自己破産 [公開日] [更新日]

破産管財人とは?誰が選ばれ、どんな仕事をするのか?

【この記事を読んでわかる事】

  • 破産管財人は管財事件でのみ選任される
  • 破産管財人は、弁護士が選任される
  • 破産管財人は、破産者の財産(資産)を管理・処分・売却して、債権者に配当金を分配する
  • 破産管財人の費用は、債権者への配当の中から支払われる

 

自己破産の申立を行うと、たまに選ばれるのが破産管財人です。

「そもそも破産管財人ってどんな人?何をする人なの?」
「どのような人が破産管財人として選ばれるのか」
「自己破産について弁護士に相談したら、破産管財人がつくことがあると言われたけど、どういうこと?」
「なぜ破産管財人が選ばれたり、選ばれなかったりするのか」
「破産管財人がつくことで費用はかかるの?」

など、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

以上の疑問を解消すべく、弁護士が解説します。

1.どんな場合に破産管財人が選ばれるの?

  • 破産管財人が選ばれるのは、少額管財または管財事件のとき
  • 法人破産の場合は、必ず破産管財人がつく

裁判所に破産の申立がなされると、裁判所は、①同時廃止、②管財事件、③少額管財のどの手続で破産を行うか決定します。

このうち、少額管財または管財事件と決定した場合、その決定と同時に破産管財人が選任されます。

同時廃止と決定した場合は、選任されません。

(1) 同時廃止、管財事件、少額管財とは

破産事件は、破産者が借金を返せないことは共通しています。

しかし、一定の財産はあるけれど、それよりもはるかに借金がある人もいれば、そもそも財産がほとんどない人もいるでしょう。借金を返済できなくなった事情も様々です。

そのため、裁判所は破産事件について、そのような事情や財産状況などを見て、破産管財人の選任されない①同時廃止、選任される②少額管財および③管財事件、の3つに分けて手続を進めることにしています。

①同時廃止

破産を申立てる方の中には、破産手続費用すら払えない方も少なくありません。

そのような方の場合、破産手続の中で、破産者の財産をお金に換えて債権者間で公平に分けること(専門的には「破産財団の換価・配当」と言います)は、不可能です。

破産手続の目的は破産財団の換価・配当にあるとされていますので、このような場合は破産手続の目的を達成することができません。

そのため、このような場合には、破産手続はその開始決定と同時に終了させ、直ちに破産者に借金(例外あり)をなしにしてあげる(専門的には「免責を許可する」と言います)ことにするかどうかを審査することになります。

この審査の際に、破産管財人の意見を聞くまでもないような場合には、破産管財人の選任されない「同時廃止」となります。

【参考】自己破産の同時廃止手続における現金の上限について

②管財事件

破産者に一定の財産(東京地裁では概ね33万円以上の現金または20万円以上の資産)がある場合、その財産を債権者間で分けることが可能です。

また、借金の総額が大きい(東京地裁では概ね5000万円以上)など、破産せざるを得なくなった経緯をきちんと調査して債権者に報告する必要がある場合には、破産手続の開始と同時に終了させることが妥当でないとみなされることもあります。

このような場合は、財産の分配について責任をもって行う人が必要となり、破産に至る経緯について責任をもって調査する人が必要となります。このような人が必要な場合には、その役割を担う破産管財人が選任される管財事件となるのです。

【参考】自己破産における管財事件と同時廃止の違い。管財事件になる場合とは

③少額管財

平成11年4月に東京地裁が代理人の申立てた破産事件のうち、比較的簡易な事件については、申立て時に裁判所に納める予納金を安くする少額管財(管財事件なら予納金50万円以上のところ少額管財なら20万円)とすることにしました。

現在では、東京地裁以外でも全国の裁判所がこの少額管財を採用しています。

・少額管財とされる場合

個人の破産の場合で管財事件とされるときは、規模の大きい個人事業主のような場合を除きほぼ例外なくこの少額管財とされ、法人の破産でも比較的簡易な場合は少額管財とされます。

・管財事件とされる場合

少額管財でない通常の管財事件は、法人の破産で比較的簡易とはいえない場合などに限られることになります。

(2) 同時廃止、少額管財、管財事件についてのまとめ

破産手続開始決定と同時に終了させ、免責を許可するかどうかを審査するにあたり、破産管財人の意見を聞くまでもないと裁判所が判断した場合には、破産管財人を選任しない同時廃止とされます。

一方、破産手続開始決定と同時に終了させてはいけない場合や、免責を許可するかどうかを審査するにあたって破産管財人の意見も聞く必要がある場合には、破産管財人が選任される少額管財(比較的簡易な場合)または管財事件(比較的簡易でない場合)とされます。

【参考】自己破産の弁護士費用をなるべく安く抑える方法とは?

