自己破産 [公開日]2018年4月13日[更新日]2020年9月8日

家計簿はなぜ必要?自己破産で提出する理由

自己破産は、裁判所を利用して行う債務整理手続きです。

手続きを行うに当たり裁判所に提出する書類は多岐に渡りますが、必要な書類の1つに「家計収支表(家計簿)」というものがあります。

家計簿のことを知らない人はいないと思いますが、問題は実際に家計簿をつけているかどうかです。
「家計簿なんてつけていないから提出できない!」という人も多いと思います。

しかし、家計簿をつけていないから自己破産ができないかといえば、そんなことはありません。

今回は、裁判所の手続きで家計簿が必要だと知って焦っている方のために、自己破産で提出する家計簿について解説していきます。

なお、家計簿は個人再生手続きでも必要な書類です。
家計簿に関する概要は自己破産も個人再生も同じですので、個人再生を考えているという方も是非本記事をお読みいただければと思います。

1.自己破産手続きで家計簿が必要な理由

まずは「なぜ自己破産手続きで家計簿が要求されるのか?」について言及します。

(1) 支払不能状態の確認

自己破産ができる条件の1つに、申立人が「支払不能状態であること」というものがあります。

支払不能状態であるかどうかは、単に借金の金額のみによって判断されるわけではありません。
債務額だけでなく、収入や手持ちの財産・資産などの情報を総合的に判断して決定されます。

支払不能状態かどうかを確認するために、裁判所は様々な資料を要求します。
預金通帳や給与明細、源泉徴収票や納税証明書など、求められる資料は多種多様です。

しかし、収入を証明する資料は色々とありますが、支出を記載した資料は意外と多くありません。

債務が多くて収入が少ない場合であっても、支出が非常に少なければ、「債務を弁済できる余力・能力がある」と考えられるケースもありえます。

このため、支出が分かる家計簿は、重要な資料の1つと言えます。

裁判所が「支払不能状態」どうかを判断する材料として、裏を返せば申立人が「支払不能状態」であることを証明する資料として、家計簿は必要とされているのです。

自己破産ができる条件

(2) 免責不許可事由の確認

免責不許可事由とは、「自己破産をしても借金を帳消しにしてもらえない事情」という意味です。

例えば、浪費やギャンブルによる借金は、免責不許可事由の1つとして破産法に記載されています。

収入に見合わないほどの金額を娯楽や嗜好品(酒やタバコなど)に費やしていないか、浪費やギャンブルにお金を使っていないか、交際費は過大でないか、確かに過去には収入に見合わない支出をしていたが今は改善されているかなどを、裁判所が家計簿を通してチェックし、免責不許可事由に当たらないかを判断しています。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

【裁量免責の判断】
なお、免責不許可事由がある場合でも、絶対に自己破産できないわけではありません。「裁量免責」と言って、免責不許可事由があるものの裁判官が総合的に判断して免責を認めてもよいのではないかという裁量で借金を帳消しにすることができます。
裁量免責をするかどうかの判断材料の1つになるのが、家計簿や家計簿に基づいて作成された家計収支表です。
借金の原因が浪費やギャンブル等の場合、家計簿などを参考にしつつ、時には面談も行われ、生活を再建して経済的に自立できそうかの確認が行われます。家計簿の状況を精査した結果、浪費がひどく改善が見込めない人の場合、「この人は借金を繰り返しそうだから裁量免責する意味がない」と判断される可能性もあります。

(3) 財産隠しや偏頗弁済のチェック

自己破産や個人再生では、財産の隠匿や偏頗弁済(特定の債権者にのみえこひいきとなる弁済)が禁止されています。

そういったことが行われていないかどうか、家計簿を通じてチェックされます。

不自然な支出などがあると財産隠し偏頗弁済を疑われるかもしれないので、支出の内訳を明らかにした家計簿の存在は重要です。

[参考記事]

自己破産で財産隠しは絶対NG|タンス貯金も調査される?!

2.家計簿(家計収支表)作成の注意点

ここからは、実際に家計簿を作成するときの注意点等について説明します。

(1) 家計簿をつける期間はいつからいつまで?

裁判所によって異なりますが、申立て前の約2ヶ月分の家計簿が必要になることが多いです。

例えば4月に申立てをする場合、2月と3月の家計簿が必要となります。
つまり、それ以前に家計簿をつけていなくても、申立ての際に問題となることはありません。

弁護士に依頼すると、依頼したときに「家計簿をつけるように」と指示されるかもしれません。

申立てが終わった後は、家計簿をつける必要は基本的にありません。
しかし、浪費が原因で借金をしてしまい自己破産する場合には家計が改善されているかを確認する目的で申立て後も家計簿の提出を求められることがあります。

また個人再生のときは、再生計画認可後に継続的な返済ができるかどうかを確認する目的で、申立て後しばらくして再び提出を求められる可能性があります。

できれば自己破産や個人再生の手続きが全て終わるまで、家計簿をつけるのが望ましいでしょう。

(2) 記載する内容や書き方

裁判所には「家計収支表」のテンプレートが用意されており、窓口で入手するか裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

