自己破産 [公開日][更新日]

自己破産するとライフラインはどうなる?公共料金の滞納と自己破産

自己破産で滞納した水道光熱費|免責後に水道、ガス、電気は使える?

【この記事を読んでわかる事】

  • 自己破産をした場合でも滞納している公共料金(水道光熱費)は払わなければならない?
  • 自己破産前に水道光熱費を支払っても大丈夫なのか?
  • 自己破産後でも新たにライフラインの契約はできるのか?

 

借金返済に困っている人の中には、水道代・ガス代・電気代といった公共料金(水道光熱費)にも延滞がある人が少なくないようです。
また、クレジットカード利用額の滞納によって、公共料金にも延滞が生じているケースも珍しくありません。

そのような場合、「自己破産したら延滞しているライフラインが止められてしまうのでは?」と不安に感じて、債務整理を躊躇してしまう人も、実際には多くいらっしゃいます。

しかし、実は、ライフラインを維持するためには、早期に債務整理した方が良い場合が少なくありません。

今回は、自己破産した場合の公共料金の滞納分の取扱いについて解説します。

1.自己破産してもライフラインは止められない

実は、自己破産したことを理由に、ライフラインの供給が停止されることはありません
また、仮に水道・ガス・電気料金などの水道光熱費に未払いが残ったまま自己破産しても、これらが停止されることはありません。

むしろ、ライフラインを失う心配をしないためにも、早期に債務整理に着手した方が良い場合が多いといえます。

(1) 公共料金の滞納が続くとどうなる?

公共料金の滞納が続くと、最終的にはガス・電気・水道の供給が停止されてしまいます。

とはいえ、これらライフラインは、生活・生命の維持にも関わることなので、延滞すると即供給停止になるというわけではありません。

一般的には、①ガス(延滞50日程度)、②電気(延滞2ヶ月前後)、③水道(延滞2ヶ月~半年程度)の順で、供給が停止されるといわれています。

ライフライン料金の延滞を解消できる見込みがない場合には、抱えている借金もかなり深刻な場合が少なくありません。

延滞解消と借金返済のいずれを優先すべきかで迷っている人もいるかもしれませんが、そのような場合には、自己破産などの債務整理で解決することができます。

(2) 自己破産すればライフラインの停止を回避できる

「公共料金を延滞したまま自己破産したら水道などが止められるのでは……」と不安に感じている人は少なくないと思います。

しかし、自己破産しても、「自己破産をしたこと」を理由にガス・電気・水道が止められることはありません。破産法が、「過去に延滞があることを理由としたライフラインの供給停止」を禁止しているからです(破産法55条1項)。
(なお、延滞がない場合に、自己破産したことでライフラインが止まらないことはいうまでもありません。)

とは言うものの、自己破産の申立も「すぐにできる」というわけではありません。

自己破産申立に必要な書類を整えるためには、2~3ヶ月程度の時間が必要です。着手が遅くなれば、自己破産申立前にライフラインの供給が止められてしまう可能性もあります。

既に公共料金の延滞を解消できる見込みがないときは、「供給停止」を回避するためにも、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

2.自己破産前後の公共料金の支払い

自己破産前後の公共料金の支払い

上の図は、自己破産した場合の公共料金の取扱いについて簡単にまとめたものです。
法律用語が並んでいてちょっと難しく感じる人もいるかもしれませんが、「自己破産後の公共料金」は、これまで通り請求された分を支払うことに変わりがありません。

なお、自己破産した場合の公共料金は、「請求期間」を単位として取り扱われます(破産法55条2項)。自己破産申立日を基準に日割り計算するということはしません(上の図では、5/31・6/1の利用分については、自己破産申立後の請求の取扱いになります)。

(1) 自己破産申立後に発生した公共料金の支払い

自己破産した後も引き続き、ガス・水道・電気を使用するときには、「自己破産申立後の公共料金」は、通常通り、「請求された金額」を支払う必要があります。

このうち、「自己破産を申し立てた月の請求分(上記フロー図では6月利用(7月請求)分)」は、財団債権として取り扱われます。
「財団債権」とは、配当期日を待たずに全額を随時に支払わなければならない債権(債務)のことをいいます。

