法人破産 [公開日]2018年2月26日[更新日]2019年12月3日

取引に大打撃!会社の銀行口座が凍結された場合の解除方法は?

個人名義の銀行口座は、名義人が死亡すると凍結されることはご存じの方も多いと思います。

実は、会社の銀行口座も凍結されてしまうことがあります。

会社の口座の凍結は、場合によっては、会社自体に存続危機を招くことも少なくありません。もし凍結されたときには、速やかに、正しく対処する必要があります。

この記事では、法人の銀行口座が凍結される原因と、その際の対処法について説明します。

1.口座凍結されるとどうなるか

口座が凍結されると、その口座を介したあらゆる取引が出来なくなります。
つまり、預金の引き出しはもちろん、給与の振り込み、公共料金や公租公課の引き落とし等の一切の取引が出来なくなります。

ある銀行で開設している同じ名義人の他店口座は、全て名寄せされて、纏めて凍結されます。
法人にとって、メインバンクの銀行口座が凍結されるのは、とても大きな打撃となります。

そのため、口座凍結がきっかけで経営破綻、というケースもあり得るでしょう。

2.法人口座が凍結されるケース

銀行口座凍結の典型例は、「個人の銀行口座について名義人が死亡した場合」です。これは、一般的には、相続の発生による相続財産の保全などの理由があります。

これに対し、法人の場合には、たとえ法人の代表者が死亡したとしても、法人自体が無くなる訳ではないので、口座は凍結されません。

法人の銀行口座が凍結される具体的な理由は、次のような場合です。

  • 債務整理の開始
  • 公租公課(税金や社会保険料など)の滞納による差し押さえがあったとき
  • 二度目の手形不渡りによって銀行取引停止処分となった場合
  • 犯罪に関与したことが「疑われる」場合

(1) 債務整理の開始

弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士は債務整理の対象となる債権者に「受任通知」を送付します(手続の内容によっては、法人の全債権者に送付します)。
受任通知を送付することで、弁護士が「債務についてのすべての窓口」となります。

その債権者の中に、銀行や信用金庫などの金融機関がいる場合、金融機関は、受任通知を受け取った時点で、該当の法人名義の口座を凍結します。そして、口座に残っている預金残高を、自身の債権(法人債務)の一部に充当(相殺)します。

口座が凍結されれば、売上金の受領も資金の引出しも出来ず、経費やその他の支払い・送金も出来なくなってしまうので、業務に大きな影響が生じます。

もっとも、債務整理の中でも、廃業前提の破産の場合は、資産の保全に関与してくるので、凍結に対する対応も、事前に準備しておく必要があります。

法人の債務整理では、個人の債務整理以上に、営業を継続する場合も、あるいは廃業する場合も、受任通知の送付時期の見極めが重要です。

また、法人の債務整理では、弁護士の費用や裁判所の手続費用の捻出に苦慮することも少なくありません。
口座が凍結されれば、口座に入ってくる売掛金の引出しも出来ないので、手続費用を工面することも難しくなります。

債務整理(会社破産など)を検討している場合には、口座凍結に備えて様々な対応措置を事前に講じておく必要があります。

そのための期間を確保するためにも、出来るだけ早めに専門家へ相談されるとよいでしょう。

(2) 公租公課の滞納処分

経営が苦しい法人では、社会保険料や税金の滞納が発生していることがあります。

公租公課の未納が原因で口座が差し押さえられると、銀行などが債権回収のために口座を凍結することがあります。役所関係は、未納が長期に及ぶと比較的早い段階で差し押さえをしてくるので注意が必要です。

ところで、中小企業では、法人の債務について、経営者もしくは他の取締役や、その家族が連帯保証をしている場合が少なくありません。

すると、例えば、経営者個人に公租公課の未納があり、法人名義の口座ではなく、経営者個人名義の口座が公租公課の未納のために差し押さえられた場合にも、「銀行の判断」で、法人口座が凍結されてしまう可能性があります。

