本当は怖いFX投資…FXの失敗で借金・自己破産となるのは何故?

自己破産

本当は怖いFX投資…FXの失敗で借金・自己破産となるのは何故?

投資は、確かに魅力的なもので、中でも「FX」は、少ない元手で大きく儲けることも可能ですから、非常に人気が高いです。

FXは、比較的借金のリスクが低い投資方法だと言われています。しかし、実際にはFXが原因で自己破産に至ってしまうケースも多いため、注意が必要です。

今回は、FXとはどのような取引であり、安全性はどのように担保されているのか、またFXで借金が増えてしまった場合の対処方法について、弁護士が解説します。

1.FXについて

(1) FXとは

まずは、FXとはどのようなものなのか、基礎知識を確認しましょう。

FXとは、「外国為替証拠金取引」のことです。Foreign exchangeの頭文字をとって、FXと言います。

FXは、外国為替取引と、証拠金取引が一体になったものです。
外国為替取引とは、異なる国の通貨を利用した取引です。たとえば、日本円とドルを交換したり、ドルとユーロを交換したりすることが、外国為替取引です。

証拠金取引とは、FX業者に「証拠金」を差し入れることによって、自分の持っている元手よりも多くの金額を投資することができる取引です。

たとえば、自分の元手は30万円であっても、証拠金としてその30万円を差し入れることにより、150万円分までの投資ができるようになることなどがあります(レバレッジ5倍の場合)。

このように、証拠金の金額の何倍まで投資できるかという倍率のことを「レバレッジ」と言います。FX取引を行うときには、最大25倍までのレバレッジをきかせることができます。

レバレッジを高くすればするほど、成功したときには大きな儲けを出すことができます(ただし、当然損失も大きくなります)。

(2) FX取引の具体例

たとえば、もともと30万円を持っているとします。そして、これを証拠金として差し入れて、150万円分のドルを購入したとします(レバレッジ5倍)。

このときの為替は、1ドル100円だったとします。すると、購入できたのは1万5千ドルとなります。

その後、1ドル110円になったとします。すると、1万5千ドルは、165万円の評価額となります。
この時点で、15万円の利益が出ていることになります。

もし、レバレッジがきいていなければ、投資した金額が30万円であれば、購入できたドルは3000ドルとなるので、利益は3万円分だけです。

このように、少ない元手でも大きく儲けることができるので、FXは非常に人気が高いのです。

(3) スワップポイントとは

FXで儲ける方法として、「スワップポイント」を受けとる方法もあります。スワップポイントは、通貨の「金利差」によって得られる利益です。

通常、異なる通貨の金利には差があります。FXをするとき、金利の安い通貨を売って、金利の高い通貨を買うと、その通貨間の金利差に相当するお金を受けとることができるのです。

この金利差のことを「スワップ金利」と言い、その金利差によって得ることができるお金のことを、スワップポイントと言います。

スワップポイントは、「金利差×保有している金額×その通貨の保有日数」によって計算します。

たとえば、金利0.1%の日本円30万円を売って、金利6%のニュージーランドドルを購入するとします。すると、金利差は5.9%です。そして、30万円に対する1日分の金利差による利息は、約48.49円です。1ヶ月間ニュージーランドドルを保有し続けていれば、48.49×30日分=1454円、1年間保有していれば、17700円程度の利益を得ることができます。

スワップポイントは、特に取引をしなくても、単に通貨を保有しているだけで得ることができる利益です。

(4) FXと株式投資の違い

次に、FXと株式投資の違いをご説明します。

①投資対象の違い

まずは、投資対象が全く異なります。
FXの場合には、「通貨」そのものに投資をします。投資対象の通貨が上がれば、利益を得ることができます。したがって、FXは為替によって儲ける方法と言えます。

これに対し、株式投資は、会社が発行している株式に投資するものです。そのため、投資対象の会社の価値や評価が上がると、株式の評価額が上がって儲けることができます。

②レバレッジ(倍率)の違い

次に大きな違いは、レバレッジの違いです。
FXの場合「証拠金取引」と名がついているとおり、レバレッジを非常に高く設定することができ、最大25倍となっています。

これに対し、株式投資の場合には、最大でも3倍です。
そこで、株式の場合には、FXほど極端に「少ない元手で儲ける」ことはできません。

③金利と配当の違い

また、株式には「金利」が発生しないので、金利差で儲ける「スワップポイント」のような制度はありません。

ただし、株式の場合、企業の決算期に受けられる「配当金」があります。FXの場合には、配当を受けることはできません。

(5) FXの危険性

ここまで、FXの基本的な知識を紹介してきましたが、FXには、大きな危険があります。
それは、「利益が大きくなる分、損失も大きくなる可能性がある」ことです。

①レバレッジ取引により損失が拡大する

FXは、証拠金を差し入れると、最大25倍までの金額の取引が可能となります。

そこで、いったん為替相場を読み間違えて、購入した通貨が下がってしまった場合には、大きな損失が発生します。しかも、もともと証拠金によって大きな金額の投資をしていた場合、元手よりも大きな損失が出てしまうおそれもあります。

