会社が破産した!社長・取締役はどんな責任を追及されるのか?

法人破産

会社が破産した!社長・取締役はどんな責任を追及されるのか?

一般的に会社が倒産した場合、従業員や取引先、各債権者からは、取締役などの役員に対して、「倒産させた責任をとれ」、「未払となった各種支払を行え」、といった責任追及がなされる場合があります。

確かに法律上は、会社営業中に役員が職務を怠ったり、利益が相反する取引を主導したりして会社に損害をあたえると、損害賠償を負うことが規定されています。

しかし、倒産させた場合の責任についての規定は明確にありません。

では、規定にないからといって、会社が倒産した場合、取締役には全く責任がないのでしょうか。この点について、以下に説明していきたいと思います。

1.破産法の規定

破産法には、下記の規定があります。

破産法の第三節 法人の役員の責任の追及など

第177条「会社の役員等の責任に基づく損害賠償請求権について、当該役員の財産に対する保全処分をすることができる」

第178条「役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判をすることができる」

しかし、実際には、どういった行為が損害賠償の対象になるのかは、明確に記載がありません。

一般的に、会社を倒産させたからといって、役員が個人的に責任を負ったり、会社の各支払を役員個人が行ったりすることは、原則ありません。

では、具体的にどういった場合において、役員が責任を問われるのか、または支払を行わなければならないのでしょうか。

2.役員の経営判断

まず、取締役などの役員は、会社などから委任を受けて、その職務に就きます。そして、経営者(あるいは経営陣の一員)として、善管注意義務や忠実義務を負うと同時に、経営方針などには役員にある程度、裁量と判断が委ねられた上で、会社が利益をあげて順調に事業が進むように、経営していくことになります。

ここで問題となるのは、この経営判断が、会社にとって利益に反していないか、会社に損害を与えていないかという点です。

(1) 一般的な責任の規定

会社法では、

  1. 役員は、役員としての任務を怠って、会社に損害を発生させた場合に賠償責任を負うこと、
  2. 競業行為や利益相反行為を行って利益を得た場合は、一般的にその利益分≒会社の損害と考えて会社に賠償責任を負うこと、
  3. 役員の業務に悪意や重大な過失がある中で、会社の行為において第三者に損害を与えた場合に第三者に対して賠償責任を負うこと(会社が第三者に賠償をした場合は会社に対しての賠償責任)

といった規定があります。

分かりやすく言うと、

①と②は、放漫な経営をしたり、会社の取引を個人で受けて利益を横取りしたりして、会社に損害を与えた場合、賠償責任を追及されるといった内容です。

③は、決算書に虚偽の記載をしたり、会社の状況について事実と異なる報告をして投資や融資を受けたり、会社が不利益を被ると知っていて取引をした場合、第三者に対しても賠償責任を負うといった内容です。

(2) 破産管財人による責任追及

上で述べたように、会社を倒産(破産)させたからといって、責任を負うことは原則ありません。

しかし、(1)のように、役員としての職務を全うしていなかったり、虚偽の報告をしていたりした場合は、破産管財人が役員個人に対して、損害賠償請求を行いますので、責任をとる必要が生じます。

この請求に対して、役員個人が資産を第三者に譲ったり、売ったりして追及を逃れようとするのを防ぐために、破産法では、役員個人の資産を勝手に処分できないように保全処分を行うことが規定されています。

また、破産管財人は損害賠償請求の内容が妥当かを判断するために訴訟を提起することができます。

このように、破産管財人は役員の責任の有無を裁判によって調査し、然るべき損害賠償額を確定させてそれを請求するのです。

(3) 会社資産の処分に対する責任追及

実は、役員への責任追及は、会社経営時における行為に対してだけではなく、倒産前後においてなされた会社資産の処分に対しても行われる場合があります。

たとえば、倒産すると予想される時期に、会社の不動産を安く知り合いに売ってしまったり、会社の設備や事業部門などを第三者に無償、あるいは、本来の価値よりも低い金額で譲渡したりして、会社の資産を不当に減少させてしまった場合がそれに該当します。

一般的には、行為の相手方(不動産の購入者、設備や事業の譲受人)に対して、本来の価値との差額を請求されたり、不動産や設備の返却を求められます。しかし、それが不可能な場合、会社資産が減少してしまった部分を役員が個人で補填するようにと、請求を受けることもあります。

これには、会社の営業停止後、会社に残っていた金銭を役員が生活費に使ってしまったというケースも含まれます。

また、会社名義での借入や取引先との契約など、いわゆる会社名義の債務について役員が個人保証や連帯債務を負っていた場合は、役員個人で支払をしなければいけません。

(4) 破産手続中にできないこと

ごくまれにですが、「改めて、別に会社を立ち上げることはできるのか?」、「他の会社の役員になれるの?」といったご質問を受けることがあります。

しかし、役員の方ご自身が破産手続中の場合、上でも述べましたが、役員は委任契約であり、法律上、破産申立がその委任契約の解除条件に該当してしまうリスクがあるため、控えていただいた方が無難です。

破産手続が終われば、全く支障なく会社を立ち上げたり、役員になることもできますので、タイミングとしては破産手続が終了した以降がおすすめです。

3.経営陣の責任 まとめ

法人の役員の責任について説明をしてきましたが、実際に泉総合法律事務所にご相談いただき、破産申立を行った案件の中で、破産法における役員への責任査定を受けたケースはありません

ごくまれに、会社の資産を不当に親族へ譲渡したとか、無償で廃棄してしまったなどの理由により、破産管財人からその不当性の追求を受ける場合もあります。

しかし、その不当性がないことをきちんと説明し、報告することで、理解してもらえる場合が多いです。

4.法人破産のご相談も泉総合の弁護士へ

泉総合法律事務所では、ご相談の際とご依頼後において経営状況などの聞き取りを行い、そのうえで「損害を与えた」とみなされてしまう可能性やその対処方法について万全の策を講じて、破産手続を進めてまいります。

泉総合法律事務所には、破産手続によって多大な負債を抱えた会社・代表者を救済してきた実績が豊富にございますので、是非とも当事務所にご相談ください。

相談は何度でも無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。

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