自己破産 [公開日]2017年8月29日[更新日]2020年6月30日

自己破産の同時廃止手続が可能な手持現金の上限はいくら?

借金が膨らんで返せない状態になったとき、裁判所での手続を通じて借金をゼロにする債務整理手段が「自己破産」です。

この自己破産には「管財事件」と「同時廃止事件」という二つの手続きの方法があります。これは債務者の事情を鑑みて、裁判所が決定します。

管財事件では「破産管財人」への報酬支払いの必要があり、また、債務者の財産の換価・配当手続きが必要になったり、免責不許可事由についての調査が必要になったりするため、同時廃止よりも手続きが煩雑で時間もかかります。

よって、債務者としては、できる限り同時廃止により借金問題を解決したいところです。

今回は、自己破産を同時廃止事件により行うことができる条件と、同時廃止事件の流れ・期間・費用などについて解説します。

1.「管財事件」と「同時廃止事件」とは?

繰り返しになりますが、自己破産には、「管財事件」と「同時廃止」という2種類の手続があります。

端的に言うと、管財事件は手続きが複雑でお金も時間もかかりますが、同時廃止は比較的単純な手続きで、時間もお金も管財事件ほどかかりません

ただ、「私は同時廃止でお願いします」と裁判所に言えるわけではありません。自身の保有する財産の価値や借金を重ねた理由によって、裁判所の判断でどちらになるかが決まるのです。

(1) 管財事件

まずは、管財事件となるケースを説明します。
(逆に言えば、管財事件となる条件を満たさなければ同時廃止事件として処理されます。)

まず、一定以上の財産があると、「管財事件」になります。

自己破産は借金を全額免除する代わりに、債務者の目ぼしい財産を処分・換価し、債権者に配当します。
この配当に値する財産(高価な車やマイホーム、33万円を超える現金など)があれば、管財事件となるでしょう。

[参考記事]

自己破産で処分される財産と残せる財産

また、借金を重ねた理由によっても管財事件となります。

  • カード現金化(クレジットカードの枠を現金化すること))
  • 換金行為(カード払いで購入したものを売却するなど
  • 賭博(パチンコ、競馬、競艇などのギャンブル)
  • 浪費(不必要なものや高価なものを大量に購入するなど)
  • 射幸行為(株取引など)

上記のような事情は「免責不許可事由」に当たり、詳しく調査をする必要が出てくるのです。
免責不許可事由に該当すると、最悪の場合、免責(借金を0にすること)が裁判所から許可されないおそれもあります。

ただ、必要に応じて反省文を提出し、裁判所に対して誠実に対応するなどの真摯な姿勢を見せれば、よほど悪質でない限り「裁量免責」として免責を得られる可能性は十分にあります。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

管財事件になると、破産手続開始決定後に裁判所が「破産管財人」を任命します。

破産管財人は債務者の財産を管理したり、免責不許可事由の調査を行ったりするのですが、この破産管財人の報酬は債務者負担となるため、費用も余計にかかってしまうのです。

(2) 同時廃止

裁判所が定める基準以下の財産しか保有しておらず、免責不許可事由もない場合、破産管財人が行う業務もないため、簡易的な同時廃止となります。

自己破産を行う方は、目立った財産を所有していない方も多いでしょう。
マイホームやマイカーを持っておらず、33万円以下の現金・20万円以下の預貯金しか財産がないという場合には、同時廃止が選択される可能性が高いです。

実際、全国で申し立てられている自己破産は、同時廃止が多くの割合を占めています。

【2回目の自己破産は同時廃止が難しい】
法律的には、前回の免責確定から7年を経過していれば2回でも3回でも破産の申立は可能です。しかし、7年以内であれば免責不許可事由とされており、7年を経過していたとしても2回目の申し立ての際は、借金の理由に厳しい目が向けられます。
一度自己破産しているのにもかかわらず、再度借金を重ねて自己破産しようとしているので、「今回免責を許可してしまうと、3回目もあるのでは?」と思われてしまうのです。
そのため、財産をほとんど持っていなくても、「免責調査」のために管財事件になる可能性は高いでしょう。

2.同時廃止手続きの流れ

自己破産は厳密にいうと「破産手続」と「免責手続」の二つの手続きを経て終了します。

破産手続は「破産者の財産を換価して債権者に配当する」手続で、免責手続は「裁判所から免責の許可を得る」ための手続です。

(1) 破産手続開始決定・破産手続

先述の通り、同時廃止の場合は債権者に配当すべき破産者の財産はありません。

配当するほどの財産がなければ、破産手続開始決定と「同時」に破産手続を「廃止(終了)」する決定が出ます。これが「同時廃止」です。

つまり、同時廃止のとき、「破産手続」は実質行われません

一方の管財事件では、破産手続開始決定が出ると、選出された破産管財人が財産を換金して債権者への配当を行います。

(2) 免責手続(免責審尋、免責許可)

同時廃止ならば自己破産申立から2~3ヶ月後に、裁判所が「免責許可決定」を出します(裁判所によってはそれに先だって「免責審尋」と呼ばれる申立人と裁判官との面接を行う場合もあります)。

免責許可決定の日付から7日後、その免責許可は確定します。
免責許可が確定すれば、債務者の借金は晴れて0になるのです。

管財事件の場合は、免責許可決定の前に「免責不許可事由」に関する調査を行う必要があるため、ここでも同時廃止より多く時間がかかることになります。

同時廃止の期間ですが、弁護士の着手から早ければ3~4ヶ月ほどで免責を得られるでしょう。

申立準備(書類収集・作成)に1ヶ月ほど、申立から2~3ヶ月で免責審尋、その後1週間で確定という流れです。

3.同時廃止のために必要な費用

同時廃止は比較的簡易な手続ですが、当然、行うには費用が必要です。

裁判所への予納金:10,000円~13,000円(裁判所によって異なる)
予納郵券代:数千円(債権者の数・裁判所によって異なる)
弁護士費用:20〜30万円

裁判所への予納金や予納郵券代は、管財事件の場合も変わりません。
しかし、管財事件の場合は、これまで述べた通り破産管財人の費用が別途かかり、これは最低でも20万円ほどです。

[参考記事]

自己破産の予納金とは?|自己破産にかかる費用

また、管財事件は複雑な手続きで、裁判所へ赴く機会も増えるため、弁護士費用の相場も30〜50万円に上がります。

当泉総合法律事務所の弁護士費用は、同時廃止は23万円、管財事件は32万円となっております(税別・事務手数料別途3万円)。

[参考記事]

自己破産の弁護士費用|目安はいくら?安く抑える方法は?

4.自己破産は弁護士へ相談を

自己破産を申し立てるには、多くの書類の準備が必要です。管財事件でも同時廃止でもそれは変わりません。

自己破産を検討しているなら、できるだけ早めに弁護士に相談し、サポートを受けることをお勧めします。

「自分の場合は同時廃止になるかどうか」という判断も、弁護士にお任せください。

弁護士は申立書類の準備のみならず、その都度最良な判断をすることができます。
もしかしたら、自己破産以外の債務整理方法でも借金問題の解決が可能かもしれません。

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