自己破産で滞納した水道光熱費|免責後に水道、ガス、電気は使える?

自己破産

自己破産で滞納した水道光熱費|免責後に水道、ガス、電気は使える?

【この記事を読んでわかる事】

  • 自己破産をした場合でも滞納している水道光熱費は払わなければならない?
  • 自己破産前に水道光熱費を支払っても大丈夫なのか?
  • 自己破産後でも新たに水道光熱費の契約ができるのか?

 

自己破産をすると借金は全て免責されます。しかし、滞納している水道光熱費まで免除してもらえるのでしょうか?

また、もし支払免除されたとしても、その後、電気、ガス、水道は使えるのでしょうか?

1.自己破産の債権の種類

自己破産は債権の種類によって免責可否が分かれる

自己破産をするときは、生活費の支払にも事欠く人が大半です。借金の返済に追われ、水道、ガス、電気料金も滞納してしまっている人も多いと思います。

一般的に自己破産をすると借金は免責されますが、水道光熱費については一概に免責とはなりません

というのも、自己破産の債権は種類がいくつかあり、その分類によって免責されるかどうかが変わるからです。

自己破産の債権の種類については、以下で解説します。

(1) 自己破産の債権は「財団債権」と「破産債権」に分かれる

自己破産の債権は「財団債権」と「破産債権」に分かれますが、それぞれの内容は以下の通りです。

  • 財団債権…破産手続きによらず、破産財団から随時支払いを受けられる債権。財団債権は免責の対象にはならない。破産手続きとは関係なく支払義務がある。
  • 破産債権…破産開始決定前の原因に基づいて生じ、破産手続きによって公平に弁済を受けられる債権。破産債権は免責の対象になり、破産認可決定後は支払義務がなくなる。

上記に照らすと、水道光熱費が免除されるには、破産債権であることが条件です。さらに破産債権の中にはいくつかの分類があり、どれに該当するかで支払の優先度が変わってきます。

(2) 免責対象となる破産債権は3種類に分類

借金の支払いが免除される破産債権は、以下の3つの種類に分かれます。

  • 一般の破産債権…一般的な債権。貸金業者からの借入、家賃の滞納、クレジットカードの支払いなどが該当。
  • 優先的破産債権…一般の破産債権より優先して受け取れる債権。未払い給料や共益費の請求が該当。
  • 劣後的破産債権…一般の破産債権の劣後に配当される債権。破産手続き開始後の利息、損害賠償、破産開始後の原因による税金、罰金など。

(3) 支払の優先順位は?

財団債権と3種類ある破産債権の支払の優先順位は以下の通りです。

  1. 財団債権
  2. 優先的破産債権
  3. 一般の破産債権
  4. 劣後的破産債権

財団債権は自己破産の決定に関係なく支払請求することが可能です。

破産債権は最初に優先的破産債権の配当が行われ、その余りを一般の破産債権の配当に充てます。

劣後的破産債権は一般の破産債権の配当後に分配されますが、余りがなければ配当を受けることができません。

2.滞納している水道光熱費の取扱い

自己破産をしたあとも電気・水道・ガスは利用できる?免責は?

さて、いよいよ本題の自己破産における水道光熱費の取り扱いについてです。水道光熱費については、下水道とそれ以外で扱いが分かれます。

最初に下水道以外の扱いについて解説します。

電気料金、ガス料金、上水道料金については、料金が発生した時期で分類が分かれます。

  1. 自己破産申立以前の直近1ヶ月分…財団債権
  2. 自己破産申立前半年以内…優先的破産債権
  3. 自己破産申立前半年以前…一般の破産債権

1については、財団債権となるので免責の対象外です。自己破産開始の有無に関わらず必ず支払わなければなりません。

2と3については破産債権なので、優先順位に差はあるものの、いずれも免責の対象です。自己破産が認可されれば支払う必要はありません。

以上、自己破産が認められた場合、下水道以外の公共料金は、免責されないのは自己破産申立前の直近1ヶ月分だけです。残りの分については全額免除してもらえます。

3.下水道料金は免責されない

下水道の扱いは特別なので、料金を滞納している場合は注意が必要です。

自己破産の債権は財団債権と破産債権に分かれるという話をしましたが、実はもう一つ、「非免責債権」というものが存在します。

非免責債権は文字通り、免責されない債権のことです。これは、税金、罰金、養育費、損害賠償権などが該当し、自己破産で免責許可がでても支払い義務が生じます。

実は下水道料金は税金に準じた扱いをされており、この非免責債権に当たるのです。地方税法231条の3により、滞納した場合は差し押さえなどの強制徴収も認められています。

下水道に関しては、自己破産開始決定後でも、滞納が続くと利用停止になるので、十分注意してください。

4.破産前に水道光熱費を払ってもいい?

(1) 自己破産の偏頗弁済は原則NG

水道光熱費は項目によって、支払い義務があるものと、そうでないものがあることを解説しましたが、公共料金は滞納をすると止められる可能性があります。

電気ガス水道はどれをとっても生活には欠かせないので、利用を止められる前に滞納分を払いたいと思う人も多いでしょう。

しかし、自己破産では偏波弁済(へんぱべんさい)が禁止されています。

自己破産では債権者を平等に扱わなければならず、特定の債権者だけ優先的に支払う=偏波弁済をすると免責が不許可になる可能性があるのです。

(2) 水道光熱費の支払いは偏波弁済になるか

自己破産前の水道光熱費の支払いが、偏波弁済に該当するかどうかは、各料金の種類と請求時期によります。

財団債権部分の支払い 自己破産申立前直近1ヶ月の上水道、ガス、電気料金については、いつ支払いをしても偏波弁済には該当しない。
破産債権部分の支払い 自己破産申立前の1ヶ月以前の上水道と光熱費については破産債権に該当。この部分は自己破産前に駆け込みで支払うと偏波弁済になる可能性がある。
優先的破産債権、一般の破産債権に関わらず、偏波弁済と評価される恐れあり。
非免責債権の支払い 非免責債権である下水道の支払いは偏波弁済には該当しない。
毎月の支払 毎月の支払も滞納をしていない分には偏波弁済には当たらない。

