自己破産 [公開日]2017年10月16日[更新日]2019年10月15日

自己破産後に引っ越しができないという噂は本当?

「借金の返済が苦しいので自己破産をしたいとは思うけれど、自己破産はリスクが高いから怖くて踏み出せない」という方も多いです。

確かに、世間には自己破産に対して悪いイメージをお持ちの方も少なからずいらっしゃり、「海外旅行や引っ越しができなくなる」、「就職に不利になる」、「選挙権がなくなる」など、いろいろな噂があります。
しかし、このような噂のほとんどは虚偽です。

今回は、ネットの口コミなどでよくある自己破産のリスクの噂が本当なのか、「引っ越し」に焦点を当てて解説していきます。

1.自己破産とは

自己破産は、裁判所に申立てを行い「免責決定」をしてもらうことによって、借金の支払い義務をなくしてもらう手続です。

その結果、税金などの一部の未払い分をのぞき、すべての借金の支払い義務がなくなります

債務整理の中でも、借金の支払い義務がなくなるのは自己破産のみです。
他の債務整理、例えば任意整理や個人再生の場合には手続後に一定の支払い義務が残るので、そういう意味では、自己破産は最も強力な効果を持つ債務整理の方法であるといえるでしょう。

自己破産をすると、これまでの借金から完全に解放されて、人生の新たなスタートを切ることができます。

その代わり、自己破産をすると、破産手続開始決定時に所有している一定額以上の財産は、原則手放す必要があります。例えば、99万円を超える現金や、マイホームや車などの大きな資産があると、換価され、債権者に配当されてしまいます。

どこまでの財産を所持していられるかという点については、各地の裁判所によって微妙に運用が異なります。例えば、東京地裁の場合には、預貯金や生命保険・車などについては、20万円未満であれば手元に残しておくことができます

2.自己破産中の引っ越し

自己破産をすると、一定の財産を手放さざるを得ない以外にも一定のリスクがあることは確かです。
以下で、まずは引っ越し(転居)について説明します。

(1) 自己破産手続き中の引っ越しの制限

自己破産の中でも「管財事件」になると、住居に係る制限を受けます。

破産法37条
破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。

管財事件とは、債務者に一定の財産があったり、免責不許可事由があったりする場合、その調査及び換価手続などのために破産管財人が選任されるようなケースを言います。

管財事件となると、居住場所の制限により、破産手続中は引っ越しや長期出張が自由にできなくなります。
財産の換価・配当の際に破産者の住所が勝手に変わると、手続きが複雑になるおそれがあるため、このような制限が設けられています。

しかし、免責許可決定が確定したら自由に引っ越しができますし、簡便的な手続である同時廃止事件の場合にはそもそも引っ越しに関する制限はありません。

破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでは3~6ヶ月間ほどですので、過剰に心配する必要はないでしょう。

また、管財事件の手続中でも、裁判所の許可を得たら引っ越しができます。この許可がおりないというケースはほとんどないようなので、ご安心ください。

なお、旅行についても同様で、管財事件の手続き中には裁判所の許可が必要ですが、手続き終了後は問題なく旅行が可能です。パスポートにも影響はないので、海外旅行も自由にできます。

(2) 自己破産後の引っ越し

免責許可決定が確定したら、そのあとは自由に引っ越しができると先述しました。
しかし、自己破産をすると賃貸マンションやアパートとの賃貸借契約が結べなくなるのではないかと心配される方がいらっしゃいます。

実際、自己破産は不動産会社との賃貸借契約にはまったく影響ありません。

確かに、現在の収入がない場合は大家さんや不動産会社の審査に通らない可能性がありますが、一定の収入があれば、自己破産の手続中でも自己破産後であったとしても問題にならないでしょう。

しかし、家賃支払いに関わる保証人として、信販系の賃貸保証会社が必要な場合には注意が必要です。

信販系の賃貸保証会社における審査は、自己破産を行なった記録があると通らない可能性があります。

また、そうでなくても、家賃の支払方法についてクレジットカードや信販会社を利用するケースなどでは、その支払方法が利用できないでしょう。
他の支払方法を選択できない場合は、別の物件を探す必要が出て来るかもしれません。

【電気、ガス、水道などの契約も問題ない】
自己破産をすると、電気、ガス、水道などのライフラインの契約ができなくなってしまうことを心配される方がいらっしゃいますが、そのような制限も一切ありません。
光熱費を滞納して電気やガスなどが止められてしまったケースでも、その後自己破産をして免責を受けたら、滞納した光熱費も免責され、再び電気やガスを使うことが可能です。
参考:自己破産するとライフラインはどうなる?公共料金の滞納と自己破産

3.自己破産によるその他のリスク・デメリット

次に、上記の自己破産による一定の財産の手放し・換価及び引っ越し以外のリスク・デメリットについても簡単に説明します。

(1) 資格制限を受ける

自己破産には、資格制限もあります。
資格制限とは、手続き期間中に一定の職業に就けなくなったり、一定の職務ができなくなったりすることです。

具体的には、以下の職業が当てはまります。

生命保険外交員、宅建業、警備員、旅行業、など

また、判断能力が低下した人の財産管理などを行う後見人などになることもできません。

制限を受ける期間は引っ越しと同様で、破産手続開始決定後〜免責許可決定が下りるまでの3~6ヶ月間ほどです。
これらの職業に該当する方は、個人再生を選択するか、又は期間中の休職あるいは配属を変えてもらうなどの必要があるでしょう。

[参考記事]

自己破産と仕事の関係。職業・資格制限とは?職場にバレたら解雇?

