法人破産 [公開日]2019年11月26日[更新日]2019年11月26日

中小企業が信用保証協会に代位弁済をされた場合の対応

信用保証協会に代位弁済をされたら

中小企業が金融機関から融資を受ける際、「信用保証協会」の保証をつけるケースがよくあります。
しかし、その後の返済を怠ると、信用保証協会が借入先金融機関へ「代位弁済」を行い、企業は信用保証協会やサービサーから残債務の一括請求を受けることになります。

もしも代位弁済が起こってしまったら、どういった対応をすべきなのでしょうか?

この記事では、中小企業が信用保証協会に代位弁済されたときの適切な対処方法について、弁護士が解説します。
なお、銀行や消費者金融から借入をしていた個人の方が保証会社に代位弁済をされてしまったという場合は、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

代位弁済をされたら弁護士に相談を!|住宅ローン・カードローン

1.信用保証協会の代位弁済について

(1) 信用保証協会とは

銀行融資を利用するとき、当然のように信用保証協会を利用される経営者も多いのですが、信用保証協会や信用保証制度とはどういったものか、正確にご存知でしょうか?

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者などが円滑に融資を受けられるように、各都道府県に設けられている専門機関です。

中小企業や零細事業者が銀行融資を利用しようとしても、初回の取引であったり、設立したばかりで信用がなかったりすると、無担保での融資は通りにくくなります。
しかし、それでは中小企業の資金繰りが悪化したり、設備投資や事業拡大の資金を得ることができなかったりして、経済の発展が阻害されます。

そこで、都道府県の信用保証協会が保証人となることにより中小企業や零細企業への融資を通しやすくしています。

信用保証協会を利用すると、毎月の融資の返済金に足して信用保証料を払わねばなりません。
それでも、融資を受けられるメリットが大きいので、多くの中小企業・零細企業が利用しています。

中小企業、金融機関、信用保証協会の関係図

(2) 代位弁済とは

信用保証協会が保証している融資の返済を滞納すると「代位弁済」が起こります。
代位弁済とは、主債務者がローンの返済をしないときに、保証人や連帯保証人が代わって返済することにより、主債務者に対して求償権(肩代わりした分の返還を求める権利)を取得する場合の弁済をいいます。

信用保証協会は中小企業を主債務者とする金融機関からの融資について連帯保証しているので、中小企業が支払いを怠ると、代わりに金融機関へ返済をしなければなりません。

通常、信用保証協会による保証付きの融資では、債務者は「支払いを90日間延滞した場合」に、期限の利益を喪失する約款となっています。
期限の利益喪失とは、融資金の分割払いが認められなくなって、残金を一括払いしなければならない状態です。

期限の利益を喪失したら、金融機関は主債務者である中小企業へ一括弁済を求めるとともに、連帯保証人である信用保証協会へ代位弁済を求めます。
すると、信用保証協会は銀行へと残債務の返済を行います。

なお信用保証協会が保証する「割合」は、ケースによって異なります。100%保証であれば信用保証協会が残金を全額代位弁済しますが、80%保証であれば残金の80%のみを代位弁済するので、残りの20%は企業が金融機関へと支払わねばなりません。

2.代位弁済後の返済

信用保証協会が主債務者である中小企業の代わりに金融機関へと支払いをしたら、中小企業は金融機関に対しては返済しなくて良くなります(※100%保証の場合)。

そうなると、中小企業は融資の返済義務を免れるのかというと、そのようなことはありません。

保証人が代位弁済すると、保証人は法律上「求償権」を取得します。
求償権とは、保証人が主債務者に代わって代位弁済をしたときに、主債務者に対して代位弁済分を返還請求する権利です。

つまり、保証人が代位弁済をしたら、保証人は債権者に支払った全額を主債務者に返還請求できるのです。

信用保証協会が銀行に代位弁済したときにも、信用保証協会は主債務者である中小企業へ「求償権」を行使して、代位弁済した全額の一括払いを請求してきます。

なお、遅延損害金も加算されるので、残債そのものの金額より大きな金額を請求されるのが通常です。

【サービサーに回収委託されることが通常】
信用保証協会が主債務者である中小企業に求償するときには、「債権回収株式会社(サービサー)」へ債権回収の委託をするのが通常です。
企業へは、保証協会のサービサーからの通知が来て、代位弁済した全額と遅延損害金の一括払いを求められるでしょう。
参考:債権回収会社(サービサー)から督促!無視厳禁、突然の通知の対処法

3.支払えない場合の対処方法

以上のように、金融機関からの融資を滞納して信用保証協会やサービサーから残債の一括払いを求められても、一括で支払えないケースがほとんどでしょう。

では、どのように対処したら良いのでしょうか?

