法人破産 [公開日]2020年4月13日[更新日]2020年5月12日

消費税が払えない!滞納すると差し押さえられるか(法人向け)

消費税は、消費者が事業者に支払った消費税の金額から、事業者が品物やサービスの仕入れで支払った消費税の金額を差し引いた部分を納める税金です。事業者が納税義務を負います。

実は、消費税は滞納が多い税金でもあります。
なぜなら利益が出ても出なくても、たとえ赤字でも納税義務が発生するからです。

2014年には消費税が5%から8%に増税されましたが、2年後の2016年には滞納額が2年間で約6割も増加したそうです。

消費税などの滞納があると日本政策金融公庫からの融資が受けられなくなるなど、事業者にとっての悪影響が出てしまいます。

消費税を滞納するとどうなるのでしょうか?
そして、何か解決方法はないのでしょうか?

この記事では消費税の支払いに悩む事業者の皆様に向けて、様々なことを解説していきます。

1.法人の消費税の種類

まずは消費税の種類を把握しておきましょう。

(1) 消費税

私達が普段消費税と呼んでいるものは、「国税である消費税」と「地方である消費税」に分けることができます。
そのうち国税の方が、(狭い意味での)「消費税」です。

2020年現在、消費者が普段支払う消費税の率は10%(軽減税率なら8%)ですが、国税である消費税は7.8%(軽減税率6.24%)です。

(2) 地方消費税

こちらは地方税であり、各都道府県の財源として活用されます。
税率は10%中2.2%(軽減税率なら8%中1.76%)です。

なお、実際に納付する場合は消費税と地方税を別々にせず、一緒にして管轄の税務署へ支払います。

(3) 輸入消費税

一般的にはあまり有名ではありませんが、「輸入消費税」という消費税もあります。
その名の通り、海外から商品を輸入した場合に発生する消費税です。

輸入品を引き取る人が納税義務者となるので、輸入を事業としている人はもちろん、個人で商品を輸入した人にも支払義務があります。

2.消費税を滞納するとどうなるのか

消費税は本来、消費者から預かったお金を納税するだけでよいはずなので、滞納してしまうと税務署は「なぜ納付しないのか?」「消費者から預かっているだけのお金を払えない理由でもあるのか?」「まさか使い込んでしまったのか?」などと勘ぐります。

そのためか、他の税金よりもやや強い姿勢で対応しようする傾向が見られます。

もし消費税を滞納した場合、以下のようなことが起こりえます。

(1) 延滞税がかかる

税金を滞納すると「延滞税」が発生します。

滞納した期間が短い場合はさほど問題のない金額で済みますが、滞納期間が長くなると最大で年率14.6%もの延滞税が課せられてしまいます。

ただでさえ消費税を支払えないところに延滞税が追加されるので、経営に苦しむことが多い中小企業にとっては特に重い負担となるでしょう。

(2) 督促が始まる

消費税を支払わないと、当然ですが税務署からの督促が始まります。
督促状が会社に届きますし、電話がかかってきて催促されることもあります。

社員に督促状を見られると不安を与えてしまいますし、社員が国税庁からの電話を取り次いだ場合は、滞納を感づかれるかもしれません。

これらのせいで「この会社は税金の滞納をするくらい経営が悪化している」と社員に思われる可能性があるため、離職に繋がることもあるでしょう。

(3) 差し押さえのための財産調査

法律上は督促状の送付から10日経過すれば財産を差し押さえることが可能になります。

しかし、実際に10日で財産を差し押さえられることはなかなかありません。
何度か督促が行われ、それでも滞納を続けていると、差し押さえを念頭に置いた「財産調査」が行われます。

財産調査では、その名の通り会社や個人事業主の財産を厳しく調査されます。

現金や預貯金口座、売掛金、不動産、保険など、様々な財産が調査の対象になります。

(4) 差押予告通知書

滞納を続けていると、そのうち「差押予告通知書」「差押予告謄本」などの書類が届きます。

こうなると本当に差し押さえが目前に迫っているので、何らかの対応をしなければなりません。

対応方法については後で述べます。

(5) 差し押さえ

滞納を続けていると、会社の財産が本当に差し押さえられてしまいます。

民間の借金による差し押さえは裁判や支払督促などの裁判手続を経た後で行われますが、税金の差し押さえは裁判所を通さず行うことができます。

そのため、通常の借金よりも短期間で差し押さえが実行されてしまうのです。

預貯金が差し押さえられると運転資金が少なくなって経営に支障をきたしますし、売掛金が差し押さえられると取引先にそのことが伝わるため、取引上の信用を失ってしまうかもしれません。

3.滞納している場合の対応方法

ここまで滞納を続けているとどうなるのかをお知らせしてきましたが、現実問題として支払えないものは支払えないでしょう。

では、差し押さえを避けるためにどのような対応をすればいいのでしょうか?

(1) 時効は成立しない?

