自己破産 [公開日]2018年5月8日[更新日]2019年11月25日

賃貸保証会社の注意点!自己破産するとアパートは借りられないのか?

自己破産するとアパートは借りられないって本当?賃貸の注意点

自己破産すると、信用情報機関に載り(いわゆるブラックリスト入り)、以後5~10年間クレジットカードを作れなくなったり、財産の処分の一環でマイホームを手放さなければいけなくなったりします。

では、賃貸契約はどうなるのでしょうか?
自己破産する方は、よく「自己破産すると、アパートやマンションなどの借家は借りられないのですよね?」と弁護士に尋ねます。

しかし、必ずしもそうではありません。正しい手順を踏めば、自己破産しても部屋を借りることはできます。
つまり、自己破産後も問題なくアパート契約を結べるのです。

ここでは、自己破産手続が与える賃貸への影響と注意点、賃貸保証会社との関係性、自己破産者でも賃貸保証会社と契約する方法などについて解説します。

1.アパート契約と自己破産の関係

(1) 自己破産は退去の理由にならない

借主が自己破産をしても、アパート・マンションなどの賃貸物件から出ていく必要はありません。

以前は、民法第621条で、借主が破産宣告を受けると(自己破産したら)貸主は賃貸契約期間中でも解約できました。
しかし、住宅は生活に必要な基盤であることから、平成16年改正でこの規定は削除され、家賃をきちんと払っている限り借主が出ていく必要はなくなりました。

よって、自己破産をしたということをもって今の物件から退去させられるという事はありません

(2) 家賃を滞納している場合

家賃の滞納が続くと、債務不履行により賃貸契約を解除される可能性があります。
また、家賃の支払いを延滞したまま自己破産すると、今まで支払っていなかった家賃も支払い免除されてしまうので、当然貸主(賃貸人・家主)は賃貸契約を解除して、賃貸住宅の明け渡しを求めてきます

もし出ていきたくない場合は、少額の延滞の場合は支払える範囲で分割で支払うなどして、自己破産の申立前に延滞を解消するのがいいでしょう。そうすれば、貸主が賃貸契約を解除する理由がなくなります。

しかし、この行為は偏頗弁済(へんぱべんさい)になる恐れがあります。偏頗弁済とは、一部の債権者だけを特別扱いして借金を返してしまう事で、自己破産における免責不許可事由となります。

生活に必要な家賃の場合、少額であれば問題行為とされないことがほとんどですが、一応弁護士に相談してから家賃の滞納を解消に動くほうが良いでしょう。

もし支払えないほど家賃を滞納してしまっている場合は、滞納分の家賃は支払わずに、自己破産の手続に含め、別の住宅に引っ越す事を考える必要もあります。
この場合も、一度弁護士にご相談ください。

[参考記事]

個人再生で問題となる偏頗弁済とは?債権者平等の原則の基本

2.自己破産後の新規契約に必要な審査

自己破産しても借りられるアパートはあります。
しかし、自己破産の事実が、アパートを借りる際の審査に影響を及ぼすことがあります。

(1) オーナー(大家)による審査

アパートを借りるには、まず、オーナー(大家)による入居審査が必要です。

オーナーによる審査では、自己破産をしているような人でも、現状一定の収入があり家賃を支払うことができそうだと判断してもらえれば、ほとんどの場合で審査に通るようです(もちろん、審査はオーナー個人の裁量なので、例外もあります)。

なお、わざわざオーナーに正直に自己破産した事を言う必要はないので、黙っていても大丈夫です。

(2) 賃貸保証会社による審査

最近は、保証人、連帯保証人を必要とする物件でなく、賃貸保証会社の利用を義務づける物件が多くなっています。
そうすると、賃貸保証会社の審査も受ける必要があります。

自己破産してしまうと、この賃貸保証会社の審査が通らなくなる可能性があります。

① 賃貸保証会社とは

賃貸保証会社とは、賃貸住宅の契約時に必要になる賃借人の保証人を代行してくれる会社のことです。

賃借人の委託によって、家賃支払いに関わる債務を保証することを会社の業務として行っています。利用者は、家賃保証会社に対し、保証料を支払うことで、保証サービスを受けることができます。

昔は、両親や兄弟、親戚などが保証人になることが多かったのですが、最近では家族関係が希薄になり、保証人になってくれる人を見つけることが難しく、このように代替する会社が現れるようになってきました。

