自己破産 [公開日]

自己破産の申立ての管轄裁判所とは?迷ったら弁護士へ

【この記事を読んでわかる事】

  • 自己破産をしたいのだが、まずは何からすれば良いのか。
  • 自己破産を申立てする際、管轄する裁判所はどう調べればいいか
  • 債務整理の方法や自己破産の案件により管轄裁判所は異なるのか

 

自己破産は、裁判所に申立をするところから始まります。

でも、どこの裁判所にでも申立をしてもいいというものではありません。管轄などが定められているのです。

今回は、自己破産の際、どこの裁判所に申立をすればいいのかを解説します。

1. 個人の場合の管轄裁判所

自己破産をする場合、申立は管轄のある裁判所に行いますが、最初に個人が自己破産をする場合の管轄について解説します。

管轄とは、特定の事件をどの裁判所が担当するのか、予め取り決めをした分担のことです。
管轄違いの裁判所に申立をした場合は、そのまま受理されることはなく、管轄の裁判所に事件は移送されます。

実務上は、申立の時点で管轄違いが判明した場合、管轄裁判所に申立をするように促されるでしょう。

裁判所には最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所がありますが、このうち自己破産の申立ができるのは「地方裁判所」です。

どこの地方裁判所が管轄となるかは「破産法5条」「民事訴訟法4条」で要件が定められており、個人が申立をする場合は、原則、債務者の住所・居所を管轄とする地方裁判所が管轄となります。

個人事業主が自己破産する場合は、主な営業所の所在地を管轄する地方裁判所に申立をします。

しかし、管轄については以下の例外もあるので注意が必要です。

  1. 日本国内に住所がない場合、住所が不明な場合は、最後の住所地を管轄する地方裁判所に管轄がある
  2. 連帯債務者間、主たる債務者と保証人間、夫婦間では、それぞれ一方の破産事件が係属している地方裁判所でも申立て可能

上記2については、例えば夫が大阪地方裁判所に自己破産申請をしている最中に、東京在住の妻が自己破産する場合、妻は住所地を管轄する東京地方裁判所の他に、大阪地方裁判所でも申立が可能ということです。

(1) 自己破産は専属管轄

一般的に訴訟をする場合には、どこの裁判所に申立をするかは当事者間で合意をして決めます。

そうして決まった管轄は「合意管轄」と呼ばれます。

しかし、中には合意管轄が認められない事件もあり、その場合は「専属管轄」となります。自己破産は合意管轄が認められていないので、専属管轄として取り扱われます。

仮に都合が良いという理由で、債権者と管轄について合意をしていても、それが認められることはありません。自己破産の申立ができるのは、あくまでも法律で決められた管轄裁判所のみです。

2.法人の場合の管轄裁判所

次は、法人の管轄裁判所についてです。

法人が自己破産する場合は、個人の場合と同様に「地方裁判所」に申立を行います。

個人の申立の管轄は住所地を管轄する地方裁判所でしたが、法人の自己破産申立の管轄は、基本的に「主な営業所の所在地を管轄する地方裁判所」です。

もし、外国に主たる営業所がある場合は「日本国内にある主な営業所の所在地を管轄する地方裁判所」が管轄となります。

仮に、営業所がない場合は、法人の代表者、または主な業務担当者の住所地を管轄する地方裁判所に申立を行います。

上記のいずれにも該当しない場合は、債務者が所有する財産の所在地を管轄する地方裁判所に申立しましょう。

法人の管轄についての原則は以上です。しかし、以下の場合は特例があり、該当する場合は管轄が異なるので注意が必要です。

(1) 親子関係にある法人の場合

ある法人と親子関係にある法人で、親会社が子会社の総株主の議決権の過半数を有する場合、親会社または子会社のいずれかが、自己破産の申立をしているときは、他方の法人もすでに手続きが行われている地方裁判所に申立をすることができます(破産法5条3項)。

さらに、子会社が孫会社の総株主の議決権の過半数を有する場合についても、孫会社は親会社の子会社とみなされます。

その場合は上記のケースと同様に、親会社または孫会社のいずれかが破産手続きをしている場合、他方はすでに手続きが開始されている裁判所に申立を行うことが可能です(破産法5条4項)。

一例をあげると、東京に本店のある親会社Aが、名古屋に本店のある子会社Bの総株主の議決権の過半数を所有しているとします。

仮に子会社Bの経営が悪化し、名古屋地方裁判所に破産手続きの申立を行った場合、親会社のAは名古屋地方裁判所で破産手続きの開始申立をすることが可能となるということです。

(2) 法人とその代表者が破産をする場合

法人が破産をする場合、その代表者が法人の連帯保証人になっているときは、代表者本人も破産手続きをおこなうことがあります。

その場合にも特例が定められており、法人または代表者本人のどちらかが破産手続きをしている場合、他方はすでに破産事件が係属している裁判所に申立をすることができます(破産法5条6項)。

例をあげると、東京に本店のあるA社の代表者が名古屋在住のC氏であるとき、先に東京地方裁判所に会社の破産申立を行った場合は、C氏の破産申立も東京地裁にすることが可能ということです。

(3) 大規模事件の場合

法人が破産する場合は、個人の自己破産とは違って、債権者の数が桁違いに多くなることもあります。

そのような大規模事件のときは債権者の数は数百、場合によっては千人以上になることもあり、その場合は一定以上の規模の裁判所でないと対応できなくなる可能性があります。

そうした事態に備え、大規模事件でも破産手続きが滞りなく行われるように、管轄については債権者の数に応じて以下の特例が設けられています。(債権者が法人の場合のは1社=1人のカウントです)

債権者500人以上:自己破産申立は所定の管轄裁判所以外に、その裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所でも行うことができます(破産法5条8項)。

債権者1000人以上:債権者が1000人を超える場合は、上記にプラスして東京地方裁判所本庁、大阪地方裁判所本庁に申立を行うことも可能です(破産法5条9項)。

仮に岐阜県に本店のある会社が破産手続きをする場合、本来であれば主たる営業所のある「岐阜地方裁判所」に申し立てをしますが、債権者が1000人を超えるときには、岐阜地裁を管轄する名古屋高裁の所在地を管轄する「名古屋地方裁判所」、または「東京地方裁判所」「大阪地方裁判所」の4つのうちから1つを選んで申立を行うことが可能です。

法人の場合も自己破産の管轄は専属管轄となります。破産法によって申立できる裁判所は定められているので、債権者との話し合いで合意管轄にしても認められることはありません。

3.まとめ

このように、自己破産の申立てをすべき裁判所についてもいくつかの例外があるのでわかりづらいところがあります。

自己破産については是非、泉総合法律事務所にご相談ください。借金解決専門の弁護士が、免責許可までしっかりサポートさせていただきます。

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