税金には、一応ですが消滅時効があります。
時効になる期間には3パターンあります。

  • 申告書を期限内に提出した場合:申告期限の翌日から3年
  • 申告書を期限後に提出した場合:同じく5年
  • 脱税に該当する場合:7年

とは言え、差し押さえなどが行われると時効がリセットされてしまいます。

[参考記事]

借金の時効が成立するには?時効の援用ができないケース

事実上、消滅時効はほとんど成立しないのです。

(2) 分割払いはできる?

税務署に行って事情を説明することで、分割払いの交渉が可能です。

税務署側としても、滞納者の財産を差し押さえると事業を圧迫して経営を悪化させる可能性があり、より納税が厳しい状況に追い込んでしまうかもしれないので、分割で回収できるならそれに越したことはないはずです。

ただし分割払いを即OKしてくれるわけではありません。
しっかりとして返済計画などを提出する等をしなければなりません。

分割払いを認めてもらえれば延滞税の減額も受けられるので、早めに相談するといいでしょう。

(3) その他の救済制度はある?

分割払いはあくまでも「交渉」によって行われますが、支払いができない人を救済するための「制度」も存在します。

「換価の猶予」と「納税の猶予」です。

①換価の猶予

既に財産を差し押さえられた場合に有効です。

差し押さえをされた品物は競売を経てお金に換えられ、税金の支払いに充当されます。
この「お金に換える」プロセスを「換価」と言います。

差し押さえられた財産の換価を止められるのが「換価の猶予」という制度です。

換価の猶予を受けるには、以下の要件を全て満たさなければなりません。

  • 納税について誠実な意思を有すると認められる
  • 税金を一括納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあると認められる
  • 換価の猶予を受けようとする国税以外に、国税の滞納がない
  • 納付すべき国税の納期限から6か月以内に「換価の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されている
  • (原則)猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供がある

無事換価の猶予を受けた場合、財産の売却が猶予される以外に、2つのメリットを受けられます。

  • 事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがある財産の差し押さえの猶予、または解除
  • 換価の猶予が認められた期間中の延滞税を一部免除

猶予を受けられる期間は「1年以内」ですが、事情によってはさらに1年の延長が可能です。

②納税の猶予

換価の猶予と同時に行うべきなのが「納税の猶予」です。

納税の猶予には以下のメリットがあります。

  • 新しい差し押さえや財産の売却などを猶予
  • 差し押さえが解除される可能性がある
  • 納税の猶予が認められた期間中の延滞税の全部または一部の免除

猶予を受けられる期間は換価の猶予と同じです。

納税の猶予を受けられる条件は2パターンあります。

A.災害、病気、事業の休廃業などの場合
・納付すべき国税を一括で納付できないと認められる
・「納税の猶予申請書」が所轄の税務署に提出されている
・(原則)猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供がある
・次のア~オのいずれかに該当する
ア.納税者がその財産について震災、風水害、落雷、火災その他の災害または盗難に遭った
イ.納税者または納税者と生計を一にする親族が病気にかかるか負傷した
ウ.納税者が事業を廃止または休止した
エ.納税者が事業で著しい損失を受けた
オ.納税者に上記アからエに類する事実があった

B.修正申告などの場合
・法定申告期限から1年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した税金がある
・納税者が上記の国税を一括で納付できない理由があると認められる
・納税者が上記の税金の納期限までに「納税の猶予申請書」を所轄の税務署に提出している
・(原則)猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供がある

4.法人破産で消費税は免除される?

法人が破産すればその法人の権利も義務も消滅するため、消費税に限らず全ての税金の支払義務が消えてなくなります。

換価の猶予も納税の猶予も受けられず、事業を継続しても回復の見込みがないのであれば、法人の破産も1つの方法です。

しかし、中小企業などは代表取締役が個人保証をしているか、個人の財産を担保にしている場合が多いでしょう。
そういった場合は代表取締役が法人の債務を受け継ぎますが、現実的には支払えないことが多いようです。

結果的に代表取締役自身も自己破産という選択をするのがベターであり、弁護士が中小企業の法人破産をする場合は、代表取締役の自己破産も同時に行うケースが多く見られます。

法人が破産して消費税の支払義務が無くなった場合、代表取締役に支払義務が移りますが、自己破産では「個人に対する税金の支払義務」は免除されません。

従って、法人破産をしても自己破産をしても、代表取締役などの経営者は消費税の支払いから逃れられないのです。

この場合は、税務署と相談して分割払いなどができないかを考えてください。

もし代表取締役が法人に対して保証などをしていなければ、法人の破産によって債務問題が解決できるので、自分のケースではどうなるのかを破産に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。

5.消費税の滞納は危険!破産するときは弁護士へ

消費税は他の税金に比べて強い姿勢で徴税が行われることが多いです。

納税できない場合は差し押さえをされてしまうかもしれないので、換価の猶予や納税の猶予などの制度を利用してください。

それでも支払えない場合は法人破産や自己破産が現実的な選択肢ですが、ケースによって最適な解決方法は違います。

弁護士に依頼すればベストな方法を考えてくれるので、税金の支払いで困ったら泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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