実際、国土交通省の平成28年の資料によると、賃貸借契約の約97%が家賃などに対する保証をしなければならず、そのうちの約6割のケースで保証会社が利用されているという統計も出ています。

②保証会社には2種類ある

賃貸保証会社は、大きく分けると、信販系の賃貸保証会社とその他の民間系の保証会社の2種類があります。

信販系の賃貸保証会社は、審査がとても厳しいと言われています。それは、信用情報機関から情報を得て(クレジットーカード情報など)を参照して、それを入居審査に採用しているためと言われています。

自己破産に限らず、借金問題について任意整理や個人再生などの債務整理手続きをとったり、借金の返済を長期にわたって滞納したりした場合、信用情報機関という所に個人の事故情報が登録されてしまいます。
いわゆる「ブラックリストに載る」のいうものです。

自己破産をするとこのブラックリストに載ってしまうので、信販系の賃貸保証会社の審査には原則として通りません

したがって、自己破産してしまうと、オリエントコーポレーション、アプラス、ジャックスなどの信販会社が保証会社に設定されている賃貸物件を借りることは原則としてできないのです。

[参考記事]

信用情報機関の違い(CIC・JICC・JBA)とブラックリストに掲載される影響

3.自己破産後にアパート契約を結ぶ際の注意点

(1) 民間系保証会社の物件を探す

上記の通り、自己破産すると信用情報機関に事故情報が登録されてしまい、信販系の賃貸保証会社はその情報をみて審査を通すか否かを判断します。
つまり、自己破産後、信販系の賃貸保証会社の審査にはまず通りません。

狙うなら、民間系の賃貸保証会社を選んでいる物件です。
民間系の保証会社は、信用情報機関に加盟していないので、あなたの自己破産情報について知る可能性は低いでしょう。

具体的には、日本セーフティー、全保連、賃貸保証サービス、アルファー、カーサ、フォーシーズ、リクルートなどがあります。これ以外にもあるため、物件探しの際に保証会社の名前を必ず聞いて、調べるようにしてください。

(2) ブラックリストは5~10年で削除される

「ブラックリスト」は、登録される信用情報機関にもよりますが、5~10年の間情報を保存しています。逆に言うと、5~10年のその期間を過ぎてしまえば、自己破産した情報は消えます。

他に何か審査にひっかかる要因がなければ、5~10年で信販系の保証会社の審査にも通るようになるでしょう。

過去に自己破産したことがある方で、自分の情報が削除されているかは、信用情報の開示手続にて自分で確認することができるので、以下のページを参考に確認してみてください。

[参考記事]

「信用情報」の基礎知識~自分の信用情報を調べる方法とその手順

4.まとめ

このように、自己破産をした場合でも、民間系保証会社の審査なら通る可能性があります。
物件を探す際は、不動産業者に賃貸保証会社について詳しく聞くと良いでしょう。

また、物件のオーナーなどには自己破産した事実を言う必要はありませんが、不動産会社にはそれを打ち明け、相談してみるのも一つの手だと思います。

物件にどの保証会社がついているかは、実際に物件の情報を確認してからでないと分かりません。いざ契約しようとしたら、信販系保証会社が賃貸保証会社として指定されていて審査に落ちてしまった、ということも十分ありえます。

自己破産後に部屋を借りる際は、不動産会社に賃貸保証会社について詳しく確認することが大切です。きっと、親身になって相談にのってくれるはずです。

5.自己破産の相談は弁護士へ

タイトルにある通り、「自己破産すると賃貸は借りられない?」のように、自己破産における誤解は非常に多いです。
また、アパートに住み続けようとして自己破産の直前に滞納していた家賃を払ってしまった場合、偏頗弁済になる可能性もあります。

自己破産を滞りなく行うためには、専門的な知識が必要不可欠です。また、自己破産に関する正しい知識を得るためにも、自己破産をお考えの際は、一度弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所は、自己破産をはじめとした債務整理の実績が豊富な弁護士事務所です。個々のケースに合わせて最適な借金問題解決方法をアドバイスいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。

「平成17年1月1日施行の破産法の根本的改正に伴い、民法621条は、合理性を有しないとして削除された」との認識でした(仰る通り、施行が平成17年かと思っておりました)。
とはいえ、平成16年の改正で第621条が削除されたとの記載も多くあり、混乱を招きそうなため、16年の修正でも問題ありません。

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