自己破産 [公開日][更新日]

破産宣告と自己破産の違い。免責手続は東京の弁護士にご相談を!

【この記事を読んでわかる事】

  • 「破産宣告」という単語は現在使われず、代わりに「破産手続開始決定」が使われる
  • 自己破産には、管財事件と同時廃止事件があり、破産者の状況によりどちらになるかは異なる
  • 「破産宣告(破産手続開始決定)」だけでは意味はなく、最終的には裁判所に免責を認めてもらう必要がある

 

日常的な会話の中でもよく使われる「破産宣告」ですが、実は「破産宣告」という用語は、現在は法令上存在しません。

つまり、「破産宣告」はもう死語なのですが、それは意外と知られていません。

なぜ「破産宣告」という用語がなくなったのか、今回は破産に関する用語や手続を、東京都の弁護士が分かりやすく解説します。

1.破産手続の基礎

(1) 破産という制度

破産とは、自分の財産や収入では債権者に対して返済ができない、という状態のことを言います。

しかし、あなたが債権者に対して「私は破産状態ですから、これ以上返済できません」と説明しても、おそらく債権者は納得してくれないでしょう。

また、「私にはもう財産がありません」と説明しても、それが本当なのかどうか、債権者には調べるすべがありません。

中には、早いもの勝ち、とばかりに、無理やり回収しようとする債権者も出てくるかもしれません。

このような状況を解消するために、破産手続があるのです。

裁判所によって、支払能力がない(=破産状態にある)と判断されたのであれば、債権者も納得できるはずです。

また、破産手続では、裁判所に対して財産状況を報告し、財産があればお金に換えて債権者に分配しますから、早い者勝ちで抜け駆けすることはできません。
これが破産手続の存在意義です。

(2) なぜ「破産宣告」という用語はなくなったのか

冒頭で「破産宣告」は死語だと書きましたが、その理由を説明しましょう。ここからは、あなたが裁判所に破産を申立てる場面をイメージしてください。

まず、裁判所に破産申立書を提出するところから始まります。

申立書には、あなたの収入や財産状況、借金がどれだけあるか、なぜ破産を申立てることになったのか、といった情報を詳しく記載します。

裁判所は、あなたが提出した申立書の内容を確認します。

そして、破産状態にあると認められる場合には、「これから破産手続を進めましょう」という決定をします。

この決定を「破産手続開始決定」といい、2005年に破産法が改正されるまでは「破産宣告」と呼んでいました。

つまり、破産法の改正によって「破産宣告」という用語がこの世からなくなり、代わりに「破産手続開始決定」という用語が登場したのです。

もう10年以上も前のことですが、「破産宣告」という用語が根づいてしまい、人々の認識もなかなか変わらないようです。

(3) 破産手続開始決定の条件

次に、どのような状態であれば、裁判所が「破産手続開始決定」をすのか、具体的に解説します。

破産法第15条1項には「債務者が支払不能にあるときは・・・、破産手続を開始する」と書かれています。

つまり、破産手続が開始されるには、「支払不能」の状態であることが必要とされるのです。

しかし、一口に「支払不能」と言っても、「借金が○万円以上あれば・・」、「収入が○万円以下であれば・・」といった明確な基準はありません。

一般的には、「財産や信用、労働などをもってしても、借金を返済できない状態が続く」場合には、支払不能と判断しています。

たとえば、借金が1000万円あったとしても、自宅に3000万円の絵画がある場合には、支払不能とは言えないでしょう。

なぜなら自宅の絵画(財産)を売れば、1000万円の借金を難なく返済できるからです。

また、借金が300万円あっても、自身に特殊な技能があり、毎月100万円の収入(労働)がある場合も、支払不能とは言いにくいでしょう。

なぜなら、毎月かなりの金額を返済にまわせるので、300万円くらいの借金なら、数か月で完済できるからです。

このように「支払不能」といえるかどうかはケースバイケースですから、裁判所が破産申立書の情報をもとに総合的に判断するのです。

(4) 「自己破産」

ところで、「自己破産」と一般に呼ばれていますが、そもそも「自己」じゃない破産などあるのか?という疑問を感じないでしょうか?

破産手続とは「手持ちの財産を金銭に換えて、裁判所の関与のもとで、債権者に分配する手続」だと説明しました。

実は、破産手続というのは、債権者側から見ると、貸し付けたお金が返済されない場合の回収手段の一つでもあるのです。

破産を申立てることによって、裁判所(正確に言うと、裁判所が選任する破産管財人)が財産を調査し、財産があれば金銭に換えて債権者に分配してくれるため、いくら催促しても返済してくれない会社に対しては、破産を申立てて強制的に貸付金を回収することもあります。

実際、銀行などが貸付金を回収するために、裁判所に貸付先企業の破産を申立てて、破産手続によって回収を図る、という例も珍しくありません。

これに対し、自分から破産を申し立てるのが「自己破産」です。

もっとも、債権者の方から破産を申立てる事例は多くないので、国内の破産事件はほとんどが自己破産です。

【参考】自己破産は自分でできる?かかる費用や手続方法は?