一般的な融資契約では、「経営者や保証人の口座が差し押さえられた場合には、法人融資の一括返済を求める」内容の契約となっていることが多いためです。

金策に奔走していた余り、社会保険料や税金の未納について、役所に相談することを失念していた、というケースは少なくありませんので注意が必要です。

(3) 銀行取引停止処分

1度目の手形不渡りから半年以内に2度目の不渡りを出してしまうと、いわゆる「銀行取引停止処分」となります。

この場合には、当座取引と新規融資が2年間停止となります(新規融資凍結処分)。
さらに、当座口座を開設している銀行から融資を受けている場合には、銀行は、債権回収のために、「銀行の判断」として、普通預金口座も凍結することがあります。

(4) 犯罪利用が疑われた場合

以上で説明したような、法人の信用状態が原因で口座凍結となる場合に加えて、法人の口座が「犯罪に利用されたことが疑われる場合」には、警察などからの通報に基づいて口座が凍結される場合があります。近時では、振り込め詐欺に口座が悪用されるケース等が特に問題となっています。

【犯罪関与が疑われる場合】
犯罪関与による凍結では、預金残高を失う可能性もあります。
また、直接犯罪に利用された口座のみならず、他銀行の口座も全て凍結される可能性があります。銀行口座の犯罪利用に関する情報が、全ての銀行で共有される仕組みになっているからです。
さらに、今後一切の口座開設が出来なくなる可能性もあります。

3.口座凍結された場合の対処法

債務整理(信用悪化)を原因とする口座凍結の場合には、保証会社による代位弁済によって口座凍結が解除される場合があります。

[参考記事]

中小企業が信用保証協会に代位弁済をされた場合の対応

この場合、債権者が銀行から保証会社に変わりますので(銀行から見れば、保証会社からの代位弁済で、自身の債権は全て回収されたので)、銀行自体が債権を保全するために債務者の口座を担保にとっておく必要がなくなるためです。

ただし、保証会社が代位弁済したからといって、債務者の返済義務自体が無くなる訳ではなく、返済する先が銀行から保証会社に変わるだけで、債務者の債務自体は全く減っていません。

もっとも、保証会社から代位弁済を受けても、その他に銀行に債務が残っている場合は、口座凍結が継続されます。

上記の例として、信用保証協会の部分保証方式を利用した融資を利用していた場合には、全額が代位弁済されないので、銀行に一部債務が残り、凍結が解除されない場合があります。

法人の口座凍結は、経営破綻に直結しかねない大きな問題です。「口座凍結」に不安を感じた段階で、出来るだけ早く弁護士にご相談されることをお勧めします。

【犯罪関与が疑われた場合】
犯罪利用が疑われた口座の凍結は、より慎重な対応が必要となります。解除が難しいだけでなく、預金を失う(失権)可能性があるからです。失権とは、要するに、その口座が永久に使えない状態になることを意味します。
失権を回避するためには、口座凍結後に行われる預金保険機構による「債権消滅手続き開始公告」から所定の期間内(届出期間は60日以上で定められます。)に、「権利行使の届出」をしなければなりません。
しかし、届出をしたことで直ちに凍結が解除されると限りません。実際には、警察や銀行との協議によって解除が判断されるからです。
また、協議では足りず、訴訟をして初めて凍結が解除されるというケースもあり得ます。

4.会社の倒産・破産はお早めに弁護士へご相談ください

法人口座の凍結は、法人の存続問題に発展することが少なくありません。
まだ経営を建て直す余力があったにも関わらず、口座凍結によって破綻を余儀なくされるケースも少なくありません。

「もしかしたら、このままだと口座が凍結されるかもしれない」と不安を感じたときには、いずれのケースであっても、速やかに弁護士にご相談下さい。

万が一、口座凍結となった場合にも、弁護士が対応することで、凍結が解除される可能性もあります。
資金繰りが厳しいけれど、このまま会社を倒産させたくはない、とお考えの方は、泉総合法律事務所の無料相談を是非ともご利用下さい。

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