就職、選挙権、旅行、引越し…自己破産後に生じるリスクの噂は本当?

自己破産

就職、選挙権、旅行、引越し…自己破産後に生じるリスクの噂は本当?

借金の返済が苦しいので自己破産をしたいとは思うけれど、「自己破産はリスクが高いから、怖くて踏み出せない」という方が多いのではないでしょうか?
確かに、世間は自己破産に対して悪いイメージを持ちます。「就職に不利になる」、「選挙権がなくなる」、「海外旅行や引っ越しができなくなる」など、いろいろな噂があります。

しかし、このような噂のほとんどは虚偽です。自己破産には、世間で思われているほど、大きなデメリットはありません。
今回は、ネットの口コミなどでよくある自己破産のリスクが本当なのか、嘘なのか、弁護士が解説していきます。

1.自己破産とは

「債務整理と言えば自己破産」……そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。
以下ではまず、自己破産とはどのような手続なのか、簡単におさらいしておきましょう。
自己破産は、裁判所に申立を行い「免責決定」をしてもらうことによって、借金の支払い義務をなくしてもらう手続です。

「破産」によって財産を清算し、その後、裁判所から「免責」を受けることで、借金がなくなります。その結果、税金などの一部の未払い分をのぞき、すべての支払い義務がなくなります

債務整理の中でも、借金の支払い義務がなくなるのは自己破産のみです。他の債務整理の場合には、手続後に支払い義務が残るので、瞬時に解決するとは言えません。

自己破産をすると、これまでの借金から完全に解放されて、人生の新たな再スタートを切ることができます。

2.自己破産のリスク

自己破産をすると、一定のリスクがあることは確かです。以下で、順番に確認します。

(1) ブラックリスト状態になる

まずは、いわゆるブラックリスト状態になることです。ブラックリスト状態とは、個人信用情報に事故情報が登録されて、ローンやクレジットカードを利用できなくなってしまった状態のことです。
自己破産の場合、他の債務整理よりもブラックリスト期間が長いと言われていますが、個人再生の場合とそれほど変わりません。

ただ、実際に、ブラックリスト期間が長くなるのは、銀行や信用金庫などの金融機関のローンのみです。これらの場合、手続き後10年間ほど、ブラックリスト状態となって利用できなくなります。

これに対し、クレジットカードや信販会社、消費者金融などの場合には、手続き後5~7年ほどでブラックリスト状態が解消され、また利用できると言われています。

(2) 一定以上の財産がなくなる

自己破産をすると、一定以上の財産がなくなります。総額99万円を超える財産があると、破産管財人が換価して、債権者に配当してしまうためです。

どこまでの財産を所持していられるかという点については、各地の裁判所によって微妙に運用が異なります。たとえば東京地方裁判所では、通常、個別の財産について20万円、現金なら99万円まで持っていることができる(それを超えると没収される)という基準を採用しています。

そこで、自己破産をするときには、不動産や一定以上の預貯金、生命保険、車などの資産を失うことを覚悟しなければなりません。

ただ、預貯金や生命保険、車などについては、20万円未満であれば(東京地裁の場合)、手元に置いておくことができますし、給料をとられることもないので、普通に生活をしていれば、自己破産後に生活に困ることはありません。

(3) 官報公告される

自己破産をすると「官報公告」が行われます。
官報公告とは、政府が発行している「官報」という機関誌(新聞のようなもの)に、破産者の氏名や住所などが掲載されることです。
ただ、官報を実際に購読している人はほとんどいませんし、官報に掲載される情報は、個人情報の中でも一部なので、これによって自己破産を広く世間に知られるということはありません。大げさに心配する必要はないでしょう。

(4)資格制限を受ける

自己破産には、資格制限があります。資格制限とは、一定の職業に就けなくなったり、一定の職務ができなくなったりすることです。
具体的には、弁護士や司法書士、税理士や公認会計士などの士業、宅建業、貸金業、旅行業、生命保険外交員、警備員などの仕事ができなくなります。また、判断能力が低下した人の財産管理などを行う、後見人になることもできません。

ただ、制限を受けるのは、一部の職業なので、それに関係しない人には無関係の制限ですし、制限を受ける期間は、破産手続開始決定後、免責許可決定が下りるまでの3~6ヶ月間ほどなので、過剰に心配する必要はありません。

(5)居住場所の制限を受ける

自己破産の中でも「管財事件」になると、居住場所の制限を受けます。これにより、引っ越しや長期出張が自由にできなくなります。
ただし、居住場所の制限を受けるのは、管財事件のケースのみです。

また、制限を受ける期間は、破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの3~6ヶ月間ほどで、その後は自由に引っ越しなどをすることができます。
そこで、この制限についても、過剰に心配する必要はありません。

