自己破産の申請が13年ぶりに増加~その要因は何か~

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自己破産の申請が13年ぶりに増加~その要因は何か~

最高裁判所の統計によりますと、平成28年度の破産申請件数は、前年度の平成27年度より1000件ほど増え、13年ぶりの増加となりました。

破産申請の件数は、平成15年の24万件をピークに、その後は12年連続で減り続け、平成27年度では6万3000件ほどにまで減少しましたが、平成28年度では前年度よりも1000件ほど増加し、6万4000件を超える結果となりました。

破産申請の件数が13年ぶりに増加した要因は、どのようなものが考えられるでしょうか。

1.要因1:銀行カードローン事業の拡大

この問題に対しては、「銀行カードローン事業の拡大」が原因だろうと考える人が非常に多いです。
では、なぜ銀行カードローン事業が拡大していったのでしょうか。

1-1.カードローンは総量規制の対象外なため

銀行カードローン事業の拡大の背景は、平成22年6月に改正貸金業法が施行され、その中には借入ができる金額は年収の3分の1までとする「総量規制」が規定されたことにまで遡ります。消費者金融や信販会社にとっては、この「総量規制」によって貸付金額の上限が設けられる結果となりましたが、銀行のカードローンはこの規制の対象外であったため、既に年収の3分の1の借金がある人でも、銀行のカードローンが利用できてしまうのです。

「総量規制」を規定した目的は、多重債務に陥らないように借金を制限することであったにもかかわらず、総量規制対象の人が新たに借金を背負ってしまうことは、まさに皮肉な結果であると言わざるを得ません。

1-2.保証会社の設定による銀行の事業拡大

次に挙げられるのが、銀行による保証会社の設定です。これはどういうことかと言いますと、銀行からの借金については、必ず消費者金融や信販会社といった銀行とは別の会社が保証会社となり、仮に借りた人が破産手続をとったとしても、その保証会社が破産手続をとった人に代わって、銀行へ借金を支払ってくれるというものです。

通常、破産手続は借金の免除を目的とする手続であるため、借金が免除されたら、お金を貸した側にメリットは全くありません。しかし、銀行のカードローンの場合は、代わりに借金を支払ってくれる保証会社が必ず付いていますので、銀行は損をしないのです。このため、いくら破産申請を取る人が増えても、銀行は懐を痛めず、支払われる利息がそのまま利益になりますので、CM展開を増やすなどして事業を拡大しているといった背景があります。

2.要因2:過払い金の減少

確かに銀行カードローン事業の拡大も破産申請件数増加の要因であると考えられますが、他にもその要因があると考えられます。それは、「過払い金の減少」です。
過払い金とは、払い過ぎていた利息のことで、利息制限法で定められている利息を超える金額を支払っていた場合、消費者金融などにこの過払い金を返還するよう請求ができます。

2-1.平成27年度まで破産申請の件数が減っていた原因は過払い金返還請求

先にも述べましたが、破産申請の件数は、平成15年度の24万件をピークに、その後平成27年度まで12年連続で減り続けていました。破産申請の件数が12年連続で減り続けた背景には、まさに破産申請の件数がピークとなった平成15年頃から過払い金請求が加速し、平成18年に最高裁判所が過払い金の返還を認める判決を出しました。この頃から、いわゆる過払い金ブームが始まり、多くの弁護士や司法書士が過払い金請求に携わることとなりました。

その結果、払い過ぎていた利息が借金の元金に充てられることになり、たとえば1000万円近くあった借金が100万円になったり、500万円近くあった借金が0円になったりするなど、借金を減らすことができるようになった結果、破産申請の件数が年々減少していったと考えられます。

2-1.過払い金請求の時効により、平成28年度の破産申請の件数は増加

平成28年度の破産申請の件数が増加した要因の1つに、この「過払い金の減少」があります。

なぜ過払い金が減少したかと言いますと、過払い金ブームが去り、単に請求する人が年々減っていることや、平成22年6月に改正貸金業法が改正されて利息制限法を超える金利での貸付が禁止されたことも原因だと考えられますが、もう1つは過払い金請求の時効の問題です。
過払い金請求の時効は、最後に取引した日から10年とされており、最高裁判所が過払い金の返還を認めた年から10年後が、ちょうど破産申請の件数が増加した平成28年になります。時効にかかると、当然過払い金は返還されませんので、借金の金額は減らず、破産申請の件数が増えたと考えられます。

3.まとめ

以上の通り、破産申請の件数が13年ぶりに増加した要因は、(1)銀行カードローン事業の拡大、(2)過払い金の減少、この2つを挙げることができます。このまま何も手を打たなければ今後も破産申請の件数は年々増加していくと考えられますが、一部報道によれば、金融庁は銀行カードローンの審査基準などの調査を始めたとのことです。

しかし、調査の結果、銀行カードローンに対する何らかの規制が入れば、多重債務者は減り、破産申請の件数は必ず減っていくと言えるのでしょうか。日本弁護士会連合会の調査によると、多重債務に陥った人の借金の理由は、断トツで「単なる生活苦」が多いとのことです。多重債務者を減らすには、国を挙げて生活困窮者を減らす制度を真剣に検討するなど、もっと大きな変革が必要なのかもしれません。

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