自己破産 [公開日]2018年6月26日[更新日]2021年9月10日

自己破産すると車のリース契約はどうなる?

カーリースでは、同車種を購入するよりも費用負担が少なくなる場合が多く、「常に新しい車を乗り継ぎたい」という方に向いている場合が多いです。
また、資金繰りや節税の観点から、カーリースで商用車を手配する個人事業主や企業も少なくありません。

リース契約終了時には、リース物品である自動車を「リース会社が換価する」ことが前提となるため、リース物品は「リース会社の所有」となります。

ここで問題となるのは、自己破産をすると、高額な資産を所有しているときには換価して債権者に配当しなければならない点です。

保有している自動車は自己破産により処分されてしまうケースが多いですが、カーリースを利用している人が自己破産したときの自動車はどのように扱われるのでしょうか。

1.自動車リース契約と自己破産の関係

早速ですが、自動車のリース契約中に自己破産したときに、「リースされた自動車がどうなるか」「残りのリース料金がどうなるか」ということについて解説します。

(1) リース物品(自動車)は返却する必要

ここでは、リース物品である「自動車の所有権がリース会社にあること」が大きなポイントになります。

一般的な自動車のリース契約では、ユーザーが「債務整理に着手」したことが契約解除事由としてあらかじめ定められています。
リース契約が解約となれば、買取りのための金額を支払わない限り、リース車両をその所有者であるリース会社に「返却」する必要があります。

したがって、自己破産を弁護士に依頼したときには、リース会社が弁護士からの「受任通知を受け取った時点」で、リース契約は解約となります。

その後、リース会社との話し合いで決まった日時までに「自動車を返却する」のが通常の流れです。

多くのケースでは、受任通知送付後すぐにリース会社からリース車両引取りのための連絡がきます。

【自動車に装着したオプション品はどうなる?】
リース車両に、ユーザーの負担でドライブレコーダーや冬用のスタッドレスタイヤといったオプション品を装着することもあるでしょう。このオプション品は、自己破産によりどうなるのでしょうか?
一般的なリース契約では、リース物品は「原状回復(リース会社から車両を引き受けた状態に戻すこと)」して返却する必要があります。ユーザーが原状回復しないときには、付加したオプション品などもあわせて引き上げられる契約内容になっていることが多いので注意が必要です。
さらに、自動車リース契約は、事前にリース会社の承諾なくして取り付けたオプション品はリース会社に帰属するという内容となっているものが少なくありません。

(3) 残ったリース料の扱い

自動車リース契約は、受任通知がリース会社に送付された時点で「期限の利益」を失い、「契約解除となる」条項が入っていることが一般的です。

しかし、自己破産を検討しているときには、「残リース料」の支払いには応じないまま自己破産を申し立てることになります。受任通知送付後に個別の債権者に債務を支払うと「偏頗弁済(へんぱべんさい)」となってしまうからです。

偏頗弁済とは、簡単にいえば、「不公平な借金の返済」のことです。

自己破産手続きにおいて残リース料は、「破産債権」となります。したがって、破産手続きでの配当後も残ってしまった額については、免責(借金の支払義務が免除されること)の対象となります。

[参考記事]

自己破産の「免責」とは?決定・確定するとどうなるか

つまり、自己破産に成功し免責を得れば残リース料を支払う必要はありません。

2.カーリースがある際に自己破産する時の注意点

次に、自動車のリース契約をしていた人が自己破産する際の注意点について解説します。

自己破産したときには、「保有している財産」を換価して債権者に公平に配当する必要があります。そのため、「財産隠し」や「偏頗弁済」を疑われないよう注意する必要があります。

(1) リース会社に「受領証」を必ず交付してもらう

弁護士によるリース会社などの債権者への受任通知送付から自己破産申立てまでは、数ヶ月程度の期間があるのが一般的です。そのため、通常のケースでは、自己破産申立て前に、リース会社への「リース車両の返還」が行われます。

この際には、リース会社から「受領証」などの「リース会社がリース車両を引き上げたことを証明できる書類」の交付を受けることが大切です。

弁護士に自己破産を依頼している場合でも、車両の返還は債務者本人が対応することが多いでしょうから忘れないように気をつけましょう。

(2) 自動車は勝手に処分してはいけない

長期間のリース契約を締結したときには、車両の残存価値がリース残額よりも少ないこともあり得ます。

このようなときには、リース会社に受任通知を送付してもリース会社がリース車両の返還を求めてこない場合もあります。

しかし、リース会社がリース車両を引き取りに来ないからといって、リース車両を売却したり、他人に譲渡したりしてはいけません。
この場合には、財産目録に記載し、車両の取扱いを破産管財人に委ねる必要があります。

また、他人への売却、譲渡だけでなく、リース車両の利用も控えた方が良いでしょう。万が一事故などによりリース車両の価値を損なわせてしまった場合には、後に問題となる可能性があるからです。

【不適切な対応をした場合のリスク】
リース車両の取扱いについて不適切な対応があったときには、自己破産の手続きで不利益を受ける可能性があります。
まず、財産隠し、財産減少行為、偏頗弁済が疑われると、申し立てた自己破産が「管財事件」として処理される可能性が生じます。管財事件となったときには、破産管財人に支払う報酬を負担しなければならず、裁判所に納める費用が20万円〜増えてしまいます。
さらに、実際に財産隠し、財産減少行為、偏頗弁済があったと評価されたときには、「免責不許可」となるおそれもあります。免責不許可となれば、残リース料だけでなくすべての借金の返済義務がそのまま残ってしまいます。
自己破産を失敗させないためにも、余計な負担を負わないためにも、疑われる行動は絶対にしないことが大切です。保有している財産や支払いなどでわからないことがあるときには、自分で勝手に判断せず、必ず弁護士の助言を受けましょう。

3.自己破産後の自動車リース契約は可能?

リース契約中に自己破産すると自動車を失うことになります。
では、自己破産手続きが終了した後に再度自動車カーリースを利用することはできるのでしょうか。

結論からいえば、自己破産から5~10年は、カーリースを利用することは難しいといえます。

自動車のリース契約を締結するには、リース会社が実施する審査に通過しなければなりません。
この審査において、リース会社は、申込みユーザーの信用情報を調査します。

信用情報の調査は、信用情報機関のデータベースを照会する方法で行われます。
信用情報機関は、JICC(日本信用情報機構)、CIC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの機関があります。リース会社は、JICC、CICのいずれか(もしくは双方)に加盟しています。

JICC、CICでは、過去の自己破産歴に関する情報を5年間保存しています。この事故情報が消去されるまでは、リース会社の審査に通ることは難しい場合がほとんどでしょう。

なお、同様の理由で、信販会社や銀行の自動車ローンを組むこともできません。
銀行ローンの場合には、最大で自己破産から10年間ローンを組めなくなることもあるので、さらに注意が必要です。

[参考記事]

自己破産をするといつまでブラックリスト(信用情報)に載る?

4.まとめ

リース契約の内容は一般の方は難しいと感じることが多いと思います。わからないことを独断で対処すると、思わぬトラブルになったり、不利益が生じたりすることもあります。

自己破産を検討されるときには、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをお勧めします。

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