自己破産は弁護士と司法書士のどっちに相談すべき?
自己破産をするときは、借金問題の解決が可能な士業に依頼するのが安心かつ確実です。
自己破産のときに依頼する専門家(士業)といえば「弁護士」と「司法書士」です。
では、弁護士と司法書士とでは、どちらに依頼する方がいいのでしょうか?
ケースバイケースという場合もあるのかもしれませんが、ここでは「一般的に考えて、どちらの方がメリットが大きいか?」という視点で考えていきます。
現在自己破産を検討している人や借金で苦しんでいる人は、本記事を参考にして、相談先をお選びください。
1.自己破産を依頼すべき理由
まずは「自己破産って自分で出来ないの?」「どうしても専門家・士業に頼まないとダメなの?」という人に向けて、自己破産を依頼するべき理由を述べていきます。
(1) 書類のミスがなくなる
自己破産は裁判所で行なう手続です。
法律等で定められた様々な書類を集め、作成し、裁判所に提出なければなりません。
これらの書類を自分で用意すること自体は不可能ではありません。
インターネットで検索すれば、一般的にどのような書類が必要なのか、ある程度はわかるでしょう。
しかし、自分の具体的な債務状況や申立先の裁判所の運用によっては、ネットで調べた知識が通用しない可能性があります。
もし書類が足りない、書類に間違いがあったなどが判明すれば、修正や再提出を求められますし、それが出来ない場合は自己破産の手続が先に進みません。
最悪、自己破産に失敗してしまう(借金の免除を受けられない)可能性もあります。
しかし、専門家に依頼すれば、書類の問題は簡単にクリアできます。
いつどのような書類が必要なのかを熟知していますし、正確な書類を作成してくれます。
依頼人が自分で集めなければいけない書類についても、何が必要なのか、どのように集めればいいのかを教えてくれる筈です。
専門家に依頼することで書類のミスを劇的に減らせるのは大きなメリットと言えます。
(2) 手続が迅速に進む
書類のところでも少しだけ触れましたが、自己破産は、慣れない人がすると非常に時間がかかります。
これは「なにを」「どのように」すればいいのかわからず、その都度迷いながら調べ物をしなければならないからです。
また、一生懸命調べてどうすればいいかがわかったとしても、日々の仕事や生活に追われて実行に移せないこともあるでしょう。
この結果、自己破産の手続が遅々として進まない…という事態もありえます。
しかし、弁護士や司法書士のような専門家は、正確な知識を持っており、迅速に実行に移すだけの行動力もあります。
自己破産を早く終わらせて借金生活から出来るだけ早く解放されたいのであれば、専門家に頼むのが一番です。
次からは、弁護士と司法書士に依頼したときのメリットの違いについて述べていきます。
2.司法書士に依頼するメリット
まずは司法書士です。
本来は登記の専門家である司法書士に自己破産を依頼することで、どのようなメリットを受けられるのでしょうか?
(1) 費用が比較的安い
あくまで弁護士と比べた場合ですが、司法書士の方が安く引き受けてくれる可能性があります。
費用のことを最も気にしているのであれば、司法書士を検討しても良いかもしれません。
(2) 書類は全て作ってもらえる
自己破産は地方裁判所で行なう手続きですが、法律上、司法書士は、地方裁判所での代理権を持っていません。
このため、裁判所での手続は、破産申立人が自分で赴いて行なう必要があります。
しかし、必要な書類は司法書士が全て揃えてくれるので、自分で書類を準備する手間は省けます。
3.弁護士に依頼するメリット
続いては弁護士です。
弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。
(1) 書類作成から裁判所の手続まで代行してもらえる
弁護士は、司法書士と同様、破産申立に必要な書類を作成出来ます。
それに加え、司法書士と違い、地方裁判所での手続も代行が可能です。
破産申立人本人が裁判官と面接するような場合は、本人が裁判所まで出向かなければいけませんが、その場合も、代理人の弁護士が側にいてサポートしてくれます。
申立後も含めて、自己破産手続の殆どを任せられるのは、破産申立人にとって大きなメリットです。
(2) トータルの費用が安くなることもある
自己破産の多くは「同時廃止」という、迅速に手続が終わるタイプに分類されて処理されます(ただし、代理人を付けずに本人より申し立てられた事件が簡単な同時廃止で処理されるということは、実務上まず考えにくいでしょう)。
しかし、処分してお金に換えられる財産が破産申立人に一定以上ある場合や、借金の額が多すぎるなどの事情によっては、手続に時間のかかる「管財事件」というものに分類されてしまいます。
管財事件では、裁判所が「破産管財人」という弁護士を選任し、その人に破産申立人の財産の管理等が任されます。
この破産管財人の報酬は破産申立人が払わなければならないため、お金がなくて自己破産する人にとっては大きな負担です。
しかし、弁護士が代理人の場合に限り、管財事件であっても「少額管財」という、破産申立人にとって負担の少ない方法で処理されることが多くなります。
これは、代理人弁護士が、破産管財人の仕事の一部(借入経緯や財産状況の調査等)を事実上肩代わりすることで、破産管財人の仕事の負担が減り、人件費を抑えることが出来ると考えられているためです(逆に、こうした代理人弁護士による仕事の肩代わりがなく、負担が全て管財人にかかってくるような事件の場合は、費用を少額で済ませることが出来ないわけです)。
司法書士に依頼して管財事件になった場合は「司法書士への報酬+破産管財人への報酬(約50万円~)」となりますが、弁護士に依頼して少額管財になった場合は「弁護士費用+破産管財人への報酬(約20万円~)」という形になるので、トータルでは弁護士に依頼した方が安くなることも考えられます。
なお、少額管財の扱いや破産管財人への報酬などは、裁判所やケースによって異なりますので、ご注意ください。
(3) 債務整理全般を依頼出来る
専門家に相談に行った結果、「自己破産よりも他の債務整理を考えた方がいいですよ」とアドバイスされるかもしれません。
もしそうなった場合、司法書士が担当出来るのは、債務額が140万円以下の案件に限られます(さらに、140万円以下の案件を扱えるのは、司法書士の中でも「認定司法書士」に限られます)。
しかも、司法書士が出来るのは、簡易裁判所での訴訟代理等に留まるので、地方裁判所や高等裁判所に訴えるには、別途弁護士への依頼が必要になります。
弁護士の場合は、活動範囲について、こういった金額や裁判所の制限がないので、自己破産をすべきか、それとも他の債務整理をすべきか悩んでいるのであれば、弁護士に相談した方が手間と時間を省けるケースが多いです。
4.自己破産はまず弁護士にご相談ください
「弁護士と司法書士のどっちに相談しようかな?」と悩んだときは、弁護士を選んだ方が多くのメリットを受けられるでしょう。
司法書士には取り扱い出来ないことが数多くありますが、弁護士なら債務整理の全てを取り扱うことが出来るからです。
「借金で迷ったら弁護士に相談」とシンプルに覚えておけば、いざというときでもスピーディーに動くことが出来ます。

[参考記事]
債務整理に本当に強い弁護士の選び方
「でも、弁護士費用が多くかかるのでは?」と不安な方もいるかもしれませんが、分割払いが可能な法律事務所や、借金のお悩みについては相談料を取らない事務所も多いので、ご安心ください。
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