(6) 郵便物が転送される

「破産をすると、郵便が届かなくなる」、という噂もあります。

確かに、管財事件になると、しばらくの間、管財人弁護士の事務所に郵便物が転送されるようになるので、郵便物を直接受け取れなくなります。
ただ、管財人の事務所に取りに行けば、きちんとすべて渡してもらうことができますし、転送が行われるのは、破産手続開始決定時から免責許可決定が出るまでの3~6ヶ月間だけです。

また、郵便物の転送が起こるのも、管財事件になったケースだけであり、「同時廃止」の場合には、これまで通り、自宅に郵便物が届きます。

以上のように、自己破産をしても、世間で思われているほど大きな不利益はありません。特に、免責許可決定が出たら、あとは、「ローンとクレジットカードを使えない」以外に、ほとんどデメリットがありません。
あるとしたら、「世間のイメージが悪い」という程度ですが、自己破産を周囲に知られないまま進めることもできますから、その心配は不要です。

3.自己破産をしても影響のない事柄

自己破産をしても影響のない事柄

世間では、自己破産をするといろいろなリスクがあると言われていますが、その大多数は誤解です。以下では、自己破産をしても、実際には影響のない事柄を、ご紹介していきます。

(1) 戸籍、住民票、運転免許証などの公的書類には載らない

自己破産をしても、戸籍や住民票、運転免許証などの公的書類に何らかの掲載がなされることは、一切ありません。
パスポート、健康保険証、住民票カード、マイナンバーカードなども同じです。こういった書類を見られても、「過去に自己破産した人」だと知られるおそれはありません。

(2) 破産者名簿にも載らないことがほとんど

破産者名簿というものをご存知でしょうか?
破産者名簿とは、各自治体が保管している破産者に関するリストのことです。自己破産すると、このリストに載るため、「破産したことを知られるのではないか」と心配される方がいらっしゃいます。

しかし、最終的に破産者名簿に載るのは、免責を受けられなかった人だけであり、無事に免責を受けられる人が大半ですので、心配する必要はありません。また、この名簿は公開されているものではありませんので、外部から確認することはできません。
したがって、破産者名簿についても、まったく心配をする必要はありません。

(3) 言わなければ誰にも知られない

「自己破産をすると、周囲に知られる」と思われていることがあります。
しかし、自己破産は、自分から人に言わない限り、誰にも知られずに進めることができます。同居の妻や夫に秘密にしたまま、自己破産する方もかなり多いです。

弁護士に自己破産を依頼すると、債権者や裁判所からの連絡は、すべて弁護士宛に届くことになります。これは、弁護士がすべての必要な手続を行うためです。
自己破産を秘密で進めたいときには、必ず弁護士に依頼してください。

(4) 不動産の賃貸借契約はできる

賃貸マンションやアパートなどを借りるときには、審査があります。そこで、自己破産をすると、審査に通らなくなるのではないか、と心配される方がいらっしゃいます。

しかし、自己破産と不動産の賃貸借契約には、まったく関係ありません。自己破産の手続中でも自己破産後であったとしても、不動産の審査には通りますし、契約も可能です。

ただし、家賃の支払方法について、クレジットカードや信販会社を利用するケースなどでは、まれに利用できないケースもありますが、それ以外の契約なら、普通にできます。

(5) 銀行口座の開設、キャッシュカードの利用はできる

自己破産をすると、銀行口座の開設ができなくなると思われていることがありますが、そのようなこともありません。キャッシュカードの発行も可能です。
普通に給与振込や引き落としなどに使う分には、何の問題もありません。

また、銀行が発行しているデビットカードという便利なカードも発行することができます。デビットカードとは、利用と同時に預金口座から引き落としが行われるカードです。クレジットカードが後払いなのに対し、デビットカードは即時払いです。

現金を持ち歩かないでも買い物などが可能という点ではクレジットカードと同様のメリットが得られるため、自己破産後のブラックリスト状態の方にとっては、重宝することでしょう。
ただし、クレジット機能付きのキャッシュカードは利用できませんし、カードローンの利用もできませんのでご注意ください。

(6) 選挙権もなくならない

「自己破産をすると、選挙権がなくなる」という噂もありますが、これも嘘です。選挙権だけではなく被選挙権もなくならないので、立候補をして議員になることも可能です。

たとえ議員をしている最中に破産したとしても、辞める必要はありません。

(7) 引っ越しや旅行は自由

自己破産した場合でも、同時廃止なら引っ越しや旅行の制限はありませんし、管財事件でも、免責許可決定が確定したら、自由に引っ越しや旅行ができます。
また、管財事件の手続中でも、裁判所の許可を得たら、引っ越しや旅行ができます。

(8) 結婚は自由、相手にも知られない

自己破産すると、結婚に不利だと思われていることがありますが、そのようなこともありません。自己破産後だけでなく、自己破産している最中に結婚することもできますし、結婚相手に知られないまま自己破産してしまうことも可能です。
また、自己破産したことが離婚理由になることもありません。