以下のリンクは裁判所が配布している書式の一例です。

https://www.courts.go.jp/kouchi/vc-files/kouchi/file/hasan2-3_20190701.xls

https://www.courts.go.jp/kouchi/vc-files/kouchi/file/hasan2-3_20190701.pdf

家計収支表には、「給与」「食費」「交際費」などの項目があり、1ヶ月分の収入や支出を項目別にまとめて記載できます。

しかし、家計収支表を作成するための基礎となる家計簿を書く場合、以下の点に気をつけることをおすすめします。

  • 毎日の収入や支出を日別、項目別に記録する
  • 「いつ」「何に」お金を使ったかを明確にする
  • 家族や同居人全員の収入と支出を記載する
  • 「多分このくらい」のような曖昧な記述はしない
  • できるだけ領収書やレシートを保存しておく

書き方としては、普通の家計簿と同じ方法で問題ありません。
市販の家計簿を使っても大丈夫なので、何にお金を使ったかわかるように書きましょう。

くれぐれも「1日の食費はこのくらいだから1ヶ月だと多分このくらいになるはず」といった大雑把な記載はしないでください

記載した内容に不審な点があると問い詰められてしまい、結果的に自己破産が失敗する可能性さえあります。

(3) レシートがない場合

多くの人が直面する問題の1つに「レシート・領収書」があります。

それまでレシート等を保管しておく習慣がなかった人は、うっかり捨ててしまうこともあるでしょう。
自分では注意していても、家族や同居人がレシートを捨ててしまうかもしれません。

家族等には前もって「家計簿をつけているのでレシートが必要」であることを伝えておきましょう。

レシートに関する扱いは裁判所によって異なります。

細かい食費や日用品の買い物に関するレシートまでは求めないこともあるようです。
ただし裁判所が絶対にレシートを求めないと断言はできないので、レシート類はしっかりと保管しておくことを強くおすすめします。

多くのケースで求められるのは、給与・家賃・水道光熱費・通信費などの固定費に関する領収書類です。
これらを口座引き落としにしている場合は、通帳のコピーでも可とされることがあります。

近年はネットで明細を発行している企業も多く、過去にさかのぼって確認できるため、いざというときは上手に活用してください。

電気代の領収書などは電力会社に問い合わせれば再発行してもらえることもあります。

弁護士に相談すればレシートがない場合の対処法を教えてもらえるので、アドバイスを聞いてその通り行動するのもいいでしょう。

3.家計簿に関するよくある疑問

最後に、家計簿について多くの方が抱く疑問について解説していきます。

(1) 嘘を書いたり適当に書いたりするとどうなる?

遊興費が多いのを隠すために、遊興費を食費など他の項目に組み込んだり、いつ何にお金を使ったか忘れて適当に書いたりする人もいるようです。

しかし、そういった家計簿は家計簿内の記述や家計簿以外に提出した他の書類などと辻褄が合わなくなることがほとんどです。

虚偽または適当な記載は大体バレてしまい、裁判所から財産の隠匿や偏頗弁済などを疑われることになります。
最悪の場合は自己破産に失敗して、借金を解決できなくなるかもしれません。

嘘や適当なことを書くのは絶対にやめましょう。

(2) 節約しているような家計簿にした方が良い?

支出のほとんどが酒やタバコなどの嗜好品や娯楽費等の場合は問題ですが、だからといって過度に支出を抑えて質素倹約しているような家計簿を仕立て上げるのも問題です。

「支出を抑えることが可能である=債務を弁済できる余力がある(支払不能状態でない)」と判断されて、自己破産の申立てが認められない可能性があります。

(3) 娯楽費、嗜好品代はいくらまでOK?

家計に占める娯楽や嗜好品などの生活に関係ない支出が多い場合、裁判所から何らかの指摘を受けるかもしれません。

こういった支出は抑えるべきですが、「いくら以下なら大丈夫」という基準は裁判所によって異なると考えられます。

また、例えば娯楽関連の支出は多いものの被服費はほぼゼロというような場合、全体として慎ましい生活を送っていると捉えられて、問題にならない可能性があります。

収入や支出のバランスが問題とされることが多いので、社会通念上常識的な範囲で娯楽や嗜好品を楽しむのであれば基本的に大丈夫です。

「嘘は書かない」「正直に書く」「正確に書く」の3つを徹底しましょう。

不安な場合は弁護士に家計簿を見せるなどして、前もってアドバイスをもらっておくことをお勧めします。

4.自己破産・個人再生 の必要書類のサポートも弁護士へ

家計簿は債務者本人が作成する書類であり、作成にある程度の負担がかかる書類でもあります。

毎日記載する必要がありますし、レシートなどの保管も必要です。
(レシートがなくても大丈夫な項目もありますが、レシートがあると説得力が違うので、可能な限り詳細に、レシートもつけて家計簿を書くことが大切です。)

ただ、自己破産や個人再生に必要な書類は家計簿だけではありません。
他にも多くの書類があるので、それらを集めながら手続きをするのは非常に困難です。

家計簿の作成に留まらず、弁護士に依頼して手続きをサポートしてもらうのが、債務整理を成功に導くコツです。

借金問題でお悩みの方は、泉総合法律事務所の無料相談をぜひ一度ご利用ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
電話番号

受付時間: 平日9:0021:00/土日祝9:0019:00

債務整理コラム一覧に戻る