自己破産 [公開日]2020年2月12日[更新日]2020年2月12日

破産後の新設会社は融資を受けることが出来るのか?

一度は法人破産や自己破産を経験したものの、その失敗を活かして再度起業したいという方もいることでしょう。

しかし、起業にあたって問題となるのが「お金」です。
法人破産や自己破産の後は、自分の財産がそれほど多くないというケースが大半です。

そういった場合、起業にあたり銀行などから融資を受けるという選択肢がありますが、自己破産している場合は、果たして融資を受けられるのでしょうか?
それとも、自己破産経験者は融資を受けられずに、100%自己資金で事業を始めなければならないのでしょうか?

ここでは「法人破産や自己破産後でも融資を受けて会社を新規に作ることができるのか?」について考えていきたいと思います。

1.破産後の起業について

結論から言うと、破産経験者が会社を設立することにも、取締役等に就任することにも、法律上の問題はありません。
例え破産手続中であっても、取締役等に就任することは可能です(会社役員の人が破産手続開始決定を受けた場合、その時点で、一旦は役員を退任する必要が生じますが、その後に、株主総会で、同じ人を改めて役員に選任することは法律上認められています)。

ただし、一部の業種では、代表者が破産手続中などの一定期間は、営業に必要な許認可を得られないことになっています。
例えば建設業、警備業、貸金業、旅行業などです。

そういった業種に関する会社を設立する場合には、各業法などを守らなければなりません。

[参考記事]

自己破産後に会社を設立したい…。できないこと、困ることなどは?

2.破産後の融資について

問題は、起業資金や運転資金の調達です。
これがなければ、再び破産・倒産という憂き目に遭いかねません。

本来なら、融資を受けて起業資金や運転資金を確保したいところですが、残念ながら、破産した人は5~10年程度の間、基本的に融資を受けられません

自己破産をすると、そのときの債権者が「信用情報機関」という組織に「この人が破産しました」という情報(事故情報)を伝えます。
信用情報機関にはそういった情報が蓄積されており、銀行や貸金業者などの間で情報共有が行なわれます。

融資を申し込んだ場合、申し込まれた側は信用情報機関に照会を行い、そこで自己破産の過去が判明した時点で「自己破産した人=返済能力に問題あり」と考えて、融資しないという判断に至ります(いわゆる審査落ちです)。

つまり、自己破産後は銀行や消費者金融からの借入・クレジットカードの作成などが原則的に出来なくなってしまうのです。

なお、自己破産以外の債務整理(個人再生や任意整理)の情報も、信用情報機関に登録されます。

[参考記事]

自己破産後でもキャッシング(借入)ができる?そのリスクと注意点

3.銀行以外からの融資は可能か

融資をしてくれるのは銀行だけではありません。
銀行がダメなら、他のところをあたることも考えられます。

おすすめは「公的融資」です。

(1) 再挑戦支援融資

日本政策金融公庫が行なっている融資です。

「過去に廃業歴がある人」を対象としており、まさに再挑戦をバックアップしてくれる融資といえます。これから開業する人や、開業して7年以内の人が利用出来ます。

融資して貰ったお金は新事業の設備資金や運転資金として使えるため、使い勝手も抜群です。

ただし、「過去の廃業の事情がやむを得ないものであること」「廃業時の負債が新事業に影響を与えない(整理済みか整理の見込みがある)」などの条件があります。
このため、借金を放置して夜逃げ同然で廃業した場合や、廃業の理由が違法行為などによるものだった場合は、この制度を利用出来ない可能性が高いです。

なお、貸して貰える金額は、自己資金の2~3倍程度までだと考えてください(上限額あり)。

担保や保証人については、基本的に、どちらか一方は必要になるようです(破産した際に手持ちの財産を殆ど処分してしまっているような場合は、保証人を入れるのが現実的な選択肢になるかと思われますが、誰かに保証人になることを依頼する際は、予め丁寧な事情説明をしておかないと、のちのち保証人との間でトラブルになる危険性もあるでしょう)

自己破産者が起業することを考えた場合、かなり現実的な制度と言えるので、窓口などで相談してみることをお勧めします。

[参考記事]

国金(日本政策金融公庫)への返済ができない場合の対処法とは?

(2) 信用保証協会付融資

これは、個人事業主や中小企業がお金を借りやすくなるように公的な保証機関が保証を行い、その保証に基づいて地方公共団体が融資を行なう制度です。

地域によって制度が大きく異なるため、お住まいの地域の信用保証協会に問い合わせるか、地域で起業支援などを行っている弁護士に相談するなどしてください。

[参考記事]

中小企業が信用保証協会に代位弁済をされた場合の対応

【全国労働金庫協会(ろうきん)は有効か?】
ろうきんは、営利を目的としない非営利の金融機関です。組合員などから出資を募って労働者を支援することが目的です。
「ろうきんなら助けてくれるかも?」と期待する人はいるかもしれませんし、過去にはろうきんが自己破産者向けの融資を検討する方針を固めたという情報もありました。
しかし、その後の情報は特に見当たらず、「ごく一部のろうきんのみが組合員向けに自己破産者向け融資を行っているに留まる」という話がある程度です。
ろうきんもまた、信用情報機関の情報を見ることが出来る組織なので、過度な期待はせずに「ダメ元」という気持ちでいた方がいいでしょう。

4.融資がない場合の対策

最後に、残念ながらどこからも融資をして貰えなかった場合の対応策についてです。

そういった場合は、地道に自己資金を貯めるのが王道の方法ですが、それ以外に方法はないのでしょうか?

(1) 代表者に他の人を据える

まず、債務整理の過去がなく、できれば自己資金のある人を代表者にして、自分は平の役員などに留まるという方法があります。

融資する側は通常、代表者のチェックはしますが、それ以外の役員にまではなかなかチェックの目が行き届きません。

例えば、親族などに表向きの代表を務めてもらって、自分は実質的な代表者として事業を進め、信用情報機関から情報が抹消される5~10年後に、正式に代表になるという計画も有り得るでしょう。

もっとも、当然ですが、この方法を取るには、代表になってくれる人との信頼関係が必要です(特に、会社で融資を受ける際には、代表者の個人保証を求められることが多く、その結果、代表になってくれる人に、保証債務という借金を背負わせることになることも考えれば、事前の丁寧な説明は必要不可欠でしょう)

(2) 個人から融資を受ける

親族や友人から融資を受けて事業を始めるという方法もあります。

この手段の怖いところは、失敗した場合に人間関係が崩れ去る可能性が高いことです。したがって、借りた後の資金繰りには十分注意をしましょう。

5.自己破産・法人破産は弁護士に相談を!

自己破産後であっても、会社を作ること自体に法的な問題はありません。
また、自己破産後の融資に関しては、再挑戦支援融資や自治体の制度融資を活用すればなんとかなる場合もあります。

ただし、しっかりと会社の債務を整理していないと、こういった融資は受けられないため、会社をたたむときにも弁護士に相談して、法人破産(倒産)をしておかなければなりません。

会社を作るときも、たたむときも、弁護士の力があると非常に心強いです。法人の破産・倒産でお悩みの方は、どうぞ泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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