なお、公共料金の支払いをクレジットカードで決済しているときには、支払い方法を変更する必要があります。自己破産すると、クレジットカードが解約になるからです。

利用残高がなく自己破産の対象としなかったクレジットカードでも後日解約される可能性があるので注意が必要です。

「管財事件」となった場合には、財団債権の支払いは、破産管財人が行います。ただし、破産財団(自己破産した際に差し押さえられた財産の集合体)が不足しているときには、按分配当となるため、公共料金を支払いきれない場合があります。「同時廃止事件」となった場合には、債務者自らが支払う必要があります。
破産手続開始決定以後の公共料金(上の図では7月利用(8月請求)分)以降については、従来通りの取扱いになります。これらの支払いを延滞すれば、供給停止となります。

(2) 延滞分の支払い

過去の公共料金延滞分は、延滞時期によって破産手続きでの取扱いが異なります。自己破産申し立て前6ヶ月までの延滞分は「優先的破産債権」、それ以前の延滞分は「一般破産債権」となります。優先か一般かの違いは、配当の優先順位の違いです。

したがって、債権者にとっては重要な区分ですが、債務者にとっては、優先的破産債権も一般的破産債権も「免責の対象となる」という点では違いはありません。「自己破産申立月前月分(5月利用分)以前の延滞」は、すべて免責されると覚えておけば十分でしょう。

(3) 滞納分を「自己破産前」に支払っても良いのか?

電気・水道・ガスを止められてしまうことは、誰もが回避したいものです。そのため、自己破産前に、借金の返済に優先して「公共料金の延滞を解消しよう」と考える人もいるかもしれません。

しかし、公共料金の延滞分を自己破産申立に先駆けて解消することは、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」となり、自己破産で問題となる可能性があります。

「偏頗弁済」とは、簡単にいえば「特定の債権者だけを優遇する不公平な返済」のことです。

自己破産(や個人再生)は、「すべての負債を同時に対象とする手続き」なので、債権者を平等に取り扱う必要があります。そのため、手続き前に不公平な支払いがあることは大きな問題となるからです。

偏頗弁済を疑われたときには、破産管財人が必ず選任されるため、本来であれば同時廃止で処理できる案件であっても不必要な負担(20万円以上の予納金)が増えてしまいます。

とはいえ、ライフラインは「生活のために必須」といえるものです。生活の維持に必要な支払いであれば、実務上は偏頗弁済にならないケースが多いです。「先に延滞分を支払ってしまいたい」という場合には、まずは弁護士にご相談ください。

 

自己破産申立前の対応は、一般の方には判断の難しいケースが少なくありません。債務者の方が「よかれ」と思ってした対応が、破産手続きで問題となることもしばしば見受けられます。

自己破産を検討されている方は、できるだけ早く弁護士にご相談いただき、弁護士の指示に従って、正しく対応されることを強くおすすめします。

なお、当事務所では、自己破産に関するご相談を何度でも無料で実施していますので、お気軽にご利用いただくことができます。

4.水道光熱費を滞納してもブラックリストには載らない

水道、ガス、電気といった光熱費を滞納しても、基本的にブラックリストに載りません。

JICCやCICといったいわゆる信用情報機関は、クレジットカードやキャッシング、ローンなどの取引に関する借入・返済の情報が登録、管理されるところです。
水道光熱費は信用情報機関に属しませんので、基本的にはブラックリストに載ることがないということになります。

ただし、支払い方法によってはブラックリストに載ってしまうこともあります。

それは、クレジットカード決済をしていて、支払いができなかった場合です。

公共料金の支払い方法としては、請求書支払い・口座引き落とし・クレジットカードの3つのいずれかの方法が一般的です。
クレジットカードの場合、水道光熱費の滞納は、クレジットカードの利用料金の支払いを滞納しているということになりますので、クレジットカードの延滞の記録が付いてしまいます。