以上、偏波弁済で問題となるのは、破産債権部分の支払いです。

(3) 偏波弁済と裁量免責

水道や電気ガスが止められたら困ると思い、慌てて支払ったら自己破産できなくなった…そうなったら一大事です。

しかし、公共料金について偏波弁済を行ったとしても、裁量免責の制度があるので、実際には自己破産は認められるケースが大半です。

裁量免責は免責不可事由があっても裁判所の判断で免責を許可する制度です。

大抵、少々問題があるケースでも一回目の自己破産の場合は認められるので、ライフラインの水道光熱費の支払いをしたという話であれば、裁量免責を受けられる可能性大です。

5.自己破産の免責後に電気ガス水道は利用できる?

(1) 自己破産開始決定後は利用を止められない

自己破産をすると、下水道料金と直近1ヶ月分の公共料金以外は免責されます。

ただ、自己破産で免責決定になると、クレジットカードなどは利用できなくなるので、水道や電気、ガスについても利用不可になるのか不安な人も多いと思います。

しかし、その心配には及びません。この点、破産法55条により「継続的な双務契約において、破産申立以前の債権の弁済がないことを理由に、破産手続開始後の給付を拒否してはならない」と規定されています。

つまり、破産申立以前の水道光熱費が免責された場合、それを理由に供給を止めてはならないというルールがあるのです。

①双務契約とは?

双務契約とは、お互いに義務を負う契約のことで、具体的には利用者は料金を払い、業者がサービスを供給する契約のことを指します。

電気ガス水道いずれも双務契約に該当し、それ以外では携帯電話、インターネット契約などもこれに当たります。

上記のインフラサービスについては、いずれも、破産開始手続決定後、免責を理由に利用を止めることはできません。

また、自己破産を理由に双務契約を解除されることもありません。

こうした規定があるのは、自己破産でライフラインが断たれると、その後の生活ができなくなるからです。

債務整理の本来の目的は、債務者を救済し経済的な再建をすることであり、その主旨からも、破産後は従前の通りに公共サービスの利用が可能となっているのです。

(2) 破産手続開始前は供給を止められる可能性が

破産法では免責を理由にサービスの供給を止めてはならない、としていますが、それはあくまでも破産手続開始後の話です。

破産手続開始前については、滞納が続けばライフラインであっても停止されます。

そのため、破産手続開始前の段階で利用停止を防ぐには料金を支払うしかありません。

偏波弁済に該当したとしても裁量免責も受けられる可能性が高いので、利用停止になる前に料金は支払っておきましょう。

6.自己破産後に新たに水道光熱費の契約ができるか

自己破産を自己破産で免責されたら、電気水道ガスは止められないかしたあとも電気・水道・ガスは利用できる?免責は?

最後に、自己破産後に引っ越しをして、新たに電気、ガス、水道の契約ができるのか確認しておきましょう。

自己破産をして、滞納料金を免責されたとしても、新たに電気、ガス、水道の契約をすることは可能です。

また、引っ越し先だけでなく、同じ住所で再び契約をすることもできます。滞納で契約解除をされていたとしても、自己破産後に新たに契約することは可能です。また、電力自由化で別の会社を選択することも問題ありません。

自己破産をすると、5~7年は信用情報機関に登録されるので、新たに借り入れたり、クレジットカードを作ったりすることはできませんが、電気ガス水道、賃貸、生命保険などの双務契約は、自己破産中、自己破産後でも自由に契約をすることが可能です。

携帯ブラックはどうなるか

携帯電話についても自己破産後に契約することは可能です。

しかし、携帯については料金滞納がある場合、携帯電話会社同士で情報が共有され、新たな契約ができなくなります。

これを携帯ブラックと言い、自己破産前に滞納している人はブラックリストに載っている可能性があります。

しかし、自己破産後に免責を受けると、法的に支払の義務がなくなります。そのため、免責後は携帯ブラックではなくなり、新たに契約ができるようになるのです。

以上、自己破産前に水道光熱費を滞納したとしても、免責後に契約ができなくなるということはありません。

以前と変わらずに契約することが可能なので、自己破産の選択をするとしても、ライフラインに関しては特に心配する必要はないでしょう。

7.自己破産のご相談は泉総合法律事務所へ

自己破産をする場合、水道光熱費の滞納分に関しては、直近1ヶ月分の上水道、電気、ガス料金および下水道料金以外は全て免責されます。

免責を受けたとしても、そのことを理由に、その後のサービスの供給が停止されることはありません。それは法律で禁じられているので、どうぞ安心してください。

むしろ、借金があって、何ヶ月も支払ができず、ライフラインがストップしている場合は、自己破産で滞納分を免除してもらい、再び利用できるようにする方が得策かもしれません。

また、利用停止になる前にまとめて払っても、裁量免責があるので、それを理由に自己破産ができなくなることもありません。

一番困るのは、借金の支払いに追われ、請求書がきているのに水道光熱費が支払えずにいる状態です。そのままだと、今後の生活に大きな支障をきたします。

そうなる前に、借金でお困りの方はぜひ泉総合法律事務所にご相談下さい。泉総合法律事務所は債務整理の解決実績が豊富にあります。お1人お1人の状況に合わせて、ベストの解決方法を提案させて頂きます。

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