀行、プロミスは三井住友銀行傘下の消費者金融です。

しかし、消費者金融と銀行とは別法人なので、消費者金融の借金を債務整理しても銀行口座が凍結されることはありません。

口座の凍結は、保証会社による代位弁済の実行によって解除されることが一般的です。

凍結解除までは、おおよそ2ヶ月ほどかかるのが一般的と言われています(銀行・保証会社によっては2ヶ月以上かかる場合もあります)。

凍結が解除されれば、口座に残った預金を引き出せるようになります。

なお、銀行によっては、代位弁済が実行されても凍結が解除されず、口座を解約するほかない場合もあります。

(2) 預金残高との相殺

口座に預金があるときには、銀行口座の凍結と同時に、預金と借金の残高とが相殺されます。銀行は、相殺後の未回収額について保証会社から代位弁済を受けます。

したがって、相殺を回避したいときには、債務整理に着手する(受任通知送付)前に、口座から預金を引き出しておかなければなりません。

なお、相殺の対象となる預金は、「受任通知送付の時点」で口座に残っている金額のみです。

受任通知送付後にあった入金に対して銀行が相殺することは法律で禁止されています(破産法71条1項3号)。

つまり、「銀行による預金との相殺は1度しか行われない」ということです。

2.凍結されない銀行口座にも注意

銀行口座が凍結されない場合でも、特に自己破産するときには、銀行口座の管理に注意が必要となります。

借金のない銀行の口座は、たとえ自己破産して凍結されることはありません。

しかし、20万円を超える預金があるときには預金が自己破産による差押えの対象となることがあります

自己破産では、「破産手続き開始決定」の時点で保有する財産を債権者に配当することで、負債の清算を行います。

自己破産してもすべての財産を失うことはありませんが、20万円を超える価値のある財産は、差押えの対象となることが原則です。

現金にはついては特別に99万円までが差押えの対象外となりますが、預金(債権)は、20万円を超えると差押えの対象となります。

なお、財産の換価・配当があるときには、破産管財人が必ず選任されるので、20万円を超える預金があるときには、同時廃止とはならず管財事件(少額管財)の取扱いになります。

(1) 安易に預金を現金化することは控える

「預金があると差し押さえられるなら先に引き出してしまおう」と考える人もいるかもしれません。

しかし、自己破産による差押えの回避を目的とした預金の引き出し(預金の現金化)には、少し注意が必要です。

不必要・不自然な口座からの出金は、財産隠し偏頗弁済へんぱべんさい)を疑われる可能性があるからです。

自己破産の際には、保有する銀行口座の通帳の写し(東京地方裁判所では直近2年分の取引が記録されている全ページ)を裁判所に提出します。

お金の動きはかなり細かくチェックされるので、裁判所・破産管財人に疑念を持たれないように細心の注意をはらう必要があります。

差押えの対象となる預金がある場合でも、これから解説する「自由財産の拡張」によって手元に残せる場合があります。

自己破産を検討している方は、必ず弁護士の指示にしたがって対応しましょう。

(2) 自由財産の拡張

自己破産しても今後の生活を維持するために必要な財産は破産者の手元に残す必要があります。

そのため、自己破産しても財産のすべてを失うというわけではありません。

たとえば、99万円以下の現金や、生活に必要な家具・家電などは、自己破産しても没収されずに手元に残すことができます。

また、何年も使用した自動車のように、価値の高くない(20万円以下)の財産は、換価しても費用倒れになる場合が多いことから、拡張された自由財産として差押えされません。

20万円を超える財産であっても、裁判所の許可を得て自由財産の拡張が認められる場合があります。つまり、自由財産の拡張が認められれば、20万円を超える預金も差押えを回避できる場合があるということです。

自由財産の拡張がどの程度認められるかということについては、破産者の財産状況や各地の裁判所の運用状況によって違いがあります。

千葉県や埼玉県でも認められても東京では認められないというケースもあります。それぞれの地域の実務に精通した弁護士に確認することが大切です。

3.自己破産後に銀行口座を新規に開設することは可能か

自己破産しても、銀行取引が法律で禁止されるようなことはありません。

したがって、自己破産した場合であっても、銀行口座を開設することは、基本的に問題がありません。

しかし、過去に債務整理をした銀行の場合には、新規口座開設を拒否される可能性はあります。どの顧客と契約をするかは、銀行の自由だからです。

系列の消費者金融を債務整理したときには、少し注意が必要です。一般的には、消費者金融を債務整理しても銀行口座の新規開設には影響がないと思われます。

ただし、系列の消費者金融と銀行では、過去の事故情報を共有している可能性が高いので、取引を拒否される場合がないとは限りません。

他方で、過去の債務整理と全く関係のない銀行で口座を開設することは、全く問題がありません。

銀行の借金を自己破産したときには、自己破産の事故情報が最大で10年間、信用情報機関(KSC)のデータベースに登録されます。

しかし、金融機関が信用情報を照会できるのは、融資の審査の場合などに限定されています。銀行口座の開設のために信用情報が調査されることはありません

4.まとめ

今回は、自己破産した場合の銀行口座の取扱いについて解説してきました。

自己破産(債務整理)を行う際には、不利益を受けないため、自己破産を失敗しないために、やってはいけないこと、注意すべきことが色々とあります。

自己破産によるデメリットは誰しもが小さくしたいと考えるものです。しかし、安易な対応をすれば、財産隠しなどを疑われる可能性もあります。

調査される債務者の対応は、自己破産後だけでなく、自己破産前の行動も含まれます。

自己破産、債務整理を検討しているときには、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、正しく対応することが大切です。

借金問題でお困りの際には、お気軽に泉総合法律事務所にご相談ください。債務整理の専門家である弁護士が、最後までサポートさせていただきます。

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