法人破産 [公開日]2018年4月5日[更新日]2020年4月24日

会社が破産したら社長・代表取締役は責任追及されるのか?

会社法人が破産したら社長・代表取締役は責任追及されるのか?

会社(法人)が倒産した場合、従業員や取引先、各債権者からは、社長(代表取締役)などの役員に対して「倒産の責任をとれ」「未払いとなった各種支払を行え」といった責任追及がなされる場合があります。

確かに法律上は、会社営業中に会社役員が職務を怠ったり、利益が相反する取引を主導したりして会社に損害をあたえると、損害賠償を負うことが規定されています。
しかし、倒産の責任についての規定は明確にありません。

では、会社が破産・倒産した場合、社長や取締役には全く責任がないのでしょうか。

なお、まずは会社破産について詳しく知りたいという方は「会社破産とは?」をご覧ください。

1.社長の責任に関する破産法の規定

(1) 破産法の規定

破産法には、下記の規定があります。

破産法の第三節 法人の役員の責任の追及など
第177条「会社の役員等の責任に基づく損害賠償請求権について、当該役員の財産に対する保全処分をすることができる」
第178条「役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる」

つまり、以下のように規定されているのです。

  • 役員は、役員としての任務を怠って会社に損害を発生させた場合に、賠償責任を負うこと。
  • 競業行為や利益相反行為を行って利益を得た場合は、一般的にその利益分≒会社の損害と考えて会社に賠償責任を負うこと。
  • 役員の業務に悪意や重大な過失がある中で、会社の行為において第三者に損害を与えた場合に第三者に対して賠償責任を負うこと(会社が第三者に賠償をした場合は会社に対しての賠償責任)。

分かりやすく言うと、放漫な経営をしたり、会社の取引を個人で受けて利益を横取りしたりして、会社に損害を与えた場合、あるいは、決算書に虚偽の記載をしたり、会社の状況について事実と異なる報告をして投資や融資を受けたり、会社が不利益を被ると知っていて取引をした場合、第三者に対しても賠償責任を負うといった内容です。

つまり、会社を倒産させたからといって、社長や代表取締役などといった会社役員が個人的に責任を負ったり、会社の各支払を役員個人が行ったりすることは、原則ないのです。

と言うのは、会社として時には多少のリスクは承知で積極的に投資や取り引きをしなければならないこともあります。これらが失敗したからといって会社役員が個人的に責任を負ってしまったのでは、結果責任を問うに等しく、会社経営が過度に委縮してしまうためです。

しかし、会社名義での借入や取引先との契約など、いわゆる会社名義の債務について、役員が個人保証や連帯債務を負っている場合(役員が保証人・連帯保証人になっている場合)は、役員個人で連帯債務の支払をしなければいけません。

結果として、法人代表者が一緒に自己破産をするということも有り得ます。

(2) 会社資産の処分に対する責任追及

実は、役員への責任追及は、会社経営時における行為に対してだけではなく、倒産前後においてなされた会社資産の処分に対しても行われる場合があります。

たとえば、倒産すると予想される時期に、会社の不動産を安く知り合いに売ってしまったり、会社の設備や事業部門などを第三者に無償、あるいは、本来の価値よりも低い金額で譲渡したりして、会社の資産を不当に減少させてしまった場合がそれに該当します。

一般的には、行為の相手方(不動産の購入者、設備や事業の譲受人)に対して、本来の価値との差額を請求されたり、不動産や設備の返却を求められたりします。
しかし、それが不可能な場合、会社資産が減少してしまった部分を役員が個人で補填するようにと、請求を受けることもあります。

これには、会社の営業停止後、会社に残っていた金銭を役員が生活費に使ってしまったというケースも含まれます。

2.破産後に再度社長になれる?

ご相談者様から「改めて、別に会社を立ち上げることはできるのか?」「他の会社の役員になれるの?」といったご質問を受けることがあります。

役員の方ご自身が破産手続中の場合、控えていただいた方が無難です。
と言うのも、役員は委任契約であり、法律上、破産申立がその委任契約の解除条件に該当してしまうリスクがあるためです。

破産手続が終われば、新たに会社を立ち上げたり、役員になったりすることは問題ありません。
破産法にも、「自己破産後は役員になれない」という規定はありません

しかし、注意すべき点もありますので、自己破産後の会社設立に関して詳しく知りたい方は、下記コラムをご覧ください。

[参考記事]

自己破産後に会社を設立したい…。できないこと、困ることなどは?

3.社長が自己破産した場合の会社への影響

これまでは、法人破産をした際の社長(代表取締役)への影響を見てきましたが、逆に、社長が自己破産をした場合に会社へ何か影響が及ぶことはあるのでしょうか。

結論から言うと、社長が自己破産したからと言って、会社に何らかの不利益が生じるわけではありません。
「会社法人は社長(代表取締役)の財産だから、自己破産により没収されて配当されてしまうのでは」と思われがちですが、会社は個人とは全く別の法人格なのです。

しかし、先程述べたように、会社と社長は委任契約にあり、法律上、破産申立がその委任契約の解除条件に該当してしまうため、社長は退任しなければなりません。

また、社長の自己破産後は、社長名義で借入ができないことや、社長が会社の保証人になれないこと、社長が会社に貸し付けをしている場合にその貸付金の返還が求められることなどに注意が必要です。

4.法人破産・社長の自己破産のご相談も弁護士へ

法人の役員の責任について説明をしてきましたが、実際に泉総合法律事務所にご相談いただき破産申立を行った案件の中で、破産法における役員への責任査定を受けたケースはありません

ごくまれに、会社の資産を不当に親族へ譲渡した、無償で廃棄してしまったなどの理由により、破産管財人からその不当性の追求を受ける場合もあります。
しかし、その不当性がないことをきちんと説明し、報告することで、理解してもらえる場合が多いです。

泉総合法律事務所では、ご相談の際とご依頼後において経営状況などの聞き取りを行い、そのうえで「損害を与えた」とみなされてしまう可能性やその対処方法について万全の策を講じて、破産手続を進めてまいります。

泉総合法律事務所には、破産手続によって多大な負債を抱えた会社・代表者を救済してきた実績が豊富にございますので、是非とも当事務所にご相談ください。
債務整理の相談は何度でも無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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