自己破産 [公開日] [更新日]

自己破産における復権とは?|自己破産するときに知っておくべきこと

自己破産における復権とは?|自己破産するときに知っておくべきこと

自己破産という言葉は聞いたことがあっても、復権という言葉はあまり馴染みがないかもしれません。

実は、自己破産する際に一定期間制限される権利があり、復権によりその権利が回復します。

今回は、自己破産における復権について解説します。

1. 自己破産における復権とは

自己破産における復権とは、自己破産することで生じる制限が法律上解除され、元の状態に戻ることを意味します。

一般的に、自己破産をすると一生「破産者」の烙印を押されるのでは?と不安になりますが、破産手続きが終わって借金の免責が確定すれば、実は破産者ではなくなるのです。

自己破産で生じる制約は様々あり、破産手続きが終わると同時に終了するものもあれば、そうでないものもあります

制約が自然消滅するものについては、期間が過ぎれば制約はなくなりますが、そうでないものについては、法律上の制限から解放される必要があります。

自己破産における復権は、破産者の法的地位を復活させるための制度で、ほとんどは特別な手続きをすることなく復権することが可能です。

しかし、中には復権の手続きが必要な場合もあります。

2.復権の方法

復権には「当然復権」と「申し立てによる復権」の2つがあります。それぞれの内容について解説します。

(1) 当然復権

当然復権とは、何もせず、その事由が発生した場合に自然に復権する事を指します。

当然復権の場合は、復権に際して特別に何かする必要はありません。

①当然復権するタイミング

当然復権するタイミングは以下の4つです。

  1. 免責許可決定の確定時
  2. 破産手続同意廃止決定確定時
  3. 再生計画認可決定確定時
  4. 破産手続開始決定後、詐欺破産罪により有罪判決を受けることなく10年経過後

②免責許可が下りなかった場合

自己破産の免責許可が下りなかった場合は、個人再生に切り替えるか、何もしない、の2つに分かれます。

個人再生

※再生計画認可決定確定時も当然復権する

自己破産には免責不許可事由があり、これに該当すると原則自己破産が認められません。

しかし、免責不許可事由があっても、大半のケースで裁判所による裁量免責が適用されるので、ほとんどの人は最終的に自己破産することができます。

実際に、統計上も自己破産申立者のうち97%が免責許可を受けているので、最終的に自己破産できない人は100人のうち3人ほどです。

しかし、中には裁量免責を認められない人もおり、その場合は個人再生に切り替えて申し立てを行います。個人再生では借金の全額免責はないので、減額を目指すことになります。

個人再生も裁判所に申立を行いますが、個人再生には免責不許可事由はないので、自己破産に失敗をした人でも条件を満たしていれば再生計画は認められます。

再生計画認可決定時に当然復権するのはこのケースで、再生計画認可決定時に当然復権となります。このときも特に何か手続きをする必要はありません。

何もしない

※詐欺破産罪に問われなければ10年で復権可能

自己破産に失敗して、個人再生の手続きにも移行できない場合は、何もしないでおくという方法もあります。

自己破産に失敗してそのまま何もしなければ、場合によっては督促が続き、利息も増え続けるので、放置は決して望ましいことではありません。

しかし、実際のところ債権者には免責許可が下りたかどうか直接通知はいきませんので、同時廃止の場合には、業者によっては申立をされた段階で貸し倒れ処理していることもあります。

その場合は督促が再開されることはないので、自己破産失敗後に何もしなくても請求がこなくなることもあります。

業者によってこの辺りの対応は変わるので、詳しくは弁護士に相談することをおすすめしますが、請求がきてもこなくても、自己破産に失敗してその後「何もしない」場合は、詐欺破産罪に問われなければ10年で復権可能です。

詐欺破産罪とは不正な財産の処分、返すつもりのない借金をした場合などに適用される法律で、該当する場合は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が課されます。また、その両方の刑事罰を受けるケースもあるので注意が必要です。

つまり、破産申立前後で財産隠しなどの悪いことをしなければ、申立から10年経過すれば何もしなくても当然復権するということです。

(2) 申し立てによる復権

自己破産後の復権には「申し立てによる復権」もあります。

申し立てによる復権は、当然復権するのを待たずに裁判所に「復権してください」と申し出て復権を果たすことです。

当然復権するのに時間がかかるのは、自己破産が認められなかったあと、何もしないで10年経過を待つケースです。

この場合、当然復権するまでの間に以下のことが起これば、10年を待たずに申し立てによる復権も可能です。

  • 破産者が借金の完済をする
  • 借金の消滅時効が完成する
  • 相続により借金を返せるようになった
  • 債権者が債務免除して返済義務がなくなった場合

こうしたケースでは破産者が裁判所に申し立てることで破産者でなくなり、復権の決定をもらうことができます。

3.復権の効果

※復権すると資格・職業など制限が解除される。

(1) 自己破産による制限

まず、自己破産をすると受ける様々な制限には、どのようなものがあるのでしょうか?

