自己破産の同時廃止手続における現金の上限について

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自己破産の同時廃止手続における現金の上限について

原則、破産手続は、裁判所が選任する管財人弁護士を就けて行うものとされていますが、

  • 浪費などの免責不許可事由がない場合
  • 管財人弁護士へ支払う費用20万円が用意できない場合
  • その他20万円以上の換価見込みがある資産がない場合

などは、例外的に「同時廃止」という手続で破産手続をとることができます。

これまでは、破産手続をとる人の手持現金が20万円を超えていた場合、管財人弁護士へ支払う20万円が用意できるとされ、同時廃止手続をとることはできませんでした。しかし、平成29年以降、各裁判所において現金の上限金額が変更されたことで、20万円以上の手持現金がある場合でも同時廃止手続を選択できるケースが増えてきました。

以下、各裁判所の定める手持現金の上限を見てみましょう。

1.各裁判所における同時廃止手続が可能な手持現金の上限

(1)さいたま地方裁判所(支部含む)の場合

これまでの同時廃止手続における手持現金の上限は20万円とされていましたが、平成29年3月から50万円に変更されました。
たとえば、免責不許可事由がなく、現金49万円以外めぼしい財産がない場合、同時廃止手続で破産手続をとることができます。

(2)東京地方裁判所(支部含む)の場合

これまでの同時廃止手続における手持現金の上限は20万円とされていましたが、平成29年4月から33万円に変更されました。

33万円と聞いて中途半端な金額と感じるかもしれませんが、実はこの金額にはきちんとした根拠があります。民事執行法という法律では、一般的な家庭における1ヶ月分の最低生活費を33万円と定めており、これを根拠に「破産手続をとる人であっても1ヶ月分の最低生活費は確保してあげよう」という趣旨でこのような金額設定にしたと言われています。

ちなみに、管財事件の場合、手持現金の上限が99万円ですが、これは「3ヶ月分の最低生活費は確保してあげよう」という趣旨によるものであると考えられます。

(3)横浜地方裁判所(支部含む)の場合

これまでの同時廃止手続における手持現金の上限は20万円とされていましたが、平成29年8月からは東京地方裁判所と同様、33万円に変更されました。

(4)千葉地方裁判所(支部含む)の場合

これまでの同時廃止手続における手持現金の上限は20万円とされていましたが、平成29年11月からは東京地方裁判所と同様、33万円に変更される予定です。

(5)その他の資産基準

各裁判所における資産基準において、上限が変更になったのは現金のみになります。その他の資産は、各裁判所の運用で異なる点もありますが、概ね20万円を超えるか超えないかが基準になります。

2.管財事件で契約したが、同時廃止での申立が可能なケース

弁護士に依頼当初は管財事件で契約しても、その後資産状況などに変化があり、同時廃止手続での申立が可能になるケースがあります。
どのようなケースかというと、所有不動産があったため管財事件で受任したが、申立準備中に所有不動産の売却が終了したことで資産が無くなり、最終的には同時廃止手続での申立が可能になったような場合です。

通常、管財事件で受任した場合、依頼者の方には管財人弁護士へ支払う20万円の積立を励行していただき、申立時点で管財人弁護士へ支払う20万円の積立が完了していることが理想です。しかし、前記のような特殊なケースですと、この積立が完了した20万円がネックになります。
つまり、その積立分を含むと手持現金が20万円以上となるため、「管財人弁護士へ支払う費用の用意ができる」と判断され、せっかく同時廃止を選択することが可能だったにもかかわらず、管財事件での破産手続を余儀なくされるのです(ごく稀ですが、裁判官の裁量により、同時廃止で受理してくれることもありました)。これが、これまでの変更前の実情でした。

しかし、手持現金について「資産あり」とみなされる上限基準が33万円もしくは50万円以上と変更された現在においては、同様の事態が生じたとしても、特に問題視されることなく同時廃止の手続をとることができるようになりました。

3.借金問題、債務整理の相談は泉総合法律事務所へ

平成29年に入り、さいたま地方裁判所が現金の上限を変更したことを皮切りに、一都三県にある各裁判所が順次手持現金の上限を変更しました。
当事務所では、これまでに一都三県内の裁判所へ数多くの破産申立を行ってきたため、その実績や経験値が豊富にあります。借金問題でお困りの方、破産手続を検討されている方は、ぜひとも当事務所にご相談ください。ご相談は何度でも無料です。

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