法人破産 [公開日]

ビジネスローンとファクタリングの違い。会社破産は弁護士に相談を

【この記事を読んでわかる事】

  • 中小企業や個人事業者の資金調達手段、ビジネスローンとファクタリングについて
  • ビジネスローンとファクタリングの金利、手数料、審査などの違い
  • 会社の借金が嵩み経営状態が厳しくなってしまった場合どうするべきか

 

中小企業や個人事業者が倒産すると、債権者の中には金融機関が含まれていることが多いです。

しかし、一口に金融機関と言っても、銀行や信用金庫や、信販会社、ノンバンク、あるいはクレジットカード会社までさまざまです。

ここでは、近年、急速に利用が増えているビジネスローンとファクタリングについて、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。

1.ビジネスローンとファクタリングの基本

ビジネスローンファクタリングも、「事業者が運転資金の調達手段として利用する」という点では共通していますが、その仕組みはまったくの別物です。

まずはビジネスローンとファクタリングの基本から確認しておきましょう。

(1) ビジネスローンとは

多くの中小企業や個人事業主にとって、資金繰りは尽きない課題の一つと言えます。

ビジネスローンとは、その名のとおり、中小企業や個人事業者が事業資金として借りるローンです。

ファクタリングとの対比でビジネスローンの性質を表現するならば、ビジネスローンは「事業者が信用をもとにお金を借りる」というものです。

①商工ローンとどう違う?

ところで、事業者向けローンと言えば、1990年代終盤から2000年代初めにかけて、脅迫的な取立て行為が社会問題となった「商工ローン」があります。

商工ローンとビジネスローンとの違いは何でしょう。

この点について、「商工ローン」はノンバンク(銀行系列に属さない金融業者)が開発したもの、「ビジネスローン」は銀行が信用力の低い事業者向けに開発した金融商品である、との説明もあります。

しかし、「商工ローン」の悪いイメージを避けるため、敢えて「ビジネスローン」を使っているという説もあり、結局のところ、呼び方の違いだけだと考えて構いません。

②ビジネスローンの審査方法

銀行に事業資金の融資を申し込む場合には、銀行が指定する多数の資料を準備し、それらの資料をもとに融資可能かどうかが審査されます。

これに対し、ビジネスローン業界では、その多くが「スコアリングシステム」を採用していると言われています。

スコアリングシステムとは、決算書の情報を入力すると、自動的に経営状況が点数化されて融資における貸し倒れリスクが算出されるシステムです。

従来の銀行融資のように、資料をもとに銀行内で書類審査が重ねられるのではなく、スコアに基づいて、いくらまで融資できるかを判断しているのです。

③総量規制の対象外

「総量規制」という言葉をご存知でしょうか。

総量規制とは、「個人の借入総額は、年収の3分の1に制限する」という、貸金業法によって定められた規制で、クレジット・サラ金問題の深刻化を受け、2010年から施行されています。

この規制は、あくまで「個人」の生活費や遊興費などの借入に対する規制であり、事業資金としての借入は対象外です。

もっとも、法人格のない個人事業主の場合、事業目的であるのか、個人の借入であるのか、境界線が不明確です。

そのため、個人事業主であって、個人のカードローン利用がある場合には、ビジネスローンの審査に影響する可能性があります。

(2) ファクタリングとは?

近年、事業資金の調達方法として急速に普及しているのがファクタリングです。

ファクタリングとは、支払期日前の売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで資金調達する方法です。

以前に比べると手形の流通量は大幅に減りましたが、前倒しで資金化するという点で、「手形割引」をイメージすると分かりやすいかもしれません。

①ファクタリングの仕組み

事業者が商品・サービスを提供した場合、その相手方に対して、代金を請求する権利が発生します。

しかし、日本の商慣習では、いまだに「信用取引」が根強く、代金は後支払いが多く、しかも1カ月後、2カ月後の支払いとなることも珍しくありません。

そこで、支払期日前の代金請求権(売掛金債権)を買い取ってもらって現金化する、という仕組みがファクタリングです。

②「3社間ファクタリング」と「2社間ファクタリング」

ファクタリングには、さらに「3社間ファクタリング」と「2社間ファクタリング」という2つの種類があります。

次の事例をもとに、それぞれの仕組みを説明しましょう。

例)
A社は、B社に対し、300万円の売掛金を持っています。売掛金の支払日は1ヶ月後です。
ところが、A社は早急に運転資金が必要になり、1ヶ月の売掛金の支払日まで待てない状況です。

【3社間ファクタリングの仕組み】
A社は、ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらい、運転資金を調達します。
その代わりに、A社はB社に対し「300万円の売掛金は、A社ではなくファクタリング会社に支払ってください」と通知します。
ファクタリング会社は、B社から売掛金の支払いを受け、売掛債権の買取り代金を回収します。