(3) 法人破産

また、法人の破産をする場合には、必ず破産管財人が就くことになります。

法人には、債権者、取引先、従業員など、多くの利害関係人が存在します。法人の財産を、その多くの利害関係人に、適切に利害調整をして、平等に分配していくことは大変な仕事になるからです。

2.誰が破産管財人に選ばれるか

破産管財人は、その仕事内容に高度な法的知識が求められることから、その専門家である弁護士が選任されています。

裁判所がその事件の内容などをみて、経験年数なども考慮して、基本的にその地元の弁護士の中から選任することが一般的です。

法人が破産した場合、破産管財人の氏名のほか、所属する法律事務所とその所在地が登記事項とされています。

(1) 破産管財人と破産申立代理人

破産管財人は、破産申立代理人とは全く違う業務を行う人です。

たしかに、どちらも弁護士である場合がほとんどです。しかし、破産申立代理人は、自己破産する予定の人が自分で法律事務所を探して選ぶことができます。

一方で、破産管財人は、破産申立をしたあとに、裁判所が事前にリストに登録されている弁護士の中から選んで決めます。

つまり、破産申立代理人は自己破産する人が決めることができますが、破産管財人は裁判所が決めるのです。

3.破産管財人の職務内容

破産管財人とは?誰が選ばれ、どんな仕事をするのか?

破産法 2条12号
「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有するものをいう。」

基本的に破産管財人は債権者の代表であり、破産者に代わって、その財産(現金だけでなく、不動産などの資産も含めます)を管理・処分・売却などして、債権者に配当金を平等に分配する仕事をします。

また、破産者に対して、免責を許可することが妥当かどうか、裁判所に対して意見を述べる仕事もあります。さらに、破産者の今後の生活のための行動をすることもあります。

(1) 「換価・配当」において

①財産を調査

破産管財人は破産者の提出した申立書に記載されている財産状況が正しいのか、隠し財産がないかなどを調べます。

その調査に対して、破産者はきちんと説明しなければいけません。噓をついたり、無視したりすれば、刑罰が法律で定められています。

申立て前に、財産を知人にあげるなど、破産者が不当に財産を減らしていることが分かれば、その破産者の行為をなかったことにする(たとえば、あげた物を返してもらう)ことができます(専門的には「否認権の行使」と言います)。

また、自己破産する人が不動産を所有していた場合、破産管財人は不動産の価値が適切に評価されているかどうか確認します。不動産の査定額照会がなされることもあります。

この調査について、破産者は協力しなければなりません。これを拒否したりしたときも、刑罰を受けなければなりません。

【参考】破産の疑問を解決!破産管財人による否認権の行使とその影響とは?

②郵便物のチェック

破産管財人が就任すると、それまで破産者宛に届いていた郵便物が、全て破産管財人の事務所に転送されて、破産管財人が中身を確認します。

これは、たとえば証券会社や信託銀行からの封書が届いたりすれば、実は、破産者が申立書に書いていない株式や投資信託を保有していたというように、隠し財産を発見できる可能性があるためです。

③債権のチェック

このようにして調査した財産や権利を金銭に換えて、債権者に分配するお金を集めます。集めた後、配当表を作成して、債権者の債権に応じて公平に配当します。

ところが、債権者が多くの配当金をもらおうと自分の債権を過大に主張すると、公平な分配はできません。

そのため、破産管財人は債権者の債権額についても調査し、場合によっては、裁判を行って債権者の債権額を確定させる場合もあります。

(2) 免責許可相当と思料する

破産を申し立てるに至った経緯や、今後、破産者がきちんと収入の範囲内で生活していくことができるのか、破産するに至ったことについてきちんと反省し、手続に協力的かどうかなどなど、様々な点から総合的に、破産管財人が破産者に免責を許可すべきかどうか意見を述べます。

