自己破産 [公開日]2018年5月25日[更新日]2019年10月25日

株式投資の信用取引で借金漬け。自己破産はできるのか?

株、FXの信用取引で借金漬け。自己破産はできるのか?

株式投資で借金ができた」という話はよく聞くかと思います。

しかし、それは株式投資でも「信用取引」の場合です。信用取引は、自己資金以外の投資ができるので大きな利益を生むこともありますが、リスクも大きく膨大な損失の原因にもなり得ます。ギャンブル性が高いのが信用取引なのです。

では、そこで膨らんだ借金はどうすればいいのでしょうか?
よく、「ギャンブルや株式、FXなどの投機でできた借金では自己破産できない」と聞きますが、実はそんなことはありません。

多くの場合は、「裁量免責」により自己破産することができます。

ここでは、信用取引で借金が発生するメカニズム、自己破産手続きについて、また、免責を受けられなかった場合の対処法について解説します。

1.借金の原因となる「信用取引」とは

(1) 信用取引の仕組み

信用取引とは、手元にあるお金を『保証金(担保)』として証券会社からお金を借りることで、保証金の3倍ほどの金額の取引を行うことができるというものです。
手元には100万円しかなくても、300万円分、つまり3倍の金額で取引を行うことができるというわけです。

これを「3倍のレバレッジで取引する」などと言うこともあります。

「100万円分の株を買ったとして、それがいくら値下がりしても0円になるだけ。マイナスにはならないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、そうはならないのが信用取引なのです。

例えば、100万円分の株が120万円になった場合(株価が上昇した場合)、3倍の金額で取引を行っていますから、20万円×3=60万円の利益が出ます。
一方、100万円分の株が50万円になった場合(株価が下落した場合)、3倍の金額で取引を行っていますから、損失は50万円×3=150万円です。

保証金として支払っている100万円は証券会社に回収され、さらに差額の50万円を追加で支払わなくてはなりません。

(2) 「空売り」とは

①株式の空売り

株の信用取引で特徴的なのが「空売り」です。

空売りをするには、次の手順が必要です。

  • 将来下落しそうな銘柄を信用取引によって証券会社から借り、売却する
  • 株価が下落した時点で買戻し、証券会社に返還する

株価が想定以上に下落すれば、大きな利益を生むことができますが、上昇すれば自分の想定を遙かに上回る金額で買戻さなければなりません。空売りが借金の大きな原因となるのには、こうした理由があるのです。

②FXの空売り

株式の空売りより、利益も損失も大きくなるのがFXの空売りです。
株の信用取引のレバレッジは約3倍までと決められているのに比べ、FXは最大で25倍のレバレッジです。そのため、当たると大きいのですが、損失も当然大きくなります。

「次こそは」「次こそは」と頑張るうちに貯金は底をつき、さらに消費者金融などから借入を繰り返すようになり…ここまで来ると、ギャンブルとさほど変わりません。

2.株式の信用取引でも自己破産は可能

株やFXの信用取引で借金が膨らんでしまった場合の選択肢として、自己破産があります。

「自己破産をすると路頭に迷うことになる」などと悲観的に考えてしまう方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
自己破産は、適切に手続を行うことで、新しい人生へ踏み出すことができる効果的な手段です。

自己破産の申立ての目的は、裁判所から「免責許可決定」を受けることにあります。
「免責許可決定」とは、平たく言うと裁判所の「借金をゼロにする決定」のことです。

しかし、破産を申立てた人全員がこの「免責許可決定」を得ることができるのかというと、実はそうではありません。中には免責許可決定を得られない人もいます。

自己破産について定められている「破産法」の第252条1項に、該当すると免責許可は出ないという内容(免責不許可事由)が箇条書きで挙げられており、その中には「射幸行為(ギャンブルや株取引)が原因で借金をした」という項目もあるのです。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

しかし、安心してください。先ほど出てきた破産法第252条の第2項には「免責不許可事由があっても、裁判所は、経緯や事情を考慮して免責許可の決定を出すことができる」という旨の記載があります。
これを「裁量免責」と言います。免責不許可事由があっても、実際のところ、ほとんどの人がこの「裁量免責」を受けています。

よって、株式の信用取引で借金をしたとしても、多くの場合は自己破産ができるのです。

【裁量免責に必要な深い反省と堅実な生活】
免責不許可事由のある破産者の場合、破産手続開始決定と同時に「破産管財人」という弁護士が別途選任され、その破産管財人が財産や免責不許可事由について調査を行います。破産管財人が調査結果を裁判所に報告し、裁判官がその報告をもとに「この内容なら裁量免責を出してもいいだろう」と判断をする、というわけです。
現在破産者が次のような状況であるということが破産管財人や裁判官に認められると、裁量免責が得られます。
・借金およびその原因となった株取引について、深く反省している
・借金の原因となった株取引からすでに手を引き、堅実な生活を送り始めている
また、場合によっては裁判所や管財人弁護士から生活状況についての上申書や反省文などを求められることもあります。

3.免責が受けられなかった場合の対処法

しかし、もし免責が得られなかった場合にはどうすればいいのでしょうか?

(1) 即時抗告の申立

免責不許可の告知を受けた日から1週間以内に即時抗告の申立をすれば、高等裁判所でもう一度免責の判断をしてもらうことが可能です。

ただし、もともと免責不許可自体が特殊な事例であり、判断が覆る可能性は高くありません。

(2) 他の債務整理の方法を検討する

即時抗告をしても免責が得られない場合は、個人再生や任意整理といった他の債務整理の方法を検討してみましょう。
これらの債務整理の方法を採れば、免責不許可事由に悩まされることもありません。

特に、継続的な収入が見込める方であれば、個人再生を利用すると、借金が5分の1から10分の1まで減額することができるので効果的です。

ただし、減額された借金を原則3年で返済する必要があり、その他、利用には一定の制限があります。
詳しくは弁護士にご相談ください。

4.株取引が原因の自己破産も弁護士へ相談を

このように、借金の理由が「株取引」であっても、自己破産ができる可能性は十分にあります。
また、自己破産以外の債務整理手続(個人再生・任意整理)であれば、そもそも免責不許可事由を気にする必要もありません。

借金の状況は人によって千差万別です。
対処法について書籍やインターネットで情報を収集することも時には必要ですが、本当に借金で困っているのなら、一度専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

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