①財産管理処分権の喪失

管財事件の際に受ける制限で、20万円以上の財産を持っている場合、財産処分権は破産管財人にうつるので、自ら財産を処分する権限は失われます。

②説明義務

破産者は、破産管財人や債権者が求めに応じて、破産に関する説明をする義務を負います。説明義務を怠った場合、破産は認められません。

③居住の制限

管財事件の場合は、破産者の逃亡や財産隠しを防ぐために、免責許可決定まで住所変更することができません。

また、長期旅行などする場合は裁判所の許可が必要です。

④引致・監守

管財事件の場合は、財産隠しや逃亡を防ぐために必要に応じて身柄が拘束されることもあり、また監視下に置かれることもあります。

⑤通信の秘密の制限

管財事件に限り、破産者に充てられた郵便物は破産管財人が開封します。免責決定まで通信の秘密は制限されるので、プライバシーは保たれなくなります。

ただし、開封されるのは本人の郵便物のみで、家族の郵便物まで開けられることはありません。

⑥公法上の資格制限

※復権を得ることで資格制限がなくなる

自己破産の申立をすると公法上の資格制限を受けます。

公法上の資格制限を受けるのは、弁護士、弁理士、公認会計士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、宅地建物取引業者、警備員、生命保険の募集人などの職業です。

こうした職業は復権を得ない場合はその仕事に就くことはできません。

公法上の資格制限はあくまで資格に関する制限で、選挙権、被選挙権などが失われる訳ではありません。また、公務員の方はこれまで通り勤務することは可能です。

また、国家資格保持者でも医師や歯科医師、看護師など医療従事者などは影響ありません。

⑦私法上の資格制限

私法上の資格制限は、破産者は後見人、後見監督人、保佐人、補助人、遺言執行者などになれないことを意味します。これは、経済的破綻者に人の財産をゆだねることは適当ではないとされるためです。

私法上の資格制限も復権によって解除されます。

⑧官報への掲載

自己破産をすると官報に住所、氏名が掲載されます。官報は誰でも無料でインターネットから見られるので(無料閲覧は30日間、以後は有料)、そこから破産したことがバレるかもしれません。これも自己破産で受ける制約の1つです。

しかし、官報の情報はPDFデータで掲載されるので、氏名や住所を入力しても官報の情報が検索結果に出てくることはありません。

官報の情報はずっと残るので、復権と同時に消えるものではありませんが、官報には毎日膨大な情報量が掲載されるので、実際にそこから破産情報がバレることはほぼありません。

(2) 復権後にできること

復権後にできることは、資格制限を受けていた仕事ができるようになることです。

士業、警備員、生命保険の募集人などの仕事は、自己破産中は従事することはできませんが、復権すれば元通りに仕事をすることは可能です。

ただし、復権するまでには3~6ヶ月程度の時間を要するので、その間、休業をすると顧客がはなれてしまう可能性があります。

そのため、資格制限を受ける職業の人が自己破産をする場合は、予めその間の仕事についてどうするのかを決めておく必要があるでしょう。顧客離れについても対策をしておかなければなりません。

また急に一時的にせよ事務所を閉めると、そこから自己破産したことが噂になる可能性もあります。

職業柄自己破産をしたことが外部に分かってしまうことを避けたいという場合は、資格制限のない個人再生や任意整理を検討するなど、別の方法で解決をすることをおすすめします。

(3) 復権後もできないこと

復権をしても一定期間はローン、クレジットカードの利用はできません。

自己破産後は、5~10年は信用情報機関に金融自己情報が登録(ブラックリスト入り)されるので、新たな借入は一切できないことになっています。

復権というと、自己破産で生じるデメリットが全て消滅するような感じもしますが、復権と借入の可否は全く関係のない話なので、自己破産後はお金は借りられないという前提で生活をする必要があるでしょう。

4.自己破産のお悩みは泉総合法律事務所へ

自己破産をすると実際にどのような制限があるのかなどの不安や疑問がある方は、一度弁護士に相談してみてください。

泉総合法事務所にご相談いただければ、自己破産を始め、借金問題に詳しい弁護士が責任もってサポートさせていただきます。

債務整理のご相談は何度でも無料です。どうぞ安心して専門家にご相談ください。

債務整理コラム一覧に戻る