なお、実際に免責を許可するかどうかは、裁判所が決めますので、破産管財人が「不許可相当」の意見書を提出しても、直ちに免責不許可となるわけではありません。

【参考】免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

(3) その他破産者のための行動

たとえば、破産者が積み立て型の生命保険に入っていて、解約すれば解約返戻金がある程度あるけれども、解約してしまうと新たに生命保険に入ることは難しいような場合もあります。

このような場合、債権者の利益だけを考えると、解約してその返戻金を分配しましょうということになりそうですが、それでは破産者にとって酷な状況です。

そのため、破産管財人は解約返戻金相当額を破産者に支払ってもらうことで、債権者の利益を図りつつ、生命保険契約を維持する(解約返戻金請求権の放棄)といった債務者のための行動をすることもできます。

4.破産管財人が就くとどうなるのか

破産管財人がついたとして、債務者には何かしらの義務が生じるのでしょうか。

以下で説明していきます。

(1) 協力義務

破産管財人が就いた場合、自己破産する人は、破産管財人に協力しなければなりません。

破産管財人の調査や、借金を免除して良いかどうか検討する時間が必要となるため、破産管財人が就かなかった場合よりも全ての手続が終わるまで時間が長くかかってしまいます。

(2) 説明義務

破産管財人は、自己破産する人が申立書に書かれた財産以外の財産を隠し持っていないか調査します。破産管財人は、債権者に財産を分配しなければなりませんので、他に財産がないかしっかり調べてきます。

このとき、自己破産する人は、破産管財人の調査に協しなければならず、説明を拒否したり、嘘をついたときには、相応の罰を受けなければなりませんので、注意が必要です。

5.破産管財人が不正を行わないための監視システム

  • 破産管財人は裁判所・債権者委員会への報告義務を負う
  • 計算報告書への異議は破産者本人でも可能
  • 破産管財人でも解任される可能性がある

(1) 報告義務

破産管財人は、裁判所に監督されていますので、裁判所からの求めに対してきちんと報告しなければなりません。

また、債権者が自発的に債権者委員会を構成した場合、この債権者委員会に対しても、破産管財人は報告義務を負うと法律で定められています。

(2) 計算報告書への異議

破産管財人は、その任務を終えるにあたり、それまで行ってきた仕事の集大成としてその経過や収支などをまとめた計算報告書を作成しなければいけません。

この計算報告書について、個々の債権者のみならず破産者本人も異議を述べることができます。

(3) 解任される可能性

裁判所は、破産管財人を解任する権限を持っています。

個々の債権者は裁判所に対して意見を述べたり、破産管財人を解任するよう申し立てたりすることができます。

また、破産者本人も、裁判所に対して、破産管財人を解任するよう申立てることができます。このような申立てがあった場合、裁判所は破産管財人から話を聞き、実際に解任するかどうかを決めますので、申立てがあったとしても、解任されない場合もあります。

6.破産管財人の報酬・負担

  • 破産管財人の報酬は、債権者に対して配当するためのお金から裁判所の決定に基づいて支払われる
  • 予納金は20万円〜

(1) 誰が負担するのか

破産管財人の職務は総債権者の利益のために行われますので、その報酬は、債権者に対して配当するためのお金から、裁判所の決定に基づいて支払われます。

そのような配当のためのお金が全くない人でも、破産の申立ての際に、裁判所に予納金を納めていますので、少なくともこの予納金が報酬となります。

(2) 予納金の基準・相場

  • 少額管財の場合 20万円
  • 管財事件(個人)の場合 50万円以上(負債総額によって決まることが多いです)
  • 管財事件(法人)の場合 70万円以上(負債総額によって決まることが多いです)

7.まとめ

これまでのご説明で、破産管財人がどんな人で、一体何をする人かご理解いただけましたでしょうか。

自分の自己破産手続が、破産管財人の就く管財事件になるのか、破産管財人の就かない同時廃止になるかを知りたい方は、まずは泉総合法律事務所にご相談ください。

泉総合法律事務所では、多くの借金問題を自己破産手続によって解決してきた実績があります。そのため、どのようなケースで破産管財人が就くのか、もしくは同時廃止で行けるのかという点を熟知しております。

泉総合法律事務所の弁護士が、破産管財人や裁判所と粘り強く交渉するなどして、ご依頼者様のために精一杯サポートさせていただきます。

ご相談は何度でも無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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