自己破産は本当に「無責任で恥ずかしい」ことなのか?

自己破産

自己破産は無責任で恥ずかしい?

私達は「借りたものは返す」ことを当たり前として育てられており、「借りたものを返さない」ことは社会通念上でも非常によくないこととされています。

借金に関してもマイナスのイメージを持っている人が多くいます。

  • 「借金をするのは計画性がないから」
  • 「甲斐性がないから」

など、借金そのもの、さらには借金をした人にまでマイナスイメージが波及することもあるようです。借金をしておきながら、自己破産して返さないのはマイナスにマイナスを重ねる恥知らずな行為だと思っている人も少なくないでしょう。

しかし、本当に社会通念上許されない行為であれば、そもそも法律が自己破産の存在を認めるわけがありません。

はたして自己破産は無責任で恥ずかしいことなのでしょうか?

1.借金の種類

借金といっても、その内容はさまざまです。

(1) 学資ローン

たとえば、学資ローンはどうでしょう?教育のためにお金を借りるのは恥ずかしいことなのでしょうか?

たとえ借金をしても、たくさん勉強して将来多くの人を救ったり、日本経済に寄与するもしれません。

そういった芽を「借金は恥ずかしい」という感覚で潰してしまうのは、社会的な損失があると言えるのではないでしょうか?

(2) カードローン

カードローンも借金です。

仮に、借金が恥ずかしいのなら、どうして毎日のようにカードローンのテレビコマーシャルが放送されているのでしょう。

(3) 住宅ローン、自動車ローン

さらに言えば、住宅ローンや自動車ローンも借金にあたります。

自動車ローンがなければ公共交通機関のない地方に住む人達は現金一括払いで車を購入しなければなりません。

住宅ローンにしても、数千万円の現金が一括で用意できない人はいつまで経っても賃貸物件で暮らさなければいけないことになります。これでは車や住宅がなかなか売れず、世の中のお金のめぐりが悪くなります。

お金は経済にとって血液のようなものです。お金の循環が鈍くなると経済に支障が出てしまいます。

(4) 銀行からの融資

個人ではなく企業の活動に目を移してみれば、多くの企業は何らかの形で借金をしています。

企業は銀行などの金融機関から融資を受け、そのお金で設備を整えて事業をしています。融資とはあとで返さなければいけないお金です。つまり借金なのです。

企業が借金をしても、その企業が批判されることは特殊なケースを除いてあまりありません。たくさんお金を借りている企業でも、人気があれば誰もがその企業の製品を買う可能性がありますし、就活生だって殺到します。

借金とは経済活動の一環であり、大きな買い物をするときは誰もがお金を借りる可能性があります。誰もが借金による恩恵を受ける可能性がある以上、誰もが自己破産するという可能性もまた存在します。

自己破産とは、借金をしたあとで「資金繰りが悪くなった」「景気が悪くて無職になった」「災害が起きた」など、想定外の事態が起きて借金を返せなくなったときに、その人にもう一度チャンスを与えるシステムでもあります。

まずは「借金や自己破産は経済活動の一環として誰にでも起こり得ることであり、恥ずかしいことや無責任なことではない」と覚えておくべきでしょう。

2.自己破産が責められる理由

しかし、それでも世の中の風潮として「自己破産するなんて無責任だ!」「もっとしっかりしていれば自己破産しなくて済んだのに!」と自己破産を責める雰囲気は存在します。

(1) ギャンブルによる借金のイメージ

これはまず、「自己破産=ギャンブルや浪費による借金」というイメージが原因です。これらは確かに自滅的な印象があります。

また、ギャンブルや浪費の原因が、ギャンブル依存症や買い物依存症である場合もあります。

よく「依存症になるのは自分の心が弱いから」と切り捨てる人がいますが、どちらもれっきとした「依存症」という病気です。

責められるべきは「依存症」という病気や、ギャンブルや散財を繰り返す「行為そのもの」であって、病気の人が人生をやり直すために自己破産をすること自体を責めるのはスジ違いです。

(2) 企業倒産のイメージ

自己破産が責められるもう一つの理由として、企業の倒産に関する報道の影響もあります。

破産した企業の代表者が現れると、マスコミが一斉に「破産するんですか!」「被害者(債権者)に弁済しないんですか!」と責め立てます。そういったシーンを見れば、あたかも破産自体が無責任な行為のように感じてしまいます。