【2社間ファクタリングの場合】
A社は、ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらい、運転資金を調達します。
(ここまでは3社間ファクタリングと同じ)
1ヶ月後、B社から売掛金を回収したA社は、売掛金をそのままファクタリング会社に返します。

3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの仕組みは上記のとおりで、売掛金をファクタリング会社が直接受領するかしないかが異なる一つの点となります。

③ファクタリングの手数料

では,ファクタリングを利用した場合の費用はどうでしょうか。

3社間ファクタリングの手数料は、売掛金額の1%~5%が多く、一方で、2社間ファクタリングの手数料は、売掛金額の10%~30%が多く、3社間ファクタリングよりも大分高くなります。

これは、2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に債権が移っておらず、売掛金を直接回収できませんので、ファクタリング利用者から回収できないリスクを補填するためでもあると思われます。

とはいえ、3社間ファクタリングは、ファクタリング会社への支払を依頼する通知を取引先に送る必要があり、取引先に対する印象も悪く、経営悪化を疑われてしまいますので、手数料は高いとはいえ、2社間ファクタリングを利用する事業者が多いようです。

2.ビジネスローンとファクタリングの比較

ビジネスローンとファクタリングを「金利・手数料」、「審査」、「その後の影響」という場面に分けて分析してみましょう。

(1) 金利、手数料

①ビジネスローン

銀行などの一般的な事業資金の融資に比べ、ビジネスローンの金利は総じて高めです。

リスクを取る分だけ、金利が高いのは当然のことですが、貸金業者によっても少し違いがあります。

たとえば、信販系会社のビジネスローンは6%~10%台、ビジネスローン専業のノンバンクでは、辛うじて10%台を切るあたりから18%くらいの商品が主流となっています。消費者金融系のビジネスローンも同じ水準です。

一方、ビジネスローン商品を揃えている銀行もあり、金利2%台の商品もありますが、低金利である分だけ、審査も厳しくなります。

②ファクタリング

先ほど説明したとおり、2社間ファクタリングで売掛金額の10%~30%、3社間ファクタリングで売掛金額の1%~5%です。

ファクタリングの場合、「金利」ではなく「手数料」であることにも注意が必要です。

たとえば、1ヶ月後に入金予定の売掛金を買い取ってもらい、手数料10%を支払った場合、わずか1ヶ月で売掛金から10%が差し引かれることになります。

ファクタリングは貸金ではないので違法ではありませんが、実は年利に換算すると100%を超えているのです。

(2) 審査

①ビジネスローン

ビジネスローンの場合は、貸したお金が確実に返ってくるか、という点がポイントとなるため、経営状態が重視されます。

スコアリングシステムの導入によって、従来の審査より簡素になったとはいえ、あくまで貸金である以上、融資審査であることは変わりません。

銀行系、信販系、専業ノンバンクなど、貸し手によって審査基準が異なりますが、「金利が低いほど審査が厳しく、金利が高いほど審査が緩い」という相関関係があります。

②ファクタリング
これに対し、ファクタリングは融資ではないので、ビジネスローンのような審査が要らず、比較的容易に資金調達ができます。これがファクタリングの最大のメリットと言えるでしょう。

また、ファクタリングの場合は担保も必要ありません。

(3) その後の影響

①ビジネスローン

利用履歴が信用情報機関に登録されます。
もちろん、正常に返済している限り、本来は影響がないはずです。

しかし、将来、銀行に低金利の事業資金の融資を申し込んだ場合に、「借入金が増えている」、「高金利のビジネスローンを借りている」といった情報がどう判断されるかは分かりません。

また、万一、滞納が発生した場合など、将来的に不利益になる情報が登録されるリスクもあります。

②ファクタリング

3社間ファクタリングの場合、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうため、取引先が倒産した場合の回収リスクを負わなくて済む、というメリットがあります。

また、ファクタリングは借入金ではないので、貸借対照表上の負債を増やすことなく、資金調達ができます。この点は、銀行などに融資を申し込む際に大きなメリットとなるでしょう。

一方で、3社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリング会社への支払いを通知する必要があるため、余計な信用不安を招くおそれがあります。

また、2社間ファクタリングは、手数料が高いため、かえって資金繰りをひっ迫させるおそれがあります。

3.まとめ

ビジネスローンとファクタリングは、どちらも事業者の資金調達手段ですが、仕組みは全く異なるものです。

資金調達の必要性が生じた場合には、それぞれのメリットとデメリットを比較してどちらを利用するかを検討する必要があります。

もし、会社の資金調達が厳しくなり、借金が嵩み経営状態が厳しくなってしまった場合や、会社破産(法人破産)を考えていらっしゃる場合には、泉総合法律事務所の弁護士へ是非ともご相談ください。

会社破産の解決実績が豊富な弁護士がサポートいたします。

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