(1) 私的整理(分割払いの交渉)

サービサーから代位弁済分の一括請求を求められたとき、これを無視すると裁判を起こされて資産を差し押さえられる可能性が高くなります。
すると、事業の継続が難しくなってしまうでしょう。

一括請求を受けた金額が高額で払えなくても、無視してはなりません。まずはサービサーに連絡を入れて、分割払いの交渉をしましょう。

保証協会側としても、中小企業に残債を一括払いする力がないことは承知しています。支払い可能な現実的な金額を提示して分割払いの提案をすれば、受け入れてもらえる可能性はあります。

分割払いの合意ができれば、後はその約束をきちんと守って支払いを続けている限り、裁判を起こされたり差し押さえをされたりすることはありません。

(2) 法的整理(倒産)

資金繰りが厳しいような場合では、信用保証協会やサービサーから残債の一括請求が来たとき、分割払いもできないというケースがあります。

また、サービサーと話し合いをしても分割払いの方法について合意できず、裁判をされそうになったり、実際に訴訟を提起されたりするケースもあるでしょう。

そのようなときには、早期に債務整理(倒産・法人破産など)を検討しましょう。
企業が利用できる債務整理には、「再建型」と「清算型」の2種類があります。

「再建型」の債務整理方法を利用すれば、会社を残して借金を減額し、経営を続けられる可能性があります。
事業の先行きが暗く廃業せざるを得ないような場合では、「清算型」の債務整理を選択して法人を消滅させることになるでしょう。

4.会社の倒産(再建型・清算型)の種類

(1) 再建型の債務整理方法

中小企業が利用できる再建型の債務整理方法には、以下の種類があります。

民事再生

民事再生は、裁判所を利用する債務整理方法です。負債の返済額を大幅に減額してもらい、減額された負債を支払いきることによって残債を免除してもらえます。

減額率は私的整理より高くなるので、多額の負債があっても企業を救える可能性があります。現在の経営者が退任する必要も基本的にはありません。

ただし、債権者の過半数が反対すると再生計画案が決議されないので、ある程度の債権者の理解(同意)を得る必要があります。また、すべての債権者を対象にしなければならないので、未払いの買掛金のある取引先などがあれば、迷惑をかけることになります。

裁判所を利用する非常に重厚な手続きなので、弁護士によるサポートが必須です。

会社更生

再建型の債務整理方法として「会社更生」という手続きもあります。

これは裁判所から選任された更生管財人を中心に、大企業(株式会社に限る)が事業再生する状況を念頭に置いており、中小・零細企業の再建にはあまり適していません。民事再生と異なり、経営陣も交代します。

(2) 清算型の債務整理方法

中小企業が利用できる清算型の債務整理方法は、「破産」が代表的です。

企業が破産すると、すべての負債が消滅します(免責)。
信用保証協会に代位弁済してもらった負債も、その他の金融機関からの借入も、リース料も買掛金も未払いの地代家賃等も、すべての支払い義務がなくなるのです。

更に、未払いの法人税、社会保険料、従業員への未払いの給料なども消滅します。

しかし、代表者が個人保証していると、手続き後に代表者が支払う義務が生じます。
この場合、ほとんどのケースでは代表者も一緒に自己破産することになるでしょう。

破産すると、企業そのものが消滅するので、後に経営を継続することは不可能です。代表者は失職するので、手続き後は新たな人生を始めるために職探しや再起業から始めなければならないでしょう。

なお、株式会社の借財の状況が軽く「債務超過のおそれがある」程度であれば、清算型の「特別清算」を利用できる可能性もあります(その場合にも最終的には企業は消滅します)。
特別清算については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

特別清算とは?破産との違い、手続きの流れ、メリットを徹底解説!

5.まとめ

中小企業が信用保証協会による代位弁済を受けたとき、取り得る手段はいくつかあります。
早期に対応すれば、会社を残せる可能性も高くなります。

しかし、時間が経てば経つほど、状況が悪化して「破産」しか選択肢がなくなっていくでしょう。

弁護士に相談していただけましたら、御社の状況や経営者のご希望に最大限沿ったご提案を行い、手続きを進められます。
会社の債務にお困りの際には、できるだけお早めに泉総合法律事務所へご相談ください。

債務整理コラム一覧に戻る