しかしマスコミが報道するのは社会的に影響の大きな、事件性とニュースバリューがあるものばかりです。

計画倒産が疑われる案件や、多くの一般人を巻き込むケースを狙って報道が行われるのです。

大抵の破産は金融機関が債権者になるので被害は限定的ですし、金融機関自体も審査を行いリスクを承知の上でお金を貸しています。

企業同士のやり取りで売掛金を支払えず倒産する場合であっても、なるべくソフトランディングを図ります。

以上のように、破産に関する間違ったイメージが自己破産を責める風潮の根源です。

繰り返しになりますが、自己破産は誰にでも起こり得ることであり、責められることではありません。

3.自己破産は法律で認められた行為

自己破産を責める人のなかには、自己破産が法律で認められた行為であることを軽視している人もいるようです。

債務者は裁判所を通して自己破産の申請を行い、その後の手続は法律に則って極めて合法的に行われます。法律の専門家中の専門家である裁判官がさまざまな事情を考慮し、最終的な判断を下します。

自己破産は多くの国で認められています。たとえば医療費の高いアメリカでは、医療費が支払えずに破産する人が多いというニュースを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、訴訟大国のアメリカでも「債権者に迷惑をかける自己破産は廃止すべきだ」という訴えが提起され、それが認められたという話はないようです。

自己破産は日本だけではなく、各国で運用されている法制度なのです。

もし自己破産という制度がなければ、どうなるのでしょうか?

借金の返済に苦しんだ挙句、人のお金を盗む人が増えるかもしれません。違法な商売に手を染めてお金を稼ぐ人もいるかもしれません。これらは犯罪です。

しかし、自己破産は犯罪ではありません。ある意味では、違法行為が増える可能性を自己破産というシステムが抑制している側面もあると考えられるのではないでしょうか。

自己破産は、日本を含む各国において合法的な行為です。

4.自己破産による債権者へのメリット

自己破産が行われると債権者が大損をするというイメージがありますが、実際には債権者にもメリットがあります。

債務者が自己破産後に保有できるのは99万円までの現金や20万円までの財産などです。他のものは没収され、必要に応じて換価されて債権者への支払いに充当されます。

債務者が自己破産の申請を行うと、その人の財産が徹底的に調べられます。隠していた財産が見つかれば、債権者への支払いに回されます。

裁判所が財産を探して手続してくれるので、債権者は面倒な督促をしなくても支払いを受けられるというメリットがあるのです。

さらに、債権者が複数いる場合は、それぞれの債権額に比例して平等に支払いを受けられます(偏頗(へんぱ)弁済の禁止、債権者平等の原則)

Aさんの債権額が5,000万円でBさんの債権額が2,500万円の場合、債務者から没収した財産の2/3がAさんに行き、残りの1/3をBさんが受け取ります。

この仕組みがないと、債務者が「世話になった人にだけ優先してお金を返そう」と思うなどで債権者の間に不平等が生まれかねません。どの債権者も債権額に応じて平等に扱われるのもメリットです。

【参考】偏頗弁済に注意!債権者平等の原則と支払い義務が残る非減免債権

5.まとめ

債権者に一部のメリットがあるとは言え、貸したお金の全額が戻ってこない以上、自己破産した人を非難したくなる心情は理解できます。

しかし自己破産そのものは非難されるべきものではありません。誰もが借金をする可能性がある以上、返済できなくなる可能性は常に存在します。

そういったときに自己破産によって救われた人は大勢いますし、今後も増えていくと考えられます。

返済しきれない債務がある方は、気後れすることなく弁護士に相談してみてください。何も恥ずかしいことはありません。

弁護士は自己破産を含むあらゆる債務整理の方法を提案し、実行に移してくれます。借金を返せなくて人生を棒に振るよりも、債務整理をした方がはるかにましです。

一日でも早く借金生活を終わらせるために、一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。

泉総合法律事務所には、自己破産による借金問題解決の実績が多数あります。また、破産申立を行う各裁判所の傾向についても熟知しておりますので、安心して当事務所にお任せいただけるかと思います。

相談は何度でも無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

債務整理コラム一覧に戻る