法人破産 [公開日]2018年4月24日[更新日]2021年10月29日

融資とファクタリングは何が違う?

最近、資金調達手段として「ファクタリング」という手法が華々しく宣伝されています。

売掛債権を「ファクタリング業者」に買い取ってもらい、代金を得るものです。
「売掛債権はあるが、その支払期日までの資金繰りがつかない」場合に、債権を早く現金化できます。

そんなファクタリングは、同じく資金調達方法の「融資」と、どこが違うのでしょうか?
また、ファクタリングには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

1.融資とは?

融資とは「借金」です。貸主から元金を借り、約定の弁済期に元金に利息を加えて貸主に返済します。これを金銭消費貸借契約と呼びます(民法587条)。

借主が弁済期に返済できない場合のリスク(損失)は貸主が負担するので、融資にあたって借主自身の経済的な信用力が審査されます。

借主の信用が乏しいときは、保証人や担保物権で補完します。

2.ファクタリングとは?

ファクタリングとは「債権譲渡」です。

売掛債権の債権者が、弁済期前に現金が欲しいときに、ファクタリング業者が売掛債権という資産を買取り、債権者に代金を支払い、業者が売掛債権の債権者となります。

売掛債権と同額で買い取るのでは業者の利益が出ませんから、これよりも割り引いた金額で買い取ります(手数料を差し引くという名目のケースもあります)。

例えば、1000万円の売掛債権であれば、2割を割り引いて、800万円で買い取ります。弁済期に売掛金の債務者が満額を支払えば、200万円が業者の利益となります。

債権譲渡ですから、売掛債権の債権者が、売掛債権の債務者に対して債権を譲渡した旨の通知を行わないと、業者は自分が債権者となった事実を売掛債権の債務者に主張できません(民法467条1項)。

そこで売掛債権の債権者が、売掛債権の債務者に対し、業者へ売掛債権を譲渡したことを通知し、売掛債権の債務者に異議がなければ、業者は弁済期に支払を受けられます。

弁済期に売掛債権の債務者が弁済できない場合のリスク(損失)は、業者が負担します。

したがって、ファクタリングを実施する際は、売掛債権の債務者の経済的な信用力が審査され、その信用力は、弁済期までの期間の長短とともに割引率に反映します。

3.「3者間ファクタリング」と「2者間ファクタリング」

上のとおり債権譲渡では、その事実が売掛債権の債務者に通知され、債権者となったファクタリング業者は、弁済期以後、債務者へ直接に支払を請求します。

①売掛債権の債権者、②ファクタリング業者、③売掛債権の債務者という3者間の法的処理がなされるので、これを通称「3者間ファクタリング」と呼びます。

ところが、業者の中には、売掛債権の債権者から同債務者への通知を不要とし、弁済期には、売掛債権の債権者が同債務者から弁済を受けて、これを業者に渡すという形をとる者がいます。

また、業者が譲り受けた売掛債権の「回収代行業務」を、売掛債権の債権者に「委託した」という名目で、債務を取り立てさせたうえで、弁済金を受け取るという方法をとる業者もいます。

これらの場合、名目は債権譲渡でも、結局、売掛債権の債権者と業者の2者の間だけで決済処理がなされるに過ぎないので、これを通称「2者間ファクタリング」と呼びます。

4.融資と比較したファクタリングのメリット

(1) 資金調達が容易

資金繰りに困っている以上、経済的な信用力は低下しているのが普通ですから、借主の信用力が審査対象となる融資は稟議が通りにくくなります。

他方、ファクタリングは、売掛債権の債務者の信用力が審査対象ですので、売掛先に十分な信用があれば、資金調達が可能です。

(2) 担保が不要

融資では、借主の信用力が低いと、連帯保証人や担保物件を要求されます。

他方、ファクタリングでは、売掛先に信用があれば、担保は不要です。

(3) 信用情報とは無関係

金融機関から融資を受けた事実は、信用情報機関に登録され、約定の弁済ができないと、いわゆる事故情報として登録され、新規借り入れが困難となります。

他方、ファクタリングを実行しても、信用情報とは無関係です。

5.融資と比較したファクタリングのデメリット

(1) 実態は「融資」

3者間ファクタリングでは、債権譲渡である以上、売掛金の債務者の不払いのリスクは債権者となった業者が負うことが原則です。

しかし、3者間ファクタリングでは、不払いの場合に、①業者が売掛債権の債権者に不足額を償還請求できるとする条項や、②売掛債権の債権者が、業者から売掛債権を額面で買い戻す義務があるとする条項が契約書に盛り込まれ、業者がリスクを負わないケースが多いのです。