2.破産手続の流れ

それでは、裁判所の破産手続がどのように進んでいくのか具体的に解説しましょう。

破産手続は、破産者に一定の財産があるかないかによって異なります。

財産がある場合とない場合に分けて、手続の流れを解説します。

(1) 破産者に一定の財産がある場合

破産者に一定の財産がある場合には、その財産を金銭に換えて、債権者に分配する手続が必要になります。これを「管財事件」と呼びます。

①破産申立
破産申立に必要な書類を添えて、破産申立書を提出します。破産申立書は、通常、電話帳くらいのボリュームになるので、弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。

②破産手続開始決定
裁判所は破産申立書を審査し、支払不能と認められる場合には、破産手続開始決定を出します。

③破産管財人の選任
破産者の財産を金銭に換え、債権者に分配する手続が必要ですが、実際には、裁判所から選任された「破産管財人」がその作業を行います。
通常、破産管財人に選任されるのは弁護士です。

④債権者集会
裁判所は、債権者集会を開催して、破産管財人から破産者の財産がどのくらいあり、債権者にどのくらい分配できるか、といった状況を報告します。

⑤破産手続終結決定
破産管財人よる財産の換金や債権者への分配がすべて終わると、裁判所は「破産手続終結決定」を出します。

⑥免責許可
破産手続終結決定によって債権者への分配などは終了しますが、これで終わりではありません。
破産者にとって、破産申立の究極の目的は「免責許可」をもらうことです。
「免責」については最後に解説します。

【参考】破産管財人とは?誰が選ばれ、どんな仕事をするのか?

(2) 破産者に財産がない場合

破産者に財産がない場合には、選任しても意味がないので、破産管財人は選任されません。

なぜなら、財産がない以上、財産を金銭に換える作業もなければ、それを債権者に分配する作業も発生しないからです。

先ほどのフローでいうと、②の「破産手続開始決定」と同時に「破産手続廃止決定」が出されて手続が終了し、一気に⑥の免責許可に飛ぶわけです。

破産手続が開始すると同時に終わるため「同時廃止事件」と呼ばれます。

たとえば、不動産や高額な預貯金、退職金などの財産を持たない専業主婦の人などは、同時廃止事件となる可能性が高くなります。

同時廃止事件になると、管財事件よりも費用が少なくて済みます。

【参考】
自己破産における管財事件と同時廃止の違い。管財事件になる場合とは
自己破産の同時廃止手続における現金の上限について

3.破産しても免責されなければ意味がない

先ほども述べたとおり、破産申立の究極の目的は「免責許可」をもらうことです。

免責許可とは、借金の返済を免除する、という許可です。俗な表現をするならば「借金をチャラにしてもらう」ということです。

つまり、最終ステップの「免責許可」によって、裁判所から「もう借金を返済しなくていいよ」というお墨付きをもらうことで、ようやく本来の目的を遂げるのです。

(1) 免責の条件

実務上は、ほとんどの破産者が免責許可をもらい、借金の返済を免除されています。

しかし、中には免責許可が出ないケースもあります。

破産法には、どういう場合に免責が許可されないか(これを「免責不許可事由」と言います)が規定されていますが、その典型が「浪費」、「ギャンブル」です。

もちろん、パチンコや競輪、競馬といったギャンブルは、合法的な娯楽ですから、借金をしてギャンブルにつぎ込むのも基本的には自由です。

しかし、それも度が過ぎれば、免責不許可事由に該当するおそれがあります。

(2) 免責許可の意義

借りてきたお金をギャンブルにつぎ込んで生活を破たんさせたり、借りてきたお金でぜいたく三昧した挙げ句に「収入がないので借金は返せません」というのでは、あまりに不道徳と言えます。

やはり、一般的な社会常識に照らして、こうした場合にまで借金の返済を免除すべきではない、と考えるのは当然でしょう。

免責許可は、破産者が生活を再建するためのいわば「救済策」ですから、あまりに不道徳な破産者には免責を認めない、という場合もあるのです。

このほか、破産手続中に財産隠しをした場合や、嘘の説明をした場合なども免責不許可事由に挙げられています。

【参考】免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

4.まとめ

自己破産を申立てる場合には、破産手続開始決定だけではなく、免責許可も得られなければなりません。

しかし、破産申立書は相当なボリュームになるため、一般人では準備や作成が難しいと言えます。

また、過度なギャンブルや浪費に思い当たる節がある方は、免責が許可されないおそれもあるので、専門家に依頼して手続を進めることをおすすめします。

東京都を始め、首都圏を網羅する視点を多数展開している泉総合法律事務所には、免責不許可事由に該当する原因で借金を重ねてしまったという方も多く来所されます。

債務整理の手段には、それぞれメリット・デメリットがあったり、場合よっては選択できない方法もあったりします。

弁護士が一人ひとりに合った債務整理方法をご提案・アドバイスいたしますので、破産できるかどうか分からないと悩んでいる方も、どうぞお気軽に、東京、千葉、埼玉、神奈川にございます泉総合法律事務所の各支店の無料相談をご利用ください。

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