(9) 生命保険に入れる、契約者貸付を受けられる

生命保険に加入するときにも、審査を受けなければなりません。そこで、自己破産をすると、生命保険の審査に通らなくなると思われていることがあります。

しかし、自己破産と生命保険には、何の関係もないので、健康状態などに特に問題がなければ、自己破産手続中でも自己破産後であったとしても、生命保険に加入することができます。掛け捨て型だけではなく積立型タイプの生命保険でも、問題ありません。

また、生命保険には、契約者貸付という制度があります。これは、積立型タイプの生命保険に加入していて、積立が一定以上になっている場合に利用できる貸付です。

自己破産をすると、ブラックリスト状態になるので、借金ができなくなるのですが、契約者貸付であれば、自己破産後のブラックリスト状態でも受けることができます。

(10) 電気、ガス、水道、電話、携帯電話などの契約ができる

自己破産をすると、電気、ガス、水道などのライフラインの契約ができなくなってしまうことを心配される方がいらっしゃいますが、そのような制限は一切ありません。

光熱費を滞納して電気やガスなどが止められたケースでも、その後自己破産をして免責を受けたら、滞納した光熱費も免責され、電気やガスを使うことも可能です。

また、自己破産をすると、スマホや携帯を持てなくなると思われていることがありますが、そのようなこともありません。ブラックリスト状態になると、スマホの端末代の分割払いができなくなりますが、電話の通信契約自体には影響がないためです。

端末を一括払いで購入するか、自分で用意すれば、問題なくスマホも携帯も利用可能です。

(11) ブラックリスト状態の制限も限定的

自己破産によってローンが利用できなくなるブラックリスト状態も、一生続くわけではありません。銀行ローン以外は手続後5~7年、銀行ローンに関しても手続後10年が経過したら、また借入できるようになるので、心配しすぎる必要はありません。

また、家族の個人信用情報には影響がないので、家族はブラックリスト状態になりません。そこで、自己破産後に借入をしたいときやクレジットカードを使いたいときには、家族名義でローンやクレジットカードを申し込めば、特に不便を感じることはないでしょう。

4.自己破産をすることで得られるメリット

上で述べたとおり、たとえ自己破産したとしても、リスクはそれほど大きくありませんし、逆に以下のような大きなメリットを得ることができます。

(1) 借金が完全に0になる

自己破産をする一番のメリットは、「借金が完全に0(ゼロ)になる」ことです。住民税や国民健康保険料などの公租公課、罰金などの一部の債権以外、すべて支払義務がなくなります。

借金だけではなく、滞納している家賃、買掛金、相続した債務、損害賠償請求権(一部を除く)なども、すべて免責の対象になります。保証債務も免れることができます。
このように、完全に借金を0(ゼロ)にして、ご自身の再スタートを切ることができるのです。

(2) どんなに多額の借金も0になる

自己破産には、借金の限度額がありません。1億円でも10億円でも、すべての借金が免責されるので、強力な効果があります。

(3) 無収入でも自己破産できる

無職・無収入の人が借金をすると、返済ができないので大変な状況に陥ります。自己破産は他の債務整理とは異なり、無職・無収入でも問題なく利用できるので、借金をなくして平和な生活を取り戻すことができます。

(4) 法人も破産できる

会社経営をしている方は、経営に行き詰まって会社が負債を抱えてしまうことがあります。

この場合、会社を破産させて、きれいに清算することができます。代表者も一緒に破産することで、苦しい会社経営から解放されて、その時点から新たな再スタートを切ることができます。

(5) 弁護士に依頼したら、その時点で支払が止まる

借金返済を滞納すると、たくさんの債権者から次々と督促が来るので、精神的に参ってしまうことがあります。

しかし、弁護士に自己破産を依頼すると、その時点で、債権者からの督促が止まります。電話もかかってきませんし、郵便による督促もなくなります。また、その時点で、債権者への支払をストップさせることができます。自己破産手続開始決定があると、差し押さえなどの強制執行を止めることもできますし、新たに差し押さえを申立てられることもなくなります。

このように、弁護士に自己破産を依頼すると、その時点で支払を止めることができますし、のちに無事に免責を受けることができれば、もう借金の返済をしなくて済むのです。

借金に追われて苦しんでいるなら、早めに弁護士に依頼すればするほど、大きなメリットが得られることでしょう。

5.自己破産をするなら泉総合法律事務所へ

以上のように、自己破産には、世間で思われているようなリスクはありませんし、むしろ、借金を0(ゼロ)にすることができるというメリットが非常に大きいです。
借金問題で苦しんでいる時間は、人生の中で非常にもったいない時間です。

泉総合法律事務所は、重点的に借金問題解決に取り組んでおり、どのようなお悩みにも、弁護士が親身になってアドバイスいたします。どうしても自己破産を避けたい方のためには、他の債務整理方法をご提案することも、もちろん可能です。

支払いが苦しいと感じていらっしゃる方は、まずはお気軽に泉総合法律事務所へご相談ください。ご相談は何度でも無料です。

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