たとえば、30万円を証拠金として差し入れて、300万円分の米ドルを購入したとします。このときのレートは1ドル100円でした。したがって、購入できた米ドルは、3万ドルになります。
その後、ドルが下がり、1ドル80円になってしまいました。すると、3万ドルの評価額は、240万円となります。

このとき、もともとの購入金額が300万円でしたので、300万円-240万円=60万円分の損失が出ています。
実際には、30万円しか口座に預け入れていないのですから、30万円分、マイナスになってしまっています。

このようなことは、レバレッジをきかせていなければあり得ないことです。
証拠金取引でレバレッジをきかせ過ぎると、思ってもいなかったような損失が発生してしまうおそれがあるので、注意が必要です。

②スワップポイントでもマイナスが発生する

先ほど、FXではスワップポイントによって儲ける仕組みがあると説明しました。
しかし、ここにも注意点があります。それは、スワップポイントは、マイナスの方向にもはたらくということです。

すなわち、金利の高い通貨を売って金利の安い通貨を買うと、その通貨を保有している日数分の金利差が、マイナスされていくのです。

たとえば、金利6%のニュージーランドドルを売って、金利0.1%の日本円を30万円分購入したとします。すると、日本円を保有している日数分、金利差5.9%のマイナスが発生し続けます。

以上のようなことから、FXは、ハイリスクハイリターンの金融商品と言えます。投資をするときには、そのリスクについても、深く理解しておく必要があります。

2.FXでは本来「借金をしない」?

FXでは本来「借金をしない」?

FXは、上記のようにリスクの高い取引ですから、投資をしている中で、当然借金をしてしまうこともあるだろう、と考えるかもしれません。

しかし、一般的に、FX取引においてマイナスになることは少なく、借金のリスクは小さいと言われています。
以下で、その理由をご説明します。

(1) ロスカットルール

FXでマイナスが発生しにくい理由の1つ目が、強制ロスカットルールです。強制ロスカットルールとは、いわゆる「損切り」のことです。

FX取引を行っているとき、損失が口座内の証拠金の金額を超えることがないように、強制的に損切りの決済が行われます。
あらかじめ、証拠金維持率(最低限維持すべき証拠金の割合)を決めておき、含み損がその金額を下回ると、システムが自動的に利益や損失を確定させてしまうのです。

このことにより、証拠金がマイナスになる可能性がなくなります。

ほとんどのFX業者において、この強制ロスカットルールが適用されているので、通常の取引をしていれば、投資した元本を超える損失(マイナス)が発生することはありません。

(2) 警告(マージンコール)

また、FX取引をしていて、強制ロスカットが起こりそうな状況になってくると、FX業者から利用者に向けて「マージンコール」という警告が行われます。

マージンコールを受けるということは、「損失が拡大していて、もうすぐ強制ロスカットになりますよ」ということです。

そこで、警告を受けた時点で、自ら潔く損切りをしてしまえば、それ以上の損失が発生することはありません。証拠金がマイナスになることもないのです。

3.実際にはFXで「借金をしてしまう」理由

FXには上記のような安全策があるにもかかわらず、実際には、FXが原因で借金をしてしまうケースが多々あります。

以下で、その理由をご説明します。

(1) 強制ロスカットが間に合わない

1つ目の借金の理由は、強制ロスカットが間に合わないことです。

確かに、通常の為替変動の場合、損失が膨らんで、含み損がロスカットラインを超えたときには、強制ロスカットが働いて、それ以上の損失は発生しません。

しかし、あまりに急激な為替変動が発生した場合などでは、システムによる自動決済が間に合わず、マイナスが出てしまうことがあります。

このように、強制ロスカットが間に合わないと、口座残高がマイナスになって、債務超過状態(=借金)につながることがあります。

(2)自分で借金して投資してしまう

2つ目に、自ら消費者金融などで借金をして投資に充ててしまうパターンがあります。実際、FXで借金をしてしまう理由としては、このパターンの方が多く、注意しなければなりません。

FXなどの投資をしていると、ついつい自分の運や判断力を過信して、多額のお金をつぎこみたくなるものです。
そんなとき、手元に資金がなかったら、「借金してでも、投資に充てよう」と思います。そのときには、大きく儲かると思い込んでいるので、「借りた分は、儲けたお金で返したらよい」、と考えるのです。

しかし、実際にはそううまく儲かるものではないので、借金返済が難しくなります。損失が出たら、借金だけが残ってしまいます。

(3) 損切りできずに借金で追加投資してしまう

また、相場を読み違えて損失が出たときにも、注意が必要です。

人間は、投資をしているとき、損失が出ると「さらに投資することで、取り戻したい」と考えることが多いためです。

たとえば、ある通貨を購入して、価値が下落してしまったとします。すると、「今、この通貨が安くなっているので、買い増したら利益を得られるかもしれない」と考えて、さらに投資をしてしまいます。