(2) 郵便物が破産管財人に転送される

「破産をすると郵便が届かなくなる」という噂もあります。

確かに、管財事件になると、破産者名義の郵便物が破産管財人の事務所に転送されるようになるので、しばらくの間郵便物を直接受け取れなくなります。
これは、裁判所に申告された債権や財産に漏れがないかなどをチェックする必要があるためです。

ただ、管財人の事務所に取りに行けば、転送された郵便物はすべて渡してもらうことができます。また、転送が行われるのは、破産手続開始決定時から免責許可決定が出るまでの3~6ヶ月間だけです。

※「同時廃止」の場合には、これまで通り、自宅に郵便物が届きます。

(3) 官報公告される

自己破産をすると「官報公告」が行われます。
官報公告とは、政府が発行している「官報」という機関誌(新聞のようなもの)に、破産者の氏名や住所などが掲載されることです。

ただ、官報を実際に購読している人はほとんどいませんので、これによって自己破産を広く世間に知られるということは滅多にありません。過剰に心配する必要はないでしょう。 

[参考記事]

官報とは?自己破産・個人再生をするとことで掲載されるリスク

(4) ブラックリスト状態になる

まずは、いわゆるブラックリスト状態になることです。

ブラックリスト状態とは、個人信用情報に事故情報が登録されて、ローンやクレジットカードを利用できなくなってしまう状態のことです。
自己破産に限らず、全ての債務整理に当てはまるデメリットと言えるでしょう。

しかし、ブラックリスト状態も一生続くわけではありません。銀行ローン以外は手続後約5年、銀行ローンに関しても手続後約10年が経過したら、登録は削除されます。

なお、買い物等の場合に現金払いしか選択できないのは利便性に欠けると思う場合には、交通系カードやデビットカードは使用は可能ですので、不便を感じることは少ないでしょう。

[参考記事]

ブラックリストとはそもそも何なのか?掲載されることの悪影響

4.自己破産をしても影響のない事柄

世間では、自己破産をするといろいろなデメリットがあると言われていますが、その大多数は誤解です。

最後に、自己破産をしても実際には影響のない事柄をご紹介していきます。

(1) 戸籍、住民票、運転免許証などの公的書類には載らない

自己破産をしても、戸籍や住民票、運転免許証などの公的書類に載ることは、一切ありません。
パスポート、健康保険証、住民票カード、マイナンバーカードなども同様です。

こういった書類を見られても、「過去に自己破産した人」だと知られるおそれはありません。

(2) 銀行口座の開設・キャッシュカードの利用はできる

自己破産をすると、銀行口座の開設やキャッシュカードの発行ができなくなると思われていることがありますが、そのようなこともありません。

ただし、先述のブラックリストへの掲載により、クレジット機能付きのキャッシュカードやカードローンの利用はできませんのでご注意ください。

(3) 選挙権もなくならない

「自己破産をすると、選挙権がなくなる」という噂もありますが、これも嘘です。
選挙権だけではなく被選挙権もなくならないので、立候補をして議員になることも可能です。

また、たとえ議員をしている最中に破産したとしても、辞める必要はありません。

(4) 結婚は自由

自己破産すると、結婚に不利だと思われていることがありますが、そのようなこともありません。

自己破産後だけでなく、自己破産している最中に結婚することもできますし、結婚相手に知られないまま自己破産することも場合によっては可能です。

(5) 生命保険に入れる・契約者貸付を受けられる

健康状態などに特に問題がなければ、自己破産手続中でも自己破産後であったとしても、生命保険に加入することができます。

掛け捨て型だけではなく積立型タイプの生命保険でも問題はありません。

5.自己破産をするなら泉総合法律事務所へ

以上のように、自己破産は巷で多々、そのデメリットが誤解・歪曲・流布されている感がありますが、実際にはそのような噂はほとんどが真実ではありません。むしろ、借金を0にすることができるという点で、最も強力な効果を持つ債務整理の手続きです。

デメリットばかりを過剰に気にして借金問題で悩み続けるのは、非常に勿体無いと言えるでしょう。

借金返済を滞納すると、たくさんの債権者から次々と督促が来るので、精神的に参ってしまうと思います。

しかし、弁護士に自己破産を依頼すると、その時点で債権者からの督促が止まります。電話もかかってきませんし、郵便による督促もなくなります。
また、その時点で、債権者への支払をストップさせることができます。

泉総合法律事務所は、借金問題解決に重点的に取り組んでおります。
どのようなお悩みにも、弁護士が親身になってアドバイスいたします。また、どうしても自己破産を避けたいという方には、他の債務整理方法もご検討します。

支払いが苦しいと感じていらっしゃる方は、まずはお気軽に泉総合法律事務所へご相談ください。ご相談は何度でも無料です。

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