つまり、債権を弁済期前に現金化できるものの、リスクは債権者に残されたままで、不払いの場合は現金を返さなくてはならないのですから、実態としては「手形割引」に類似した「融資」と言えます。

2者間ファクタリングの場合は、債務者への通知も行われず、債権を回収するのは元の債権者のままですから、より一層、実態は「融資」と変わりません。

(2) 「違法金融」である可能性

では、実態が「融資」であるならば、何故、ファクタリングという形式をとるのでしょうか?

それは融資だとすると、業者が、利息制限法・貸金業法・出資法(※正式名「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」)の規制を受けるからです。

利息制限法は、人がお金を貸すときの利率の上限を定め、これを超える利息の約定を無効としています。
貸金業法は、貸金業者に登録を義務付けたうえ様々な規制を加え、高利の金銭消費貸借契約は全体が無効であるとしています。出資法は高利をとる行為を犯罪として処罰しています。

これらの法規制を潜脱して、高率の利息をとるために、「融資ではなく、ファクタリングだ」という体裁をとるのです。

ファクタリングの一部は、「ヤミ金融業者」とも言えるでしょう。

【暴利と言える高金利のケースもある】
例えば「2者間ファクタリング」の割引率は、売掛債権額の10%から30%もの高率のケースが珍しくありません。
仮に売掛債権の弁済期が、2ヶ月先であったとすると、2ヶ月間の融資で10%から30%の利息をとることと同じですから、年利60%から180%という驚くべき高率になります。これは到底、法律でも許される利率ではありません。

6.ファクタリングの違法性(摘発)

実は、資金繰りに悩む経営者の弱みにつけ込み暴利をむさぼるファクタリング業者の食い物にされ、さらに困窮する犠牲者が頻発しています。

すでに東京弁護士会は、上記のごとき違法業者の摘発を強化するよう、法務省、金融庁、自治体などに求めています(※東京弁護士会「偽装ファクタリング業者に対する適切な規制を求める意見書」(2020年5月13日))。

また金融庁も、このようなファクタリング業者への注意を国民に呼びかけています(※金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」)

現在では、売掛債権だけでなく、サラリーマンの給与債権を買い取る「給与ファクタリング」も蔓延していますが、金融庁は「給与ファクタリング」業者が貸金業法の規制対象であると表明しています(※「金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)」令和2年3月5日)。

さらに給与ファクタリング業者が貸金業法の規制対象であり、出資法による刑事罰の対象ともなることを認めた裁判例もあります(※東京地裁令和2年3月24日判決)。

これらの問題は、給与ファクタリングに限らず、経営者向けの売掛債権を対象としたファクタリングでも同じです。既に、中小企業の経営者から売掛債権を買取り、年利683%という暴利を得ていた業者が貸金業法、出資法違反で摘発、逮捕されています(※朝日新聞デジタル(2021年2月5日)「中小企業狙い『ヤミ金』容疑 ファクタリング業者を逮捕」)

言葉に惑わされてはいけません。違法業者の餌食とならないよう、次の各点に注意を払ってください。

  • 売掛債権の債務者が支払えない場合、誰が損失をかぶる契約なのか?
  • 売掛債権の債務者から回収するのは、誰なのか?
  • 割引金額(売掛債権の額面と、業者から受取る手取金の差額)を年率に換算すると年何パーセントになるのか?

以上をチェックして、損失は業者が負担し、債務者からの回収も業者が行うのであれば、割引率が利息制限法の各年利以下である限り、債権を早期に現金化できる資金調達手段と言えますが、そうでない限りは手を出すべきではありません。

7.まとめ

資金繰りの不安で夜も眠れなくなるのは経営者だからこそです。しかし、聞き心地の良い勧誘に安易に乗ってしまうと傷口を広げてしまう危険があります。

もし、会社の資金調達が厳しくなり、借金が嵩み経営状態が厳しくなってしまった場合や、会社破産(法人破産)を考えていらっしゃる場合には、泉総合法律事務所の弁護士へ是非ともご相談ください。
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