ところが、思ったようにその通貨が上がらなければ、結局は損失が膨らむだけです。

また、人間は、自分の判断力だけではなかなか損切りができません。
取引を進める中で、相当損失が膨らんできて、客観的には、損切りをした方がよい状況であっても「まだいける」「もう少し粘れば取り戻せる」などと考えて追加投資を行い、さらに損失を膨らませてしまうのです。

こういった場合の追加投資の原資は消費者金融などで借りた借金でまかなうので、結局は借金だけが残ってしまいます。

つまり、FXでは、強制ロスカットルールがあるために、FX取引だけではマイナスにならないようにできているのですが、利用者が投資資金のために、自ら借金してしまうので、結局は借金が大きくなってしまうのです。

「自分は大丈夫」と思っている人ほど、はまってしまうと恐ろしいものです。
投資をするときには、決して借金しないこと、余裕資金の中で行うことが、重要です。

4.FXの借金と免責不許可事由について

さて、FXをするときに消費者金融などを利用して、借金の返済ができなくなってしまったら、自己破産によって解決することが考えられます。

自己破産をすると、どんなに多額の借金であっても、基本的に支払額を0(ゼロ)にしてもらうことができるので、借金問題の解決方法としては、非常に有効です。

ただ、FX取引を原因として自己破産をするときには「免責不許可事由」が問題となります。

免責不許可事由とは、その事情があると、裁判所が「免責」をしてくれなくなる事情のことです。

自己破産をするとき、破産をしても、免責してもらえないと、借金はなくなりません。
「破産」は、単に債務者の財産と債務を清算するだけのことであり、「免責」によって、初めて借金支払い義務がなくなるからです。

ところが、破産法は、いくつかの「免責不許可事由」を定めています。その中に、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」(破産法252条1項4号)があります。

「射幸行為」とは、その人の経済的な状況に照らして、不相当なお金の使い方のことを意味します。ギャンブル性の高い支出は、典型的な射幸行為となります。
たとえば、株式取引や先物取引、FXも射幸行為に該当するのです。

そこで、FXに投資をするために消費者金融で借入をした場合、「射幸行為による借金」と評価されて、免責が認められなくなるおそれがあります。

5.免責不許可事由でも自己破産できる

それでは、FX取引によって借金ができてしまった場合、「免責不許可事由」に該当するために、一切免責を受けることはできないのでしょうか?
実際には、そのようなことはありません。

(1) 裁判所による裁量免責

破産法は、「裁量免責」という制度を認めています。

裁量免責とは、たとえ免責不許可事由があっても、その事案全体を評価して、裁判所が裁量によって免責を認めることです。

なお多少の免責不許可事由があっても、実際には裁量免責を受けられる可能性が非常に高いです。

国の調査によると、2011年における自己破産申立件数のうち、免責を受けられている件数の割合は97%以上となっています。免責不許可となっているのは、わずか0.16%です。

このように、免責を受けている人の中には、当然パチンコやパチスロなどのギャンブル、株式投資やFXなどで損失を出した人も、多数含まれています。

免責不許可事由に関する判断は、2回目以降の自己破産の場合、特に厳しくなります。したがって、上記の0.16%の免責不許可になっているケースは、ほとんどが2回目以降に自己破産した場合であると推測できます。

結果として、1回目に自己破産をする場合、ほとんどのケースで免責を受けられると言っても過言ではありません。

(2) FXの借金でも免責を受けられる

以上のようなことから、FXの損失穴埋めのために借金してしまったとしても、自己破産を諦める必要はないと言えます。

実際、泉総合法律事務所においても、FXによる損失などの免責不許可事由がありながら、裁量免責によって無事に免責を受け、借金を0(ゼロ)にできた方がたくさんいらっしゃいます。

6.自己破産以外の選択肢

どうしても免責不許可事由が心配な方には、自己破産以外の選択肢もあり得ます。

たとえば、個人再生や任意整理であれば、借金した原因は全く問題になりません。

消費者金融などで200~300万円程度までの借金がある状態であれば、任意整理でも十分に解決できる可能性がありますし、500万円以上の多額の借金をしたケースであっても、個人再生をしたら債務を大幅に圧縮できるので、借金をきちんと整理することができます。

また、任意整理や個人再生をすると、財産を失うこともないので、家や車、預貯金や生命保険などを維持したまま借金を整理できることも、大きなメリットと言えます。

以上のように、FXで借金をしてしまった場合でも、債務整理によって解決する方法はあります。自己破産で裁量免責を受けることも可能ですし、他の方法を選択することもできます。

ご自身ではどの方法が適切か判断できない場合、弁護士が最適な方法をアドバイスいたします。FXで借金ができてお困りの場合には、お早めに弁護士までご相談下さい。

7.免責不許可事由が心配な方も泉総合へご相談ください

泉総合法律事務所は、債務整理手続の経験豊富な弁護士が多く在籍しており、首都圏を中心に多数の支店を展開しております。

借金問題で悩んでいるという方は、更に借金を積み上げてしまう前に、お早めに当事務所の弁護士へご相談ください。

泉総合法律事務所では、債務整理の相談は何度でも無料ですので、お一人で悩まずに、まずはご相談ください。当事務所の弁護士が全力で借金解決のサポートをさせていただきます。

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