これがいつまでも続くと、事故情報として記録されてしまうというわけです。

5.税金、社会保険、携帯・スマホ料金について

公共料金に滞納がある場合には、税金・社会保険(年金・健康保険)、携帯・スマホ料金などに滞納がある場合も多いと思います。
最後に、これらの場合についても、基本的な考え方を確認しておきましょう。

なお、詳細については、それぞれのリンク先の記事で解説しています。

(1) 税金や社会保険・下水道料金の滞納分

税金や社会保険(年金保険・健康保険・介護保険・労災保険)の滞納分は、自己破産などの債務整理をしても一切免除されません。また、水道料金と一緒に徴収される「下水道料金」も、法律上の区分の関係で、税金などと同様に取り扱われるので免除されません。

したがって、これらに滞納があるときには、自治体などの徴収機関と「分納」の協議をする必要があります。

なお、年金や住民税には、納付猶予などの救済措置も用意されています。

自己破産をしても税金の支払い義務はある!滞納するとどうなるのか

(2) 携帯・スマホの滞納分

携帯・スマホ料金の滞納は、借金の返済に困っている人に特に多い問題です。

滞納がない場合であれば、原則として、ライフラインの場合と同様に、自己破産しても携帯はそのまま利用することができます。自己破産前後の利用料金を普段通りに支払うことも全く問題ありません。

しかし、利用料金に滞納があるときに自己破産すると、携帯・スマホ契約は強制解約となるため、利用することができなくなります。

強制解約を回避するには、自己破産申立前に、滞納料金を弁済する必要がありますが、偏頗弁済に注意しながら慎重に対応する必要があります。必ず弁護士の助言を受けて対応しましょう。

携帯料金を滞納するとどうなる?借金と携帯電話・スマホの関係

(3) 家賃の滞納

住まいを借りている場合には、自己破産をしただけで賃貸借契約が解約されることはありません。自己破産する場合にも、毎月発生する家賃を通常通り支払えば問題はありません。

しかし、家賃の滞納があるケースでは、契約を解除されてしまう可能性があります。

最近では、家賃をクレジットカードで支払う物件も増えているため、カード料金未払いが家賃滞納に直結していることもあるので注意が必要です。

ただし、家賃滞納がある場合でも、大家さんと事前に交渉することにより、解約を回避できる場合がほとんどです。立ち退きの強制執行を行うには手間も時間も費用もかかるからです。

その場合には、自己破産後の収入(もしくは自己破産後に手元に残った財産)から滞納分を分納などで支払うことになります。自己破産すれば、他の借金はすべて免責されるので、滞納家賃は何とか支払えるというケースも多いと思われます。

なお、滞納家賃を自己破産前に支払うことも、偏頗弁済となる可能性があります。必ず事前に弁護士の助言を受けてから対応しましょう。

家賃滞納で督促・催告書・立退き請求に!債務整理で解決する方法とは?

4.まとめ

水道光熱費・公共料金の支払いすら難しい状況では、「家計状況が火の車」という場合がほとんどでしょう。そのような場合には、「どこから支払うか」と考えるよりも、債務整理による抜本的解決を図った方が最終的には良い結果になるといえます。

弁護士に債務整理を依頼すれば、公共料金の延滞分だけでなく、消費者金融や銀行カードローンの借金の返済も一時的にストップすることができます。
一切の取立て・支払いから解放されることで、静かな生活を取り戻せることは、生活を建て直すためにとても大切なことです。

債務整理はほとんどの人にとってはじめての経験です。そのため、公共料金の滞納分の取扱いについてだけではなく、債務整理について不安に感じること、わからないことがたくさんあるのは当然といえます。

泉総合法律事務所では、借金・債務整理に関する相談は、無料でご利用いただくことができます。ご不安なこと、わからないことは、遠慮せずに、